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「…俺が大学生だった、って、
もう、ずいぶん前だけど、
最近、
ふとした時に、
その頃を何かと思い出してな…
で、その小旅行、
なにか、良いことも、
なかったかな…?
と、
記憶を辿りに辿ったわけよ…。
どこを観光したのか…?は、
残念ながら、思い出せなかった…。
ただ、…」
「ただ…?」
「その旅行先、
ブランド牛って、あり、
それを老舗っぽい、店で食べたんよ。
それを思い出した。
あの時、メニュー表、見て、
価格の高さに、びっくりしてさ…。
すでに席まで通されており、
俺の財布には、一万円札が、
1枚あった…。
ウェイトレスが注文、
訊きに来て、
税込9800円のランプステーキを、
俺はオーダーした…。
付け合わせ、
ライス、サラダ、
食後のデザート、飲み物も、
ついて、その料金だった…。
もう間違いなく、
俺は、それを食べたね…。
すべて、たいらげた…。
それは、
思い出したんよ…。」
彼が僕の顔を真っ直ぐに見て、
更に言う。
「今、
あの店、もう一回、行きたいな!って、気持ちが正直ある!
で、
予算も多めで、
向かいたい気持ちは、ある!!」
「…だったら、行けばいいじゃない?
次の連休とかに、行ってきなよ…。」
「俺、今、1人暮らしで、
パートナーの存在なんて、
その影すら、
全くないことは、
御前は、よく知ってると思うけど…
美味しく食べれなくなるんじゃないか…?と…。
将来的に、
俺にパートナーが出来たとする…。
共働きだとしよう…
夕飯は代わりがわり作るルールに、
なって、
パートナーが、
腕をふるって作ってくれた肉料理を、
俺は、
美味しく食べれなくなってしまいそうな気がするんだなぁ…。」
「…いや、ならないでしょ…
ならんて…そうは、ならないよ。」
彼と僕は、
同じはずだった…。
同じというのは、
彼が、まだパートナーは、いなくて、
僕も、そうだということだ。
日々の仕事には、
精進しているが、
普段は、
当たり前のように業務をこなし、
1人、まっすぐアパートに帰宅、
1人で就寝し、
休日には、
まとめて家事をやる。
洗濯、掃除、食器洗いなどを…。
本日、
親友である彼と久しぶりに、会うことが、
最近の僕にとって、
一種の仕事への『励み』と、なっていた…。
今、
目の前にいる、
コイツと、
色んな話題で盛り上がり、
談笑したい…。
…それは達成されなければならないのだ…。
それとも、なにか…?
彼は、
もう僕の知っている彼ではないのか…?
情熱と優しさ、そして、
ユニークであった彼で、もう、ないのか…!?
僕は、
(そろそろ、
おいとましますか…。)である彼の顔を、
キリッと見て彼に言った…。
「…で、いつ、行くの?」
「今でしょ!!」
【おしまい】




