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五、油談大敵

 やがて、オバケの姿は消え、辺り一面は血の海となった。

オバケの血は白い。ゆえにその血溜まりは月光を乱反射し、薄明りを作り出す。

「永、わたしは六十四体です。あなたは?」

わたしは闘いながら、永のぶんも数えていた。 内心、勝利を確信しての問いに、しかし永は不敵な笑みで応える。


「六十四だぁ? おまえはゼロだよ。そしておれだけが『ほんもの』を八体斃した」


 その瞬間。わたしは自分の不覚を悟った。背後から轟音とともに、八つの残骸が起き上がる。


「しまった――!」 とっさに後ろを迎撃するも、妖刀は既に体内に格納していた。その油断に対する対価として、防御に使用した両腕がもっていかれる。


「奴の魂ははじめから八つに分かたれていた。それら全てを潰されれば、最後は合体してかかってくるって寸法だ。前に言っただろ? オバケ狩りは量より質だってね。」

なるほど、要するにわたしは、ずっと囮を狩っていたというわけだ。

「やっぱり、場にはそれに見合ったオバケがいるってことだ。 良い勉強になったな。脚はまだ動くだろ、逃げてな。」

そう言い残すと、永はオバケと対峙する。

八体のオバケはその身を寄せ合い、ひとつになろうとしていた。

 ああ―― わたしは巨大な肉塊となったオバケを見上げ、考えていた。

おそらく永は、やつを滅ぼすだろう。 しかしそれは九体目として勘定していいんだろうか。 なんてことを。

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