サクラの木の下で
サクラ咲く、春。
短い春です…。
サヤ
「サクラがピンクの花を咲かせるのは死体が埋まっているからなんだって。」
トシキ
「へー。」
サヤ
「特にこの幽霊坂のサクラはね、そんな噂があるの。」
この街には幽霊坂と昔から幽霊の噂が絶えない場所がある、幽霊坂のサクラの下によく現われるそうです。
トシキ
「もう、行こうぜサヤがそんな話しするから気持ち悪くなちゃったよ。」サヤ
「トシキ意外と気が小さいんだから。」
あれから別れて数日がたち、何故かトシキと連絡が付かなくなってしまいました。
そんなある日、トシキからメールが届きました。『幽霊坂のサクラの下に居る、会いたい。』
久々の再開、早くサクラの木の下に行かなくちゃ。
幽霊坂のサクラの木が近づいてきました、サクラの木の下に誰かがいます。
サヤ
「トシキ、今までどうしてたの?連絡もくれないから心配しちゃった。」トシキ
「俺も会いたかったよサヤ。」
サヤ
「一緒に帰ろうよ。」
トシキ
「あれからちょっと、この幽霊坂のサクラの木が気になってたんだ。」
サヤ
「気になってたって?幽霊のこと…」
トシキ
「見ちゃったんだよ、幽霊をサクラの木の下に女の幽霊を。」
サヤ
「女の幽霊?」
トシキ
「俺、恐くなってアパートに逃げ帰ったんだよ、そしたら『幽霊坂のサクラの木の下で待ってる』ってメールが届いたんだよ。」
サヤ
「ここに戻ってきたの。」
トシキ
「このサクラの木に行ったら居たんだよ、その女が。」
サヤ
「そしてどうなったの。」
トシキ
「そしてこうなったんだ。」
そう言うとトシキの姿が消えてしまった。
サヤ
「きゃっ!」
サクラの木が騒めき始めた、地面を見るとサヤの足に根が絡み付いていた。
サヤ
「えっ!何何何!きゃっ!」
サヤは一瞬にしてサクラの木の下に消えてしまった。
それから数日後。
ヨシエ
「サヤ、行方不明になっちゃった、連絡も無いよ。」
ヨシエの携帯にメールが届いた。
ヨシエ
「あっ!サヤからだ、もう突然居なくなるから心配しちゃったよ、『幽霊坂のサクラの木の下で待ってるね。』ああ、あのサクラの木だね。」