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とある魔術師の観察日記

一日目

今日から花の観察日記をはじめようと思う。

前の花はすぐに枯れてしまったから、今回は水をいっぱいあげて言葉をかけて愛情たっぷりに育ててあげよう。

そうすれば、きっと綺麗な花を咲かせるだろう。


二日目

変わった花だ。

前の花たちは、萎れているところに言葉をかけてあげたら立ち直っていたのに、萎れるどころかトゲが沢山あって元気なような気がする。

トゲで怪我をしないように気を付けよう。


三日目

ぐんぐん茎を伸ばしている。

凄い急成長だ。

これは期待出来る。

もっと水をあげなければ。


四日目

なんでだ。

水をあげればあげるほどトゲが増えていく。


五日目

変化なし


六日目

こっそり夜に様子を見に行くと、葉っぱが萎れていた。

昼間は元気な様子だったのに。

夜だけ萎れているようだ。


七日目

少し気にかけて声をかけてあげた。

トゲが増えた。


八日目

変化なし


九日目

変化なし


十日目

また少し伸びた様子。

どこまで伸びるのか、楽しみだ。


十一日目

変化なし


十二日目

あのくそ花枯らしてやろうか。

胸がムカムカする。


十三日目

変化なし


十四日目

ここくらいで枯れていくか花を咲かせ始めるかが決まってくる。

だが、この花はその兆しが見られない。

どうゆうことだ?


十五日目

変化なし


十六日目

他の侍女や執事が水をやると生き生きしているような気がする。

何が違うのだろう?


十七日目

変化なし


十八日目

変化なし


十九日目

変化なし


二十日目

サーヴェンが花の前で愚痴を溢していた。

激励のようにトゲがポロリと目の前に落ちていた。

それだけだった。


二十一日目

日光に当たりたいようでそわそわしている。

侍女たちに頼んで少しだけ日の当たるところに持っていってもらう。

心なしか生き生きしていたような気がする。


二十二日目

変化なし


二十三日目

最近、トゲが刺さらない日は物足りないような気分になる。

なんでだ。


二十四日目

変化なし


二十五日目

エヴィは僕と同じでトゲを増やす側だったようだ。

ざっくり刺されていた。


二十六日目

変化なし


二十七日目

変化なし


二十八日目

久しぶりに夜に様子を見に行く。

やっぱり萎れていた。


二十九日目

水はあげずに声をかけるだけに留めておいた。

でも、やっぱりトゲが増えた。

痛い。癖になりそうだ。


三十日目

花を元気にさせる達人のアランがトゲにやられていた。

本人は笑顔だったが、1人になったときのオーラが禍々しすぎて近寄れなかった。

花はいつも通りだった。


三十一日目

変化なし


三十二日目

変化なし


三十三日目

花が咲かなくて焦ってきた。

そろそろ最後の段階に移るようだ。


三十四日目

変化なし


三十五日目

いつまでもトゲが消えない。

今までトゲなんて生やした花はなかったのに。

新種なのだろうか?


三十六日目

変化なし


三十七日目

トゲが消えないが、仕方ない。

そろそろ準備も整いつつあるようだ。


三十八日目

変化なし


三十九日目

日記を振り返ったら花以外のことが多く書かれている。

花が変化しなさすぎるのが原因だと考えられる。

今日も変化なし


四十日目

まずは僕が挑んでみたけど、トゲを増やしただけだった。

どこまで増えるのだろうか?


四十一日目

日にちをあけてやってみるようだ。

茎が見えなくなるくらいトゲが増えては困るからな。


四十二日目

変化なし


四十三日目

サーヴェンが挑む。

やっぱり駄目だった。

何故かサーヴェンにはいつもトゲを落とすだけ。

この線引きはなんだ。


四十四日目

侍女たちに日を当ててもらって満足している様子。


四十五日目

変化なし


四十六日目

変化なし


四十七日目

エヴィが挑む。

再びざっくり刺されていた。


四十八日目

変化なし


四十九日目

変化なし


五十日目

最後はアランだ。

話しかける前にトゲが増えていた。

失敗。

誰も花を咲かせることが出来なかったが、大丈夫なのだろうか?


五十一日目

変化なし


五十二日目

変化なし


五十三日目

あれを挑んでから話しかける間もなくトゲが増えていっているような気がする。

本当に花は咲くのか?


五十四日目

変化なし


五十五日目

変化なし


五十六日目

最後にもう一度夜に様子を見に行く。

元気はあるようには見えないが、萎れてはいなかった。


五十七日目

王から集合かかる。

もうすぐだ。


五十八日目

変化なし


五十九日目

日に当たるのが好きなようで、当たったその日は随分ご機嫌な様子だ。


六十日目

変化なし


六十一日目

変化なし


六十二日目

こんなに日記が続いたのは初めてかもしれない。

変化なしが多いけど。


六十三日目

あと二日後には決行するようだ。

あのトゲが刺さることはもうないと思ったら少し残念だ。


六十四日目

変化なし


六十五日目

花が消えた。

こんなことは初めてだ。

結局咲かなかった。

とりあえず、ここで日記は終わりにする。




久しぶりにこれをあける。

日記ではないが、花についてはここに記そうと思う。

花が見つかった。

と思ったら、前にあげた栄養材の容器だけが見つかった。

僕の最高傑作をなんだと思ってるんだ。

意地でも見付けてやる。


口の軽い商人で助かった。

花の居場所が探しやすくなった。


グラッジョだと


あれからアランの報告がない。

聞いてもまだ見付けていないという。

おかしい。



いつものように陣を描いてたらサーヴェンが来た。

花を持って。

演技せずにいつもの堅物のサーヴェンだったから、僕もいつもみたいに関わった。

トゲが今までにないくらい刺さって、わかった。

トゲって、気持ちいいものなんだって。

これからもトゲを増やしていこうと思う。

ということで、観察日記を続ける。

次のノートを買うことにした。




(次のノートへ続く模様)






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