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二、物見幽山

翼船(はね)」を使えば、どこであろうと一瞬でたどり着ける。

しかし、永の判断でわたしたちは山のふもとで降りることになった。

「永、目的地は山頂では?」

わたしの問いに永は、いいじゃん、とだけ答えると、躊躇いもなく山の奥へと分け入っていく。

わたしは大丈夫でも、永にはこの山登は少し厳しいかもしれない。

なにしろ、ここは日本有数の山岳地帯で、 永は、普通の人間。

齢十一の女の子なのだ。


「そろそろ疲れたな。楽運、おんぶしろ」

言わんこっちゃない。

一時間そこいらで根を上げるなんて、よくもまあ今まで死なずにやってこれたものだ。

「いつも言っていますが、少しは鍛えたらどうです?」

「鍛えても意味なんてないんだってば。鍛えてぇんなら、お前がどうぞ!」

そう言うと、永が正面から飛びかかってくる。それでわたしは思わず受け止めてしまう。

「永、これではおんぶではなく抱っこです」

わたしの反応がおかしかったのか、永はからからと笑う。


 わたしは永を背に負い直し、山を歩く。 永ひとりと、その倍はあろうかという大太刀の目方がわたしにかかる。

それでもなお、人ならぬわが身は疲れを感じない。 「お弁当、もってくればよかったな」

永が、わたしの背中でつぶやく。

オバケに対する究極の切り札である少女が、つぶやく。


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