僕と桜風
なんか書いてみました。ストーリーはたいして長くなく、終わりまで浮かんでおります。
『奏多ってモテるよねぇ。』なんて、この前幼馴染みの風香から言われた。
確かに、クラスの女子なんかはよく会話する人もいるし、恋愛感情を向けられているかは置いておいたとしても、嫌われてはいないはずだ。
だが、そんなことに意味はない。
僕はどの位の間、あの幼馴染みを思い続けているのだろうか。そして、風香は僕が好きだと言ったら、何を思うんだろうか。
わからない。知りたいけど、知れなかった。
だから、今日も風を浴びる。いつもの『桜風』だ。
家の近くに、二段公園と呼ばれる公園がある。この公園は、階段を隔てて2つの場所に分かれているんだ。ここは二段公園という名で多くの人に親しまれている。
この二段公園の階段の下側、通称下段と呼ばれるところに桜の木がたくさんある。しかもその木達は公園の上側、通称上段と下段の境界線にある柵の所にある。つまり階段の隣だ。
この桜、上段に行くと目の前で花を見ることができるようになっている。
そして、上段から桜の花を抜けて吹いてくる風のことをいつしか桜風と呼ぶようになった。
この桜風は、桜の木に遮られるように吹くからか、おだやかなのである。だからすごく気持ちいい。落ち着くんだ。
だから今日も桜風を浴びている。桜風を浴び、気分を落ち着かせながら、いつも想い続けている幼馴染みのことを考えていた。
僕は、本当に彼女に依存している。彼女のことがほとんど頭から離れないんだ。特に、こうして桜風を浴びているときは。
「おっ、奏多。やっぱり桜風を浴びていたんだね。」
そこへ、幼馴染みの風香がやってきた。
「どう?やっぱり気持ちいいでしょ?」
何を隠そう、桜風というのは風香がつけた名前なのだ。