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三、死面楚歌

挿絵(By みてみん)

夕刻まで遊山を楽しんだ私たちの周りに、異様な(こえ)がこだました。

「聴こえたか、楽運」

わたしはその問いに、得物を構えることで答えた。

両手に、緋と蒼の妖刀。

聲は多い。十や二十ではきかないだろう

「日が暮れた途端、きやがった。連中、相当に飢えていると見えるぜ」

永はそうつぶやくと、右目に『馬の目』を装着した。

人間である永は、夜は尋常に目が利かない。

『馬の目』は、千里眼の権能をもたらす片眼鏡。

アルハ一門に伝わる「玉装(ぎょくそう)」のひとつだ。


「さあ、仕事だ。気を抜くなよ」

永も既に得物を構えている。 実に二十六束もある、鉄塊のごとき長刀。神器を模造し、そして超越した破格の銘刀だ。

「ええ、先日のような不首尾はしません」

周囲のオバケは、もはや視認できるほどに近くに迫っていた。


「駆けろ! 楽運!」


 永の、わたしの、遊戯の時間が始まった。 わたしはわたしに言い聞かせる。 そう。 しくじってはいけない。 先日はつい夢中になり、(たお)した数をかぞえ忘れてしまった。 オバケ殺しの競争は、昔から私と永の愉しみのひとつなのだ。



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