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遠くて近きルナプレール ~転生獣人と復讐ロードと~  作者: ヘボラヤーナ・キョリンスキー
第三章 クラス丸ごと異世界転生!? 追放された野獣が進む、復讐の道は怒りのデスロード!
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3-182.追放者のオーク、ガンボン(70)「この後の事もちゃんと考えてんだよね?」


 

 古い街道沿いのややひらけた野営地に三台の大きめで頑丈な馬車があり、それらが壁のようになって囲む内側に、商隊の一団が居る。

 馬車の車体は完全な板張りで中の見えない頑丈な造り。こう並ぶと夜営地はまるでちょっとした要塞のようでもある。

 その側面には梯子があり、屋根の上には簡易な見張り台。

 そこに立つ護衛兵は1人。三台の馬車に見張り台は3つだが、2人が居ない。

 何故か? と言えば、こちらに来てるからだ。

 

「良いんですかい? あちらで1人、寂しそうにしてますが」

 我らが山高帽旅芸人一座の座長、ラシードがそう聞くと、

「なあに、見張りなんてなぁ形だけのモンでね。ここ等で襲われるなんてのはめったにない」

 こちらへサボりに来たであろう2人の護衛兵は、そう言ってへへっと笑って顔を見合わせる。

「新入りにはちょっと頑張ってもらって、俺たちは周りを巡回しておこうって話でね」

 

 むむ、つまりは後輩に歩哨を押し付けて、自分たちは焚き火にあたって飲み食いしようって寸法だな!? まったくふざけた奴らだ! けしからん!

 ふん! と鼻息で抗議をするが、まあラシード的にはこういうの、いい情報収集の機会だと考えるだろう。

 

 しばらくお互い酒を飲みつつ炙った干し肉をつまみつつの談笑。

 1人は体格もよく大柄でひげもじゃ、いかにもタフガイ、という風貌で、もう1人はそれよりはやや小柄で細身。やりとりから見てもいかにも兄貴分とその弟分、という感じだ。

 

 季節的には春も過ぎ、夜とてそんなに寒くはならないが、それでも夜営はやや冷え込む。日本の夏のような湿度の高いジメジメとした蒸し暑さはそんなにない。

 特にこの辺りは南の大山脈、“巨神の骨”からの吹き下ろしがなかなかのもの。風の具合によっては身震いするような寒さにもなる。

 けれども今日はそれほどには寒くない。むしろ、ぱちぱちと枝のはぜる音と共に放たれる焚き火の熱が顔を火照らせて、そこに当たる夜風がひんやり心地よいくらいだ。

 

 そうして火に当たりながら酒をちびちび飲んでいる護衛兵の1人が、

「そういやあんたら、北の方から来たって話だが、あっちの方はどうなんだい? 景気とかはよ」

 と、聞いてくる。

  

「まあ、どこも似たり寄ったり、あるいは一長一短ってところですかね。王国領は今のところ落ち着いちゃいますが、元老院と軍人派閥の貴族が何やらきな臭く揉めてますし、北方属領の叛乱もまだまだ落ち着かない。

 ミュンヒハウゼン領あたりはさすがの大穀倉地帯だけに食い物は豊富みたいですが、まああそこも八割は取られますからね。兵は屈強だが質は悪い」

 

 基本は王国領内を活動の場としている我ら疾風戦団だが、場合によっては今回のように他領内部へと潜入したりすることもあれば、様々な方面から情報を集めたりもしている。なのでこういう地方の情勢なんかもある程度は分かる。

 今回はそれが、「各地を放浪している旅芸人一座」と言う嘘の設定の役に立った。

 

「いろんなとこ行ってるんだなぁ、アンタら。実際、結構腕が立つんじゃないのか?

 あっちの弓使いの曲打ちもたいしたもんだったし、あのオークだってなりはふざけちゃあいるが、強いんだろう?」

 

 酒を木のマグに手酌で注ぎつつそう聞いてくる護衛兵。

 曲打ちや俺の怪力芸なんかは、芸としてやってても見る人が見れば実力が伺える。護衛兵である彼らからすれば、その辺はさらにハッキリ分かるだろう。

 

「まあそれはそれはそれなりに、旅する上で身を守るくらいのことは出来ますが、しかしあなた方みたいな本職の戦士の方に比べれば児戯のようなものですよ」

「ハッ! 嘘をつけ! 俺の見立てじゃあ……そうだな、あのオークと組み合えば、ウチの護衛兵連中の半分は勝てねぇぜ」

 もう一人の大柄な方の護衛兵が、ガハハと笑いながらそう言う。やや酒の量も多めにはいって居るようだ。

 

「まあ確かに、力だけなら大したもんですからな。単純な力比べでしたら勝てるかもしれませんねぇ」

 ラシードのこの言葉に、再び大柄な護衛兵が笑い、今度はガハハと言うよりニヤリとしてから、

「ちょっと賭けでもしないか?」

「賭け?」

「そうだ。ほら、あそこの……あの木の横に、ちょっと大きめの岩があるよな? そう、そこだ、あれあれ」

 指し示すところはぎりぎり明りの範囲の境界線ほど。山の斜面側の木の横に、目算で直径4、50センチほどの丸い岩がある。

 

「なあ、おたくの樽オーク殿は、あれを担ぎ上げ持ち上げる事は出来るか?」

 

 ここでちょっと……んん~、何やら声のトーンが変わる。先ほどまでの陽気で豪快な雰囲気に、やや小馬鹿にしてると言うか、挑発していると言うか、なんだかそういう嫌~な感じがにじみ出てくる。

 

「おいおいおい、あんまり無茶を言うな。いくらオークとは言え、あんな大岩持ち上げるのは無理だろう」

「お前こそオークのバカ力を知らないな? いくら小柄でも、あのくらいの岩なら持ち上げられるだろうぜ」

 何やら変な雲行き。と言うか、賭けをしようと言いながら、なぜ俺が簡単に持ち上げられるなんて言うのか。言ってることがなんかおかしい。


 ラシードとセロンが、それぞれに俺へとちらり視線を送る。多分この護衛兵達が、俺を挑発してあの岩を持ち上げさせたいのは間違いない。

 例えば……そう、もしかしたらこの二人は、あの岩がここから見えるよりも実際にはすごく大きくて重いとか、地面の中にめり込んでて動かしようがないということを知っていて、持ち上げられない方に賭けることでぼったくるつもりだとか……何にせよ、何かを企んでいるみたいな感じだ。

 

 まー、どーすっかなー、と考えつつ、ラシードをちら見し返す。今回の旅芸人一座の偽装策はラシード発案で、リーダーもラシード。だからここてどう対応すべきか、一応あちらの意向を確認すると、小さくニヤリと笑いウィンク。つまりは、GO!

 ほんじゃあ一丁やったりますか! と、立ち上がって軽く両肩を回してほぐす。

 

「おおー、やる気じゃねぇの! 良いね、良いね!」

「もしあれを持ち上げられたら、帝国銀貨を一枚やるぜ!」

 ほほう、なかなか大盤振る舞いじゃないのよ。

 ずんずん歩いて大岩の前。俺の体格からすると、だいたい腕を回して一抱えか。岩は角の削られた丸っこいものだが、そんなに持ちにくいと言うほどでもない。

 ある程度には地面の下にめり込んでいる。その辺りを軽く掘って確認すると、まあせいぜい指の長さくらいの深さかな。引っ張り上げて外せなくもなさそうだ。

 再び両手両足をぶらぶら動かして筋を伸ばし、ラジオ体操的な動きに、ややゆっくりめのスクワット。筋肉に血流を流して準備完了だ。

 

 それからおもむろに両腕を広げて岩を抱え込む。

 まずは前後左右へと動かして、重心の位置も確かめつつ地面に埋まった部分を崩していく。

 さすがの怪力オークでも、腕力だけでこれは引っこ抜けない。腰を落として下半身をぐいっと下に入れ、丁度骨盤のあたりを梃子のようにして体を反って引っ張り上げる。

 柔道での投げと同じ要領だ。もちろん対人技のそれと違い相手の重心を崩すような技も使えないが、基本は通じてる。

 少しずつ腰を入れて安定させながら、グリップを強める。

 うん、これは……行けそうな感じだ。

 ふん、ふん、と、呼吸を整えながら力を加える。よし、いいぞ。まずは両足、そこから腰、へそ、背筋、肩、腕……。力の流れ、方向から荷重のかけ方まで、少しずつ丁寧に調整しながら、機を見て……ガバ! おもむろに地面から浮き上がる。

「おおっ!?」

 との声は2人の隊商護衛か、アリックさんやセロン達か。

 とにかく腰を入れて持ち上げたは良いが、はて、そう言えば「勝ち」の条件って、こうやってただ地面から浮かせればいいのか、それとも、いわゆる担ぎ上げる、と言うところまで持ち上げるべきなのか。その辺明確に確認してなかったなぁ。

 背後からの声の調子や雰囲気を探ると、これで達成したというよりは、よし、そのまま行け、とでもいうような感じ。となるとやっぱ、ある程度は担ぎ上げないとダメかしらねぇ?

 さて、例え同じ重量でもリフティング用のバーベルなら持ち上げ易いが、自然の大岩はそうもいかない。持つところもしっかりグリップできないし、何より形がいびつ。まずはと大きく一呼吸。それから、次第に長く深い息へと変えて、再びリフトアップ。

 上体をやや後ろにそらし、胸の上……というか腹の上にか。とにかくその辺まで抱きかかえあげる。

 いかん、ちょっとでもバランスを崩すと、転んでこの岩の下敷きになりそうだ。

 後ろで息を飲む音が聞こえる。さあ、こうなりゃそのご期待に沿わねば……とか、なんとか、そんなことを考えてる時に、暗闇から何かがブワッと広がるのが目に入った。

 

「なにをする!?」

 その鋭い叫びは背後から聞こえるセロンのもの。だがその様子を確認するよりも先に、まずは尻餅をついて倒れた俺が、大岩の重さに「ぐぶぇ!」と潰れた悲鳴を上げる。

 

 その俺へと投げられてたのは、荒縄で編まれたやや目の粗い網。 魚を穫るためのものじゃない。明らかに大型の獣や、あるいは人間を絡め取るための武器としての網だ。

 岩に潰され網に絡め取られ、それでもなんとか首を回して見る視線の先には、弓を奪われ組み伏せられたセロンと、剣を突きつけられてまさにホールドアップと言わんばかりのお手上げ状態のラシード。

 え、嘘、何よちょっと、何なのよ? と慌てつつさらに視線を回すと、周囲の暗がりから現れた数人の武装した男たち……つまり、商団の護衛兵達だ。

 

「へっへ、巧く行ったな、兄貴」

「おおよ。こういう時はよ、まず真っ先に一番強ぇ奴を使えなくするのが常道よ」

 笑いながらそう話しているのは、もちろんさっきまで焚き火に当たり、また、大岩を持ち上げる賭けを提案してきた二人の護衛兵。周りを囲み、網を手にして寄ってくるのもまた、他の護衛兵に商隊の荷運び下働きに……ありゃ、商隊主の小デブさんも居る。

 つまり、この乱暴狼藉は彼ら2人の護衛兵の暴走では無く、計画的な罠だ。

 

「ふ~んむ……やはり、アンタ等は“奴隷狩り”商隊だったか……」

 座ったまま両手を上げているラシードが、周りを見渡しがにのらそう言う。

 

「やはり? 何気付いてたみてーなこと言ってんだよ」

 弟分らしき方が薄ら笑いでそう応えると、他の護衛兵に商隊主もそれに倣う。

「気付いててやられてんなら世話ねーな」

 うむ、ムカつくが確かにその通りだ。

「そうか? だが、俺たちはこうして生きてる。それはお前たちにこっちを殺す気が無いからだろ? つまり、重要なのはこっからだ」

 囲まれ、剣をつけられながらも、余裕の笑み、とでも言うかの表情でそう言うラシード。

 

「はぁ? 何か隠し玉でもあるってのか、ああ?」

 完全にこちらを制圧した気で居る護衛兵の兄貴分がそう睨み付け言うと、

 

「そうだな……まずは、ブーちゃんだな」

 

 と、俺への目配せ。

 

 網で体は不自由ながらも口は自由。その自由な口からまずは一発、人狼の咆哮を浴びせかける。

「ひっ……!?」

「な、何だ?」

 あくまで完璧なやつじゃあない。ただ、わずかなりの呪いの力の込められたその咆哮は、彼らの腹の底にある恐怖心を膨らませる。

 そしてその隙に、いつのまにか姿を消していた頼れる相棒が、囲みの外から一直線に走ってくる。

 

「ぐあ!?」

「け、毛長牛だ!!」

 

 残念! 毛長牛に見えるのは偽装です! 真実の姿は聖獣巨地豚のタカギさん。飛べない豚はただの豚だが、聖なるオーラを放つ豚は、ただの豚ではなく聖なる豚だ。

 逃げ惑い跳ね飛ばされる護衛兵達。勿論手にした投網も落とされる。素早く腰のミスリルダガーを抜きはなって網を切る……といきたいが、むむ、これやはり簡単には切れない太さに硬さだ。仕方なくもたもたとはねのけ脱出する。

 

 セロンもまた、既に【閃光】による目潰しで隙を作り、囲みをはねのけ山刀を抜いている。ただの曲芸弓使いではない。若手、見習いとは言え、闇の森ダークエルフレンジャーの一員、魔術も剣技も使える万能戦士だ。

 

「て、てめぇら、親分がどうなっても……」

 そう叫んで、「お手上げ」状態だったラシードを人質にしていた護衛兵が手にした剣を振り上げると、ラシードは機を逃さず右腕で相手の剣をはねのけその手首を掴む。そしてそのまま、立ち上がる勢いを利用して護衛兵を地面へと打ち倒した。

 流れるような動きで倒した護衛兵の腕を踏みつけにし、手から落ちた剣を蹴り上げて掴むと、くるりと回してからさっと構える。まるで映画のワンシーンみたいだ。全く憎たらしいほどに決まってる。

 

「さて、これで振り出しだな」

 味方にすると頼もしく、敵ならかなりムカつくだろう涼しげな顔でそう言うラシード。

 大柄な方の護衛兵はそれを受け、

「ケッ! 舐めた真似しやがって……まだこっちゃおめーらの二倍以上いるんだぜ!?」

 と、そう凄む。数を笠に着て勢いで攻め立てようとの腹積もりか。

 

「だな。だが……多分そりゃ、あとちょいとばかしの間だけだ」

「はぁ? なんだとォ……オぁ?」

 

 自信か虚勢か、不敵な物言いのラシードの、その背後に現れるのはかなりの人数の人の姿。

 

「て、てめぇ、どうやって……」

 ラシードの後ろの人の群れの中、それを誘導するかの猫背の男はアリックさんで、その手にはあの馬車の荷台を閉じていた大きな錠前がある。

 ラシードが言ったようにこの隊商が奴隷狩りをしてたのなら、この人たちはその捕らわれた奴隷、積み荷だったのだろう。

 人々はそれぞれやつれ、衰えた様子に身なりで、一部には手枷足枷に猿轡。戦力として考えればあまり頼りにはならなさそうだ。

 だが、数の優位を笠に着ていた護衛兵からすれば、その優位が完全に覆された状況だ。

 その上、今の一連の流れからも、俺を含めた“山高帽旅芸人一座”の戦力が、個々に彼らを上回っているのはハッキリと分かる。

  

「……くそ、構わねぇ、やっちまえ!」

 自棄糞気味にそう叫んで突撃を開始する護衛兵たち。

 乱戦になれば数で負けてても体力、気力に勢いで覆せる。この勢いでは、俺の不完全な人狼の咆哮はもはや効かないだろうし、下手をすれば今解放されたばかりの奴隷達が恐慌に陥る。

 なんとか網から抜け出した俺は、今度はその網を手に取りぶん回す。足元を薙ぐような網に、四、五人が転び、またつんのめる。

 それから回転する勢いのまま網から手を離して投げつけると、さらに数人を絡め捕り打ち倒す。

 

「二手に別れろ!」

 指揮する大柄な護衛兵と大勢はそのままラシードの方へ。その弟分らしいもう1人は、数人を連れて俺へと向かってくる。


「オークってのはな! タフで力もあるが小回りが利かねえんだ!」

 5人ほどが俺を囲みながら、足を止めずに矢継ぎ早の攻撃を繰り出す。うーん、なかなか勉強しているなァ、こいつら。

 小回りがきかないというのは結構知られてるオーク戦士の弱点。怪力頑強で猪突猛進型の多いオーク戦士は、パワーはあってもその攻撃は単調で、一本調子の勢い任せ。なので大勢で囲んで機動力で翻弄し、あまり近づかない位置から攻撃を仕掛けるというのは、まあまあ知られた対オーク攻略法だ。

 だがそれは、あくまでごく一般的で凡庸なオーク戦士の場合。

 前世が黒帯のちびオークであるこの俺は、いわゆる一般的なオーク戦士とは戦い方が違う。

 そもそも、猪突猛進で周りの全てを破壊してしまう重戦車のようなパワーもガタイもないしね。

 

 1人が突き入れてきた短めの手槍の柄を受けて絡め捕る。驚いたその護衛兵は無理に引っ張ってバランスを崩し、そのまま腰を落とした俺がさらに押し込むと、ズデンと後ろにひっくり返った。

 それだけで包囲はいとも簡単に破れる。そしてそれをカバーする連携も出来てない。

 

 なるほど、と、俺は1人納得する。彼らは確かにそれなりに戦い慣れているし、技量もそこそこあり装備の質も悪くはない。だが、あまり強い相手とは戦ってきていないようだ。

 今までは自分達より弱い相手……つまりは奴隷狩りの対象となるような逃亡奴隷や流民貧民を相手に、数と勢い、そして今回俺達を襲った時のような不意打ちやだまし討ちと言うやり方でばかり戦ってきたのだろう。

 だからおそらくは、知識として対オーク戦士向けの戦術を知っていたとしても、実際にオークと戦ったことはないんじゃなかろーか。

 

 そしてその時、包囲を破った俺の方を、ラシードへと手下とともに向かっていた護衛兵数人が、驚きとともに目を向けた。

 ラシードはその隙を見逃さない。すかさず大柄な護衛兵の足を蹴り払い、その態勢を崩す。

 バランスを崩しよろける大柄な護衛兵の腕を、ラシードはさらに掴んで引き寄せたかと思うと、そのままもう一方の腕を肩から首へと回し……ほんの一瞬の間に、その身体の自由を奪ってしまう。

 

「おぉっと、立場逆転だ。今度はお前さんが人質だぜ」

 その鮮やかすぎる動きを把握出来ていたのは、ほんの数人だろう。

 

 そしておそらく、あの大柄な兄貴分のような男は、護衛兵たちの隊長、指揮官役だ。実際、その男を人質にとられてから、他の護衛兵たちの動きが、どうして良いか分からないとでも言うかに止まる。

 確かにラシードの言う通り、立場逆転で決着……となりそうだけども……さてどうなる?

 と言うかラシード、この後の事もちゃんと考えてんだよね?

 

 

 



 次回、意外な人物が再登場!



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