入学式・朝
まだ入学してない。
「おはようござまーす。」
「おはよう…。」
「あれ?琴葉ちゃんだけ?」
入学式当日の朝。
居間へ行くと一人ポツンと本を読んでいる琴葉ちゃんがいた。
「お母さんはご飯の支度中、縁はまだ寝てる。」
ふと、時計を見てみる。
現在は6時30分。
この家から学校までは20分ほどなのでもう少し寝ていても許される時刻ではある。
「でも高校初日よね?」
入学式といってもこんなところではほとんどが幼馴染みたいなものだから特に緊張とかはしないのであろうか。
「縁、本気出せば瞬間移動できる。寝坊しても問題ない…。」
「なんか腹立つわぁ…」
「でもその分、結構疲れるらしいわよ。」
「あ、鈴葉さん。おはようございます。」
「おはよう。お茶どうぞ。」
「ありがとうございます。」
鈴葉さんは私に緑茶を渡すと、テーブル(ちゃぶ台?)の向かいに座った。
「やっぱり、人間の血が入ってるとちょっとした力使うだけでも大変みたいね。琴葉もそうだし。」
「私は雪があれば平気…。でも、縁は…」
何か力を使うために必要なものがあるのだろうか?
「…なんていうか、生気よね。」
「はぁ?」
雪女が吸い取るやつでおなじみの生気?
そうなると縁のほうが雪女っぽい気もするが。
「つーか、あれだ、恋心。」
いつの間に来ていたのか、後ろには縁がいた。
「なおさら意味わかんないし…」
「要するに、モテればモテるほどデカい力が使える。」
「原理の話よ。ていうか、いつの間に?」
「下降りたら話し声がしたから聞いてみれば能力の話じゃん?だから使って見せただけ。」
「瞬間移動を?」
「気配を消すやつ。」
確かに縁が声を出すまで縁の気配はしなかった。
「ほんと、お前みたいなのが陰陽師なれたら苦労しねぇだろうな。」
「うるさい。」
「さあさ、皆揃ったことだしご飯にしましょ。」
なんとご都合主義な縁の設定。