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俺の初恋はキミだったのか  作者: 椿紅颯


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5/7

蘇る初恋、蘇るトキメキ

「こんばんわ太志くん」

「お疲れ様香苗」


 二人はあれから時折電話をする関係になっていた。

 何も無かった日、出掛けた後など、不規則でも香苗からのアクション次第で電話が始まる。

 学校でも普通に話すようになっているが、『くん』付けだけは「まだ恥ずかしいから付けさせて」とお願いされていた。


 今更ながら香苗と早紀の関係性について、ふと疑問に思った。普通なら絡み自体不思議に思える組み合わせ。

 いつから、どのように香苗と早紀は知り合ったのだろうか。


「そういえば香苗って早紀とどんな経緯で友達になったの?」

「ん? あれ、早紀ちゃんから聞いてなかった? 私と早紀ちゃんって同じ中学だったんだー」

「へえ、それだったら確かに仲が良いのも納得」


 ん? 待てよ。それだけであんなに仲良くなるもんなのか?

 同じ学校の人が居なくて、偶然顔見知りだったとか? 

 いや、それだけだったらあそこまで仲良くなるのか?

 もしかしたら、そんなことがあるかもしれないが、何か共通の趣味とか?


「香苗は早紀と学校で普段どんな話するの?」

「本当に普通の会話だよ。勉強のこととか、好きな動画の話だったり、そんな感じだよ。あれ、その様子だともしかして、早紀ちゃんから何も聞いてない感じなのかな?」

「え?」

「私と太志くんって同じ中学校だったんだよー」

「――――え?」


 どういうことだ。そんなことがあるのか。

 信じられない。誰かと勘違いしているに違いない。


「い、いや、そんなはずはないよ。香苗はともかく、早紀みたいなギャルが居たらわからないはずがないじゃん?」

「あ、なんか今、少し傷つくこと言われた気がするけど、聞かなかったことにしておくね。うーん確かにそう言われるとそうかもだけど、じゃあ、何か照らし合わせてみよっか」

「俺らの学年の大体の人数は?」

「大体300人、体育教師の名前は、男子が林先生、女子は宮本先生」


 あ、合ってる。いや、まだ、まだ偶然かもしれない。


「うーん、これで信じてもらえると思うんだ。校長先生は木村先生、副校長先生は滝沢先生、最後に、三年三組二十番篠崎太志くん」

「――合ってる。全部合ってる。本当だったんだ……こんなことってあるんだね」

「そうだよー。薄々そうなのかなって思ってたけど、やっぱり知らなかったんだね」

「なんかごめん」

「うんうん、しょうがないよ。偶然同じクラスになったこと無いし、それに私って今は髪の毛短いけど、あの時は結構伸ばしてたんだよ~。それに、女子はイベントごとに整えてて、ずっと流してたのって極少数、いや一人二人くらいだったんじゃないかな?」

「そうだったんだ」


 俺は初恋の人の印象が浮かび上がっていた。

 香苗の清楚な印象に、黒髪ロングの姿を照らし合わさる。

 この時確信した。俺の初恋は間違いなく香苗だったのだと。

 いや、これは運命なんだと。そうとしか思えない。



 俺の初恋はキミだったのか。



 あの時味わった胸のときめきが蘇って来た太志。

 叫びたい気持ちをグッと堪え、静かにガッツポーズをとり、これからを考え始めていた。



 気持が昂り始めた太志。

 だがその後、香苗から思いもよらぬ一言が太志の耳に飛び込んできたのだった。

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