姉は立場的に悪役令嬢らしいけど…大丈夫カナー?
仲の良い姉妹を書きたくて。
「雪子ちゃん」
「何?月子姉さん」
「最近転校してきた桃園姫華さんって知ってる?」
「ああ。姉さんと同じ学年の編入生ね」
「・・・最近、航さんに纏わりついてるの!!」
「へ?」
航さんとは、姉の婚約者で生徒会長の事だ。
「私、忠告したの。『これ以上、纏わりついていたらヒドイことになるわよ』って」
「それで?」
「『ただ、生徒会のお手伝いをしているだけですから・・・』ですって!!」
「そうなの」
「もう許せないわ!ねえ、何かしようと思うんだけど、何がいいかしら?」
「う~ん。少女漫画だと教科書を破ったり・・・」
「教科書を破るのね!分かったわ」
そういうと姉は去って行った。
「・・・でも、その行動は悪役の行動だよ。姉さん」
「ねえ、雪子ちゃん」
「何?月子姉さん」
「私、桃園さんの教科書を破っておいたんだけど、彼女、何の反応もないの。我慢してるのかしら?」
「かもね」
「やっぱり1ページくらいじゃダメだったのね」
「・・・ちなみに、どのページ破ったの?」
「国語の教科書なら毎日使うでしょ?その先頭の『国語』って書いてあるページ」
「・・・ページ数が振られてない表紙のページ?」
「そうよ」
「・・・桃園さん、気づくカナー?」
「ねぇ、他には何か方法がないかしら?」
「ううん。ちょっとやりすぎかもしれないけど・・・」
「何?」
「上履きに画鋲を入れる」
「上履きに画鋲ね!!分かったわ」
そして、姉はまた去って行った。
「・・・月子姉さん」
「何?雪子ちゃん」
「その空のケースは?」
「画鋲が入っていたものよ?」
「・・・え?」
「え?」
「画鋲、入れたんだよね?」
「ええ。1ケース全部、流石に気づくと思うんだけど・・・」
「今回は気づかれちゃいけないんだよ!?」
「え?」
「画鋲を1つ入れておいて気づかずに『あ、痛い』ってなる嫌がらせだよ!?」
「そうなの!?『こんなに画鋲が入ってる。私、何かしてるんだわ』じゃないの!?」
「違ウヨ・・・」
そもそも、この天然な姉に画鋲の嫌がらせは高度だったか・・・じゃあ。
「もう、ストレートにいくしかないね!」
「?」
「彼女の登校前、机に思いのたけを書くんだよ!『警告』とか『近づくな』とか」
「机に書くのね!それなら分かりやすいわね」
「ソウダネー」
「・・・姉さん」
「雪子ちゃん!やったわね。学校中で噂になってるものね」
「ソウダネー。でも、意味が分からなくて噂になってるんだよ?」
「え?」
「誰が嫌がらせを五・七・五・七・七でまとめろと言った!?」
「思いのたけを書くんでしょ?」
「和歌に寄せなくて良いんだよ!?」
「その方が分かりやすいかなって・・・」
「分かんないよ!?分かんないから学校中に広まってるんダヨ!?」
「そうなの・・・次はどうしましょう」
「・・・姉さんは1回休んでください。私がまた考えるから」
「うん。分かったわ」
姉と別れた私は一人、廊下を進んでいく。目的の部屋の前で立ち止まるとノックをした。
「どうぞ」
「失礼します」
部屋の中に居たのは生徒会長である東雲航会長だ。
「東雲会長。お呼びだと伺いましたが?」
「・・・その呼び方を止めろ。気持ち悪い」
「・・・航兄さん。何か用ですか?」
「月子に余計な入れ知恵をしてるのは、お前だろう」
「入れ知恵なんて!!アイディアを提供しているだけです」
「どちらも同じだ。いいか。今なら生徒会の力でもみ消せる。もう止めろよ」
「ええ~。姉さんが聞いてきたら答えずにはいられないな~」
「雪子」
「はいはい。分かりました。姉さんには一人で頑張ってもらいます」
「・・・あいつに悪知恵が浮かぶものか」
「天然ですからね。無理ダナ~」
「おい」
「悪口じゃ無いですよ。褒めてますって。もう、兄さんは心が狭いナー」
「月子には『編入生が馴染めるまで我慢しろ』と伝えておけ」
「兄さんが直接言えば良いじゃないですか」
「・・・伝えておけ」
「分かりましたよ。もう。ツンデレなんだから」
そのまま私は生徒会室を後にした。
「ねえ、雪子ちゃん!こんなのはどうかしら?」
「姉さん『編入生が慣れるまで我慢』したら良いんじゃない?」
「ええ・・・でも・・・」
「姉さんに悪役令嬢は向かないよ。天然な上に、婚約者様から愛されてるんだもん」