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遠くて近きルナプレール ~転生獣人と復讐ロードと~  作者: ヘボラヤーナ・キョリンスキー
第三章 クラス丸ごと異世界転生!? 追放された野獣が進む、復讐の道は怒りのデスロード!
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3-28.クトリア議会議長、レイフィアス・ケラー「え、待って、そういう可能性あったの?」


 

 

 ホールに響く重低音は太鼓の響き。ドンドンドンドドンと一定間隔でリズムを刻む。

 リズム音楽というのは言わば野生の音楽だ。生物としての本能を刺激して呼び覚ます。

 その点で言えば、ここで帝国風やクトリア王朝期風の旋律を主体としたハープやウルダなどの弦楽器による宮廷音楽を選ばないというのは上手い着眼点。

 うん、いやー、スゴイスゴイ。

 

「どうですかい? 一応まずは男も女も自慢の綺麗どころを取り揃えちゃあみましたがね?」

 あ、ハイ、そうですね、ええ。分かります、分かります、ええ。

 人種、性別も様々な、見事なまでなバリエーション。そのキャストがほぼほぼ裸に近い面積の布地と宝飾品で身体の一部を飾っただけの格好でズラリ勢揃い。

「なるほどなるほど、こりゃーたいしたもんだ、ああ」

 愉しげに目を見開きつつそう言って見回し、時には手を取り、またはしげしげと見つめてイベンダー氏。勿論、さすがにあの全身金ピカ鎧姿ではなく、篭手とブーツ以外は“妖術師の塔”で着替えてきた小綺麗な服装だ。

「へへ、おぼこいドワーフ娘もいやすぜ」

 そう視線を向ける先にはなんとも肉感的で小柄なむっちりさん。あれ、なんだろ。まだ小さかった頃のタカギさんちょっと思い出した。いや別に顔立ちのことではなくね。ちょっと癒し系のぷにぷにしたくなる感じ?

 

 

 クランドロールの取り仕切る“大神殿”は、言うなれば巨大総合風俗ビル。ありとあらゆる性のアミューズメントパークだ。

 基本はギャンブルと飲食を中心とした娯楽施設ではあるんだけど、フロアによりいわゆるストリップショーのようなものがあり、いわゆるキャバクラのような接客係と対話しつつ飲食するスペースがあり、またその中から個別に指名やら何やらをして個室を借りることでさらなる追加サービスをも受けられる。

 システムとしては昔の吉原にやや近い……のかな?

 個々の接客係にそれぞれきちんと交渉して関係を持つ、というやり方らしい。

 

 

「よし、そうだな……。この娘とあの娘と……あの彼と……あそこの猫獣人(バルーティ)……と、犬獣人(リカート) をつけてくれ」

 何やら慣れた感じで指名をし、すたすたと先へ進むイベンダー。

「レイフィアス様のご指名は?」

 フロア支配人がニヤニヤしながらこちらへと話を向けるが、

「あ、いえ、けっこうです……」

「けっこ……う?」

「あ、あー、指名はしません。席に向かいます」

 慌てて杖を突きつつイベンダーを追う。

 

「で、お連れ様は……?」

 僕の後ろでエヴリンドにそう聞くフロア支配人だが、見ていないものの多分一睨みで黙らさせられる。いや、勇気があるのか鈍感なのか。僕ならあの表情のエヴリンドには話しかけられない。

 

 まるで臆することなくずんずん進むイベンダーに、その後を冷静を装いつつひょこひょこ追う僕。そして睨みだけで人を殺せそうな不機嫌フェイスのエヴリンドに、物珍しそうにキョロキョロ見回しているデュアン。

 この奇矯な四人連れは、エントランスホールを抜けて中二階の特別室へ。

 で、そこで待ってるのはこのクランドロールのボス、例の頭髪が著しく寂しい小柄な丸顔おじさんのクーロ。

 つまり、怖~いマフィアのボス。

 

「よーう! お招きに預かったぜ、クーロ!」

「おお、よく来てくれたね、イベンダーに、レイフィアス殿。それと、あー……」

「私はエヴリンド。後ろはデュアン」

 長椅子に座り横に美女を侍らせつつそう声をかけてくるクーロに対し、エヴリンドはまたも睨みを効かせて、

「貴様等、人間の、下賤で、卑しく、下らぬ、遊びに、レイフを、付き合わせるつもりなら……覚悟しろ」

 と、えー……どストレートな脅し。

 

 これにはさすがのクーロも面食らいつつも苦笑い。いや、苦笑いじゃ普通は済まないだろうけどさ。

「エヴリンド、駄目です、それは。失礼です」

「ま、ま、まあ。エヴリンドはその……護衛官としての責任感が強過ぎまして」

 帝国語の習熟度の一番高いデュアンがそうフォローをしつつ、クーロへと改めて挨拶をする。

 

「いやいや、勿論俺ぃら達は“王の名代”たるレイフィアス殿に失礼な真似はしやせんぜ。

 最大限のもてなしで歓迎いたしまさぁな」

 クーロの方はこれまた慇懃無礼にまでならないさじ加減での返し。

 前に会ったのは最初の召集のときで、その時も特に威圧的な態度でもなかった。クランドロール自体が貴族街三大ファミリー随一の武闘派だと言うにしては、人当たりはかなり良い。

 それでいて、前のボスを謀殺するクーデターで新たなボスになったと言うのだから───あー、チビるわ。やっぱ怖い。

 

「さあて、まずは一献。ヤシ酒もありやすが、王国輸入のウッドエルフワインも、麦酒もある。北方(ギーン)人の蜂蜜酒もありやすぜ!

 何でもお望みのモノを!」

「あ、じゃあ果実水を」

「私はウッドエルフワインを!」

「ただの水でいい」

「俺は全部飲むぞ。まずは軽く麦酒からもらうか」

 エルフはドワーフなんかに比べずともそれほどアルコールに強い種族ではないけど、僕なんかは特にそうだ。この状況からちょっとお酒に逃げたい気持ちも無くはないけど、それはまあ良くないよねえ。

 

 フルーツ盛りやらおつまみやらに、注文の飲み物がテーブルに並び、相対する僕らとクーロ。そしてその間で身体を密着させつつ座り、また脇に立って給仕役をする接客係の面々。エヴリンドは僕の後ろに仁王立ちして、僕の横に座ろうとしたむちむちの猫獣人(バルーティ)女性をデュアンの方に押し付けて、がっつりと護衛官の責務を果たそうとしている。

 

「にしても、クーロ新体制はなかなか好調みたいだな?」

 麦酒をあおりつつそう言うイベンダーに、クーロはにやけながら頭を掻いて、

「なぁに、あんたの言う通りだったってだけよ。サルグランデ色を完全に払拭してからの方が、明らかに評判が良くッてね」

 サルグランデというのは前のボスのことらしい、というのは聞いている。細かいことは知らないけど、かなり凶悪な人物だったという話だが……。

 

「なあ、レイフ。お前さんここ来て、ちょっとばかし意外だったんじゃないか?」

 不意にイベンダーはそう話をこちらに振る。

「へ? え? な、何が?」

 いきなりのことにそう間抜けな返しをしてしまうが、イベンダーは続けて、

「クランドロールが凶悪な武闘派集団だと言われてたのは、まあ元々の母体が傭兵団だったというのもあるが、殆どは前のボス、サルグランデとその腹心“鉄槌頭”ネロスのせいだ。悪趣味で残虐なサルグランデに、その命令があれば誰でもそのオーカリコス銅並みの頭で叩き殺すハーフオーク。ま、同じオークと言っても、ガンボンとはえらい違う、まさしく殺し屋だった。

 で、その二人の恐怖体制を打ち破った、いわば英雄が……このクーロだ」

 

 突然のセールストーク。なんとも凄い持ち上げようだ。

 言われたクーロも悪い気はしてないようで、元々の赤ら顔をさらに赤くしながらも、

「いやいや、俺一人でどうにかしたわけじゃあねぇってのよ」

「だが、あんたの英断がなきゃああも見事な交代劇はなかったろ?」

「周りの協力あってのこと……てことで、勘弁してもらいてぇとこですな」

 言葉とは裏腹に、ガッハッハ、てなくらいの上機嫌。

 

「今のこのクランドロールの営業形態もな、昔のサルグランデのやり方とは全く違う。

 確かに俺もちょっとばかしは助言もした。けどそのちょっとの助言でこうまで見事な新体制を作れたのはクーロの手腕だ。

 例えばサルグランデのやり方じゃ、女も男も“売り物”は殆ど常に鉄かごの中に閉じ込められ陳列されていたか、飾り柱に鎖足枷で繋がれていたかだ。

 それを指名してフロア支配人に金を渡して連れ込んで好き放題する……てなのが昔のやり方。やりすぎて怪我をさせても……或いは死なせたとしても……追加料金で弁償さえすりゃそれで許された」

 聞いてて、本当に憂鬱になるような話だ。それが法無き廃墟の当たり前なのだとしても、どうしようもなく嫌悪感と絶望感がこみ上げてくる。

 

「今は違う。ちょっとうっかりやりすぎた、なんて言い訳はクーロが許さねえ。はした金の弁償金だけじゃなく、きっちり落とし前つけて叩き出すし、何事も無理強いは許さない。クーロは確かにサルグランデみてえな残虐趣味はねえ男だが、だからッて糞客にまでペコペコするような根性無しじゃあねえ。やるべきときにゃやるべきことをきっちりとやる。そういう本物の男だ」

「おいおい、イベンダーの旦那、ちょっとそりゃあ誉めすぎだぜ?」

「誉めすぎなんてことは全く無い。このレイフには、あんたって男のことをちゃんと分かってもらわないとなんねえからな」

 

 この歯の浮くようなやりとりに、後ろでエヴリンドが軽く鼻で笑う。デュアンはウッドエルフワインを飲みながら鼻の下を伸ばしてセクシー猫獣人(バルーティ)とダイナマイト南方人(ラハイシュ)の二人のギャルちゃんに挟まれてウヒウヒ言ってる。お前だけ普通に楽しんでるな!? 外交官だろ、本職!?

 

「ま、つまりさっき入り口で説明されたここのシステムやら何やらに、この建物全体の雰囲気、そして接客係の安全面諸々、全てクーロあってこその健全さなわけだ。そこが重要、そこがな」

 ここまでの流れをまとめてイベンダーはそう締めくくる。

「いやー、まあ、俺ぃらとしては、ね。そりゃ特別なことをしてるわけでもねぇですぜ? ま、サルグランデの野郎がやってたことのツケを、少しばかりでも払ってかなきゃならねェのも、集団を率いるものの務め、ってーことでさぁね」

 うーん、なかなか見事に赤ら顔が赤くなっている。

 

「はい、分かります。クーロさんは、とても素晴らしい、責任感と、公正なる、良い精神の持ち主ですね」

 積み重ねたやり取りの上に、僕はそう最後のピースをはめ込む。

「であれば、今抱えてる新しい法案も、問題なく賛成して頂けると、期待してます」

「……んん?」

 こちらとしては打ち合わせ通りの落としどころ。それにやや疑問符をつけるクーロだが、そこから先はまたさらにイベンダーが畳み掛ける。

 うーん……恐ろしい。

 

■ □ ■

 

「くだらん猿芝居だ」

 呆れたようにそう吐き捨てるエヴリンド。いやまあ、否定は出来ないね。

 既に“妖術師の塔”へと戻っていて、応接室内で僕は疲れてややぐったりと長椅子にもたれて座っている。

 

「ま、だが結果は上々だろ?

 クーロは善人じゃないが、話に聞くサルグランデなんかに比べりゃかなりマシだ。

 その上虚栄心が強く、サルグランデと比べられて舐められる事をかなり嫌う。

 だからあいつには、『こうすればサルグランデよりも優れたリーダーだと思わせられる』ということを匂わせれば、自分から進んでそっちに向かう」

 エヴリンドの言う“みっともない猿芝居”でイベンダーがクーロをべた褒めしてたのには二つの意図がある。

 一つはシンプルにクーロを気持ちよくさせるため。

 もう一つは、事前にイベンダーがクーロと「打ち合わせ」していた通りに、「王の名代としての権限を持つレイフに対して、いかにクーロが優れたリーダーかをアピールしてやる」ため。

 

 つまりイベンダーは僕との打ち合わせ通りに「クーロをおだてて、新しい法案を通しやすくする」ことをしつつ、クーロとの打ち合わせ通りに「クーロの味方として、僕のクーロへの印象を良くする」ことを同時にしていた。

 クーロは旧知のイベンダーを味方につけることで僕に対して要領よく立ち回ろうとしているわけだけど、僕はイベンダーを通じてクーロを上手く法案賛成に引き込みたい。

 そしてイベンダーはその両方の要望をきちんとこなしている。

 

 通したい法案の中で、何よりクーロによる賛成を取り付けたかったのは、一つは風営法に近いもの。つまり貴族街の要である娯楽産業への諸々の規制。

 これを普通にそのままポンと出せば、貴族街選出の上院議員は反対する可能性が高い。

 具体的には、衛生管理や接客係のケアに保護の義務化、劣悪な環境での奴隷労働の禁止または制限といった事柄などがあるが、クランドロールのクーロは、実はそれらのうち半分くらいは既に実践していて、それを「助言」してたのがイベンダーだ。

 そのときにも「サルグランデ色を払拭し、クーロ新体制をアピールする」ということを口実にしていたらしい。

 

 で、サルグランデ時代の“大神殿”のやり方が、さっきも聞いたとおりにあまりにも残酷かつ悪趣味すぎたことで、王国からの観光客や駐屯軍兵士たちにも引いている客層は少なくなかったらしく、クーロ新体制で健全化に大きく舵を切ったことは概ね好評に受け止められ、売り上げもかなり向上したらしい。

 なのでクーロとしては新しい貴族街娯楽産業への規制法案が成立しても「自分たちにはそれほどの損はない」と、認識している。

 今回の会談によって、クーロは「自分たちにはさほど損はない法案を押す」ことで、「他の勢力には損の大きい法案を通しやすくなる」という立場に立てる、と。そう思っている。

 実際にどうなるかは分からないけどもね。

 

 んで、こういう感じのことを、プレイゼスに対してもマヌサアルバ会に対しても行う……予定。

 その辺の腹芸的なことは、まーイベンダーに基本丸投げなのですが、いや、この人、本当にこう、文字通りに食わせ物だわ。

 だって今回の会談で一番得をしているのは僕とクーロの双方にきっちり恩をうったイベンダーなんだもの。

 

「ふはァ~……。これを、明後日もかあ~……」

 またもや思わず愚痴が零れ出る。

「おうおう、明後日もだ。それにな、お前さんのその見た目は、実に役に立つぞ」

「えー? 何それドーユー意味っスかー?」

 

「人間の間ではまだエルフ、特にダークエルフへの畏怖心は根強い。クトリアじゃあ珍しい分特にな。

 だがお前さんはちょいと着飾ればパっと見はなんとも可憐な少女だ。先入観としてある畏怖心と、それを覆すような華奢な見た目のギャップ。これはなかなか、相手のペースを上手く乱してくれる」

 あー、はぁー、そーですかー。まあ、分からんでもないですな。ギャップ萌え? ギャップ萌え的な?

 特にすぐ後ろに、その先入観による畏怖心を具現化しかたのようなエヴリンドさんが睨みを効かせてればなおさらだろう。

 あ、刑事物で言う「良い刑事、悪い刑事」みたいなもんか?

 

「にしても……ふん。なかなか食わせ物であったな、あのクーロとか言う男も」

 そのエヴリンドが、腕組みに不敵な顔でそう言う。

「うん? 何のこと?」

 まあイベンダー程ではなくともクーロが食わせ物なのはそうだろうけど、エヴリンドが注目するような要素はあったのかな? と疑問に思う。

「あの場にいた接客係? とかいう者共、半分は戦士だったぞ」

 え?

「お、気付いたか。流石だな」

 

「ちょっ、え? どゆこと?」

 キョロキョロ見回すと、あれ、何か僕だけ気付いてない、みたいな感じ?

 

「ありゃ多分、サルグランデ時代から密かにクーロが集めて仕込んでいたんだろうな。言わばクランドロールの裏部隊だ。刺客兼密偵兼娼婦、男娼……というところだろうな。

 お楽しみの最中ってのは誰でも油断が出来る。王国からの上客や駐屯軍なんかから、さり気なく情報を抜き取る……てのが基本目的なんだろうが、今回みたいな密談中の護衛や、場合によっては暗殺……なんてことも出来るだろう。もしかしたら機を見てサルグランデの暗殺を狙うつもりで集めてたのかもしれん」

 

 ……え、何それ怖い!?

 見た目では分からないだろうけども青ざめつつ、デュアンの方へと視線をやると、

「……あ、ちょっとレイフ、私のこと甘く見てません?」

 何よ何よ、鼻の下伸ばしておねーちゃんと乳繰り合ってただけじゃないのよ!?

「ちゃんと外交官として彼ら、彼女らのこと、探ってたから、分かってますよ。

 南方人(ラハイシュ)の彼女、かなり西の方に行ったシーリオという街の出身だそうです。右手に剣だこがありましたね。何気に日々剣の練習をしてるみたいですよ。猫獣人(バルーティ)の娘はなかなか凄腕っぽいですね。魔力循環も使えて、身体能力も上げられるようですから。初歩の魔術なら使えそうかな? ドワーフ娘は……多分、盗賊あがりですね。肉付きは良いですが、ちょっとした所作もしなやかで手ワザに長けてる感じ。

 それと横に立っていた北方(ギーン)人の彼、多分あの腕に入ってた入れ墨……んー、熊髭の戦士かな? 脚を悪くしているみたいなので、それが原因で戦士として一線は引退したんでしょうけど、経験は積んでそうです」

 

 あんーぐり、と馬鹿みたいに口を広げてしまう。

「私らケルアディードの外交官は、各地の文化風習について勉強させられますし、さり気ない会話の中で相手の情報を引き出すのも練習させられるんですよ。

 まあ、ウチの郷は何せナナイ様がやたらあっちこっち出掛けるでしょ? おかげで他の郷より情報の蓄積は多いんです」

 

 やば、本当に気付いたなかったの僕だけっぽい!?


「エヴリンド、お前さんの見立てでは、あの場で何か起きたとしたら……勝ててたか?」

 何気ない風にそう聞くイベンダーに、エヴリンドは

「……微妙だな。デュアンはたいした戦力にならんし、あんたも鎧無しだと並以下なんだろ?

 まず右手に魔法剣を召喚して北方(ギーン)人を無力化しつつ、左手で南方人(ラハイシュ)に【閃光】で目潰し。

 デュアンにはせめて幻惑系でドワーフ娘か猫獣人(バルーティ)を少しでも牽制して貰い、その隙にどちらかを斬り殺す……。

 うむ、やはりレイフにも何かしら召喚してもらわんと厳しいな」

 とこれまた事も無げに答える。

 

「え、待って、そういう可能性あったの?」

「なかろうよ。ただのシミュレーションだ」

 不穏! でも……うん、そうね、それ、確かに護衛官には必要な思考ね、うん。

 

 僕、今まで正直、エヴリンドのことちょっと苦手だなー、怖いなー、とか思ってたんだけど、実際にこうやって護衛されると分かる。

 この人凄い。 

 


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