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幼馴染みは桜風の吹くところ

音羽さんに歌を教えてもらって、今日で3日目だ。


「もう大丈夫だよ。そんな難しい曲じゃないし。」


音羽さんにそれを言われる日が来てしまったか。練習している間は、告白しなくて済む。そうやって先伸ばしにしても、決意した以上は告白の日が来る。それはわかっていた。


「そうだな、よし、行ってくる!」


決意すれば何と言うことはない。


まずは、告白の場所を決めなくては!





「………最後に1回、私にもチャンスが欲しかったな………。」




………告白の場所を決めるって言っても、どう考えてもここしか考えられない。


当然、二段公園の上、僕が桜風を浴びる場所。ここでなくてどこで告白しろというのか。


それに、僕はこの公園にほとんど人が居なくなる時間帯を知っている。17:30〜18:30にかけて、外で遊んでいる子供達が帰った後、約1時間程、この公園はもぬけの殻状態になる。それ以降になると、部活で疲れを癒しに来た学生なんかが休んでいたり、もう少しすると仕事で疲れた大人なんかが休んでいたりする。つまり、それまでの時間に風香を呼べば、2人きりになる。つまり、わたしの愛のうたを歌って、告白ができる。ほぼ毎日のように桜風を浴びている僕だからこそ知っている、この公園だけの特徴だ。


今の時間だとちょうどその頃かな。うん、だいたい子供が帰る時間だな。そろそろ公園にも人が居なくなって……………





そこには、落ち込んだ表情で桜風を浴びている幼馴染み、風香の姿があった。


「風香………?」


すると風香はこっちに気づいたようだ。


「………あっ、奏多!?最近ここに来てなくない?せっかく私が教えてあげた場所なんだよ。学校に残ってた訳でもないみたいだけど何してたの?」


「それより、風香こそどうした。そういえば最近の風香は元気無いよな。………もしかして、最近ここに来てたのか?」


「………うん。」


「やっぱりな。ここは気分を落ち着かせる場所だ。『嫌なことがあっても、この場所は存在する。誰のためにあるわけでもないから、全員のために桜風を吹かせる。』風香がここを教えてくれた時の言葉だろ?今はここで休んでろよ。いつか気分は癒されるだろうからさ。」


「………てたの。」


「ん?何してたって?」


「待ってたの!ここに奏多が来ないかなって。奏多なら、絶対に来るはずだって。だって奏多って、2日以上連続でここに来なかったことって1回も無いじゃない!!」


………え?


「そんな、なんのために?」


「奏多なら、私が楽譜を渡しただけであの曲をうたえるわけないってわかってたから、ここで奏多を待ってて教えてあげようと思ってたの!なのに、来なかったよね?あの曲、誰かに教わってたの!?」


「あぁ、それなら音羽さんに………。」


「音羽さん!?そんな………。音羽さんには渡さないでおいたのに!あーーーーーーもう!!」


もう状況がつかめない。僕は今日は告白前に確認をしに行こうと思っただけなんだ。風香がいるなんて想定外で、しかも風香があの曲を僕に教えるつもりだったってことも全く気づかなかったし………。


「どうしよう………。狂っちゃうよ、離れられないよ………っ!!」


風香は居なくなってしまった。


これから明日の告白にどうやって繋げるっていうんだ。せっかく幼馴染みとして安定させていた関係すら終わることにはしたくないと思ってたのに。まだ告白してないのに………っ!


なんかもう、どうしようもないな。最近は風香とあまり話してない気がするし、どうしようか、こんな時に限って風香と話したくなっちまった。


風香、どこへ行ってしまったのか。ここにいた風香は居なくなって、それで、幼馴染みとしての関係もそのまま消えてしまうんじゃないかとか………。





「………まさか、告白に失敗しちゃったとか?」


そして、そこに現れたのは音羽さんだった。


「僕はまだ、告白はしてないよ。」


「そうか、じゃあ、ちょっとだけ話を聞いてくれない?」

あと2話くらいで完結します。


だから感想ください。ユーザーじゃなくても書けるようになってますから!!

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