愛のうたと音羽日和
「大丈夫、入っていいよ。」
「お邪魔します〜。」
なんていうか、女の子の家なんて風香の家くらいしか知らないからなぁ。また違った感じがするよ。
風香、かぁ。幼馴染みで、今までたくさんの時間を風香と過ごしてきた。その中で、気づいてしまった気持ち。もうこれ以上隠せないこの気持ちを伝えるために、僕は今日ここに来たんだ。音羽さんだって、僕の頼みを聞いてくれたんだか、絶対に歌えるようになる。そして、この想いに決着をつけたい。
僕と風香の関係はどうなるのかな。上手くいけば恋人か、幼馴染みのままかもしれない。でも、僕と風香がこれまで作り上げた関係を崩壊させるかもしれない。
いや、そんなこと考えてたらやる気を無くしちゃう。たとえ上手くいかなくても、幼馴染みでいて欲しい。全く会えないなんて、嫌だ。
「安野君?」
「あ、あぁ、ごめん。せっかく音羽さんが頼みを聞いてくれたのに、ぼーっとしちゃったね。」
(もしかして、好きな人のこと考えてたのかな………。)
「音羽さん?」
「うわぁ!!ごめん、私もぼーっとしてた………。」
「お互い様だね。あはは………」
「あはは………」
やりづらいっ………!
「じゃあ、とりあえず楽譜を見せて。」
言われたとおり、楽譜を音羽さんに渡すんだけど………。あぁもう、なんだよ!このいづらさ!風香の家ではこんな事なかったのに。
………あぁ、風香に会いたい。想い伝えて、もっともっと、いつでも風香と一緒がいい………!!
………おっといけない。集中しなきゃ。目の前にいるのは音羽さん。覚えるべきは『わたしの愛のうた』、そして、届ける相手は………登川風香!!
「じゃあさ、私が一通り歌いながらピアノ弾くから、それでいいかな?」
「うん、いいよ。」
この短時間でもうそんなことできるのか。確か音羽さんは楽譜持ってなかったはずだよね。すごいなぁ。
「じゃあ、いくよ。」
音羽さんはピアノだけじゃなくて、歌うのも上手かった。僕は、風香への想いを感じながら聞いていた。
「わたしだけの〜 君だけの〜 愛のうた〜〜〜。」
そして、音羽さんはピアノを止めた。
「別にそんなに難しい曲じゃないよ。たぶんこれ作った人も、プロじゃないだろうし、歌が上手くないことを前提のような単純な曲だったよ。」
「まぁ、プロが歌うための曲じゃないからね。」
とはいえ、楽譜を見て歌うのは僕には難しいから、曲調は特にイメージとして頭に入れるしかないなぁ。
「もう少しやる?もう何回か私が歌った方がいい?」
………あれ?なんか音羽さんの様子が変………?
言ってることからは全くわからない、だけど、なんかおかしいんだ。そう、なんか………
音羽さんの中に、何らかの強い意志を感じる………?
確証はないけど、そんな気がしてならない。
………まぁいいや、僕は、この曲に対して本気になればいいんだ。
絶対に、告白をうまくいかせる!30%たりとも落とせないっ!!
1つたずねてみます。
音羽さんは何をしているでしょう?