瓦礫の中
掲載日:2010/05/11
大地震の後です。
世界には、五つの卵があるという。
そう言った曾祖母はもう居ない。
何処を探しても見つからない。
ただ、私の涙の跡だけが、
ただ、長く続いているだけだ。
世界には、五つの木があるという。
そう言った祖母はもう居ない。
何処を探しても見つからない。
ただ、私の足跡がだけが、
ただ、長く続いているだけだ。
世界には五つの希望があるという。
そう言った父はもう居ない。
何処を探しても見つからない。
ただ、私の口笛だけが、
ただ、長く続いているだけだ。
世界には五つの失望することがあるという。
そう言った母は私の腕の中に居る。
一つは曾祖母
一つは祖母が
一つは父が
居ないことだと母は言う
一つは自分が何も残すことの出来ぬまま
息を引き取ることだという。
残り二つは私のことで、
私と一緒に居られぬことと、
私を一人にすることの、
その二つだとと母は言う。
そう言い母は冷たくなって、
ただ、私が黒く綺麗な長い髪を、
さらりさらりとなでるその音だけが、
ただ、長く続いているだけだ。
ただ、何もないこの場所で、
ぐうぜん長く、続いただけだ。
「五つの~」というのは特に考えてません(汗)
また、「一つは曾祖母」に「が」がないのは語呂合わせのためです。




