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第0話 彼女は確かにそう言った
初投稿です
拙い文章ですがどうか最後までお付き合いください
あの日、彼女は間違えたのだと思う。
「あの人は最低です」
俺の後輩は、両手を固く握って小さく呟いた。
彼女のことが気になる、と言っていたクラスメイトは
「あいつって最低なんだな」
と言って、影で笑っていた。
中学校に入ってずっと続けていた部活の引退セレモニーが終わった。帰り道、俺は彼女に言った。
「気にすることないよ。きっと全部しょうがないことなんだよ」
俺の言葉を聞いた彼女は小さく首を振ってから、口を開いた。
「私は、最低だよ」
彼女は確かにそう言った。
そして僕は――中田皐月という人間は、なにも言えなかった。