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とある侍女の手紙

 

 親愛なる友人、マリアへ


 貴女がこの城からいなくなって、どれくらいの時が流れたでしょうか。

 相変わらず、城の者は自分の都合の悪いものは見えず、都合の悪いことは聞かない、盲目のままです。

 けれど、最近、聖女対策に遣われていたアラン、サーヴェン、マークスの3人が、新しい聖女によって目を覚ましました。

 その聖女は、私が騙していることも分かった上で私のことを心配するお人好しです。

 お人好し過ぎて、情がうつってしまったようです。

 貴女との誰にも告げないという約束を破ってしまいました。ごめんなさい。


 いいえ、私はそんなことで謝りたいのではありません。

 ごめんなさい、マリア。

 私は貴女を裏切ったのです。自分の身可愛さに、貴女を見捨てたのです。

 きっと貴女は気付いていたから、こんな魔法、いや、呪いを私にかけたのでしょう?

 貴女が死んでから、私は確かに時間が戻ってきたことを実感しています。


 いいえ、いいえ、時間は戻せないのです。

 私は疲れました。

 聖女たちを騙すのも、壊れていくハーゲスト様を見るのも、そのハーゲスト様の言いなりになる苦しそうなエヴィ様を見るのも、周りがいなくなっていくなかで、生きていることにも。


 最後に、ハーゲスト様は私が連れていきます。

 そして、マリアの元に送ります。

 ですから、いいでしょう?


 もう、死んでもいいでしょう?



(以下、赤黒い染みに染まり解読不可能)





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