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喫茶魔王は営業中。  作者: KAGOME
2/16

ここ、開いてますよ?

ここは三界友好条約が結ばれた魔界。



 かつて神々が集い結成された「天界連合」と止まぬ戦いを繰り広げてきた魔界も今や、

暗雲たちこめ雷が降り注ぐ空は晴れ、爽やかな青空を拝むことが出来るようになり、

天界の者の血をためていた穴には、代わりに肩こり腰痛etcによく効く温泉施設が建てられ、魔物の住処には人間界の技術を借り、立派な住居が出来た。


 時が経つにつれ魔界にも飲食店や娯楽施設、学び舎や交通機関などが増え、人間界にとって魔界とはちょっとした観光先となった。


~~~~~


 魔界中央ゲートから人間で言う徒歩20分、最寄りの駅から5分ほどにある大通り。


 西洋が感じられる建物が並び、観光客や学び舎帰りなどの若者が目立つ通りである。


 そこに並んでいる店に1つ、『喫茶魔王』と書いた看板を飾った喫茶店を営んでいる。周りの建物の景観を乱すことない佇まいで、世間一般でいうオシャレなお店というのにも当てはまっていると思う。


 1日に何回も、外の掃き掃除を行っているため、この店の前に落ち葉などがたまったり、ワイバーンなどの鳥類のフンが落ちてきてそのまま放置、なんてことはない。ワイバーンが鳥類かは知らんが。


 店内はカウンター席とテーブル席があり、席をすべて埋めれば30人ほどが店内に収まる。

もちろん店内も常に清潔を保っており、掃除を怠らない。トイレには人間界でいう音姫をつけている。

メニューはそれなりに多いほうで、どれも試作を重ねたうえで提供しているものなので味にも自信がある……と、思っている。


 もちろん喫茶というからにはコーヒーにもこだわっている。


 魔界の西端にある、香りが独特でクセのあるこの地域では珍しい豆から、しっかりと観光客向けに人間界にあるビッグネームの豆を取り寄せ、またそれらの味が活かされるブレンドも調整済みである。


 コーヒーほど種類はないが紅茶もおいてある。紅茶に関してはまだまだ知識が足りないので、人間界の香料や茶葉の種類や作り方が書いてある書物を読み漁り、最低限店に出しても恥ずかしくないレベルのものはいくつか出来た。



 こうして立地、景観、味の良さを兼ねている喫茶魔王の従業員を紹介しよう。


 まずはこの俺、魔王。「サタン」という名前があるが、魔界の者は大体俺を魔王様と呼ぶため自分でもあまり馴染みのない名前だ。それに魔王とは言っても今の魔界の政治は、元天界連合総長のゼウスに任せてある。


―――従業員、以上、1名だ。俺しかやってない。


別に1人にこだわりがあるとか従業員の募集をかけてないわけではない。むしろ外の窓にアルバイト募集の張り紙を貼り出してあるのだ。だが一向に来ない。



俺は焦っている。

ついでに言えば客も一向に来ないのである。

今日来なければ新記録タイ 6日間連続のお客様ゼロである。

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