{第161話}僕の独立開業の時のお話
僕は 17年前
自分の歯科医院を独立開業した
土地 建物 医療器材 を含めて
総額借金 6千万円
独立開業する前に
開業セミナー という勉強会があって
今の時代 歯科医院の数が多すぎて
開業したからといって昔のように
すぐに患者さんがたくさん
来院されるという時代は終わった
保険診療は 国から7割のお金が
僕たちの銀行口座に振り込まれるのは
開業して治療を開始して
早くて 3ヶ月後
開業してから 3ヶ月の間は
僕たちが治療した患者さんから いただいた
保険診療の 3割分 自費診療分
の現金で いろんな支払い をしなくてはいけない
そしてご飯を食べたり
住居 の家賃を払ったりしなくてはいけない
そこでも 光熱費は発生する
そのほかに もし患者さんが 来なくても
借金の返済 リース代 スタッフの人件費
差し歯 や 入れ歯 などの作成のための 歯科技工代
光熱費 看板代 消耗品
そして生活費 や 家賃 などなど
の支払いのために
余裕をもって 別に 現金で
1千万円 用意しておいてください
と言われた
しかし 僕の父が保証人で
あまり余裕がなく 現金は 300万円しかなかった
僕は もし患者さんが なかなか来なかったら
24時間 休みなく 頑張ろう と思って
院長室に シャワールーム も作ったが
開業当初から 一気に 患者さん が お見えになり
すぐに軌道に乗って 一度も シャワー室を使う必要がなかった
助かった
すぐに ゴキブリが 排水口 から上がってこないように
ガムテープで封鎖して 今では 浴室が
荷物などの倉庫になっています
1年後に 僕の母親に
800万円くらいの ベンツのEクラス
をプレゼントしてあげることができた
あと毎年 僕の両親に
海外旅行に連れて行ってあげれた
でも開業当初は 朝7時から深夜まで
スタッフ5人 と 僕の奥さん とで頑張った
僕と奥さんは 朝7時から深夜まで
1年間 は 休みなく 頑張った
スタッフは 平日は 朝9時からお昼3時まで
夕方6時から9時までの 8時間勤務
開業前に 50人面接して
日曜は 5人で回せば
月に一回 出るか出ないかというシフト
を頑張ってくれる人を 採用
時給は 一時間 1900円 からスタート
ただ開業当初から
朝から 一気に お見えになり
患者さんが 100人以上きて
めちゃ大変だった
1年目は 朝7時から深夜まで 休みなし
滅茶苦茶患者さんが来たが
滅茶苦茶 疲れ果て 肩こりがひどくなり
声も出なくなって でも気合と根性で頑張った
滅茶苦茶 一気に お金持ちにはなったが
奥さんが 体調を壊し
2年目からは 朝8時から
きちんと 週に1回は
休みを取るようにした
面接で 僕の条件で頑張れる人を採用したのに
開業して 数週間で ある女性スタッフの一人が
「私の旦那が
『まだ子供が小さいから
土曜 日曜 の勤務は断れ
平日は夕方5時で上がらせてもらえ』
と言われた という相談をしてきた
僕は 日々の きつさ と 忙しさ にイライラしながら
「君ね この 今の条件で
絶対に 長期間 頑張って働いてくれる
という人を 悩んで悩んで 採用したんですよ
他にも 『この条件で頑張りたい
私を採用してください』
という人がいっぱいたけど 考えて考えて
今回 精鋭5人を雇ったんですよ
だから 1時間 時給が 1900円 なんですよ
普通の歯医者でこんな時給はないと思いますよ
開業して まだ 1ヶ月 もたたないのに
そんなこと言われて 『はいそうですか』と
安直に 君の条件を飲んだら
リストラと一緒で 夜の部などに
残り4人の負担が大きくなるでしょ
そして 日曜 月1回出るか出ないかのシフトが
4人になると
必ず 月 1回 出勤しなければいけなくなるでしょ
皆から『なぜ あの人だけ』と 文句 を言われてしまうでしょ
今更 そんなわがままを言わないでください
君 ひとりだけ を特別扱い できませんよ
大変なのは君だけじゃないですよ
僕の病院で僕の夢だから しょうがないけど
僕と僕の奥さんは 朝7時から 深夜まで
休みなく 夜逃げにならないよう
きちんと借金が返せるように 頑張っているんですよ
僕は命を懸けて頑張っているんです
この歯科医院に 命を懸けているんです!!!
君は 雇われの身だけど
僕の歯科医院に来たからには
命をかけるような気持ちで 頑張ってください!!!」
と泣きそうになりながら 震えながら
力説したが その日の夜に
「命はかけられません」
と いきなり辞められた
しかし 働いた分の給料は ちゃんと後日
しっかりと 取りに来た。。。
そのあと 残りのスタッフから
激しい文句が出たのは言うまでもない。。。
そのあと「話が違う!!!」とスタッフに
怒られ 何人も 入れ代わり立ち代わり 状態に陥り
新しいスタッフを雇っては すぐにやめていかれた
それを 繰り返し繰り返し。。。
毎日の診療をしながら
悩む日々。。。
人を雇うのって本当に大変!!!
独立開業 は 本当に大変!!!
勤務医時代
ある大成功した経営者(理事長・社長)に
「お前は熱い男だ
『歯科の世界で 必ず成功してやる
日曜も祝日も休みなく 深夜まで頑張る!!!』
と豪語して言っているらしいが
そう 歯科の経営は そう簡単ではないよ
とくに 人を雇うことは。。。
どんなに給料をはずんでも
人はついてこないよ
しかもお前が開業しようとしているところは
田舎だろ
皆 早く帰って 早く寝るだろ
今はお前は 雇われの身で
歯科治療だけしていればいいけど
開業したら そうはいかんぞ
いろんな悩みが 次から次へと押し寄せてくるぞ
しかもそんな中 スタッフがいきなり辞められてみろ
病院 の流れ は 必ず ストップして大混乱するぞ
特に受け付けは 大切ぞ
できるだけ他人を入れるな
身内で固めろ
お会計のお金をちょろまかす奴も出てくるぞ!!!
そして カルテの内容には 全て自分ひとりで
お前が責任を もて
他人に任せたら 絶対 だめぞ
これからますます 保険診療は厳しくなるから
治療した内容 カルテの内容は
自分ひとりで 完全にチェックして 把握しておけよ
他人に任せたら 絶対 だめぞ
今 うちの病院で働く間
お前はお前の病院の独立開業前の
準備期間と思え!!!」
と言われ 勤務医時代
掃除 カルテ お金 器材の準備 治療
病院内の仕事 を 朝から夜遅くまで
ほぼ 僕 一人に 任されて
頑張って奮闘していた時期もあった
超~~~安月給 で。。。
その頃は
「あぁぁぁ~~~
超~~~ブラック
頑張っても頑張っても
いい夢 見ることができるのは 理事長だけ
理事長に 搾取されまくり
つらい
明日にでも すぐにでも 辞めてやるぅぅぅ~~~」
と叫んでいたが
今になったら 深夜でも一人で 頑張れる
今の状況をこなせているのは
あの頃のつらい日々のおかげです
朝から深夜まで頑張って働いて
ある日 夜中1時過ぎに
付近は 田舎で ほとんどの家の住人が
寝静まっている時間帯に
僕の病院の診療室の明かり が ついているのを
パトロールしている警察官に不審に思われ
「大丈夫ですか?」といきなり来られたこともあった
話は変わるが
僕が独立開業するために
歯科材料などを どこの業者に頼もうかと
色々と動き回っている時に
ある お世話になった先輩に
「これから 独立開業しようとしている お前には
たくさんの 歯科材料の営業マンの人たちが
満面の 作り笑顔で 寄ってきて
ハイエナのようにたかってくるぞ
お前のことを
『先生!!!先生!!!』 と おだてながら近づいてくるぞ
でもそいつらは お前の 開業のための お金 を目当てに
ハイエナ のようにたかってくるから 気をつけろよ
調子に乗るなよ
おだてられて 褒められて それを真に受けて
我を忘れて 有頂天になって
歯科材料屋(営業マン)が いろんな高額な医療機器を
お前に売り込もうとして
『この医療器材は絶対に必要です!!!』
と言われるまま 購入するのではなく
お前がしっかり考えて
まず初めの時期は
診療に 最低限 本当に 必要だと思われる 医療器具
だけを 購入しろよ
最初は 最小限 必要な医療器具で頑張っていけばいいんだ
いきなり レーザー や CT なんて 買うなよ
開業当初は いきなり高額な自費診療で稼ごうと思わず
保険診療で地道にまじめに コツコツと 頑張っていけば
お前の歯科医院のファンになってくれる 患者が必ずできる
勤務医時代より
確実に収入は上がると思うが
稼いだお金でいきなり 高級外車 を買おうと思うなよ
患者は 必ず 見ているぞ
固定した強力なファンができれば
そこからは 一気に安定できるから
それまでは頑張っている姿を
患者に コツコツと 見せて行けば 必ず
強固な お前の歯科医院の ファンは できる
そして 稼いだお金で その後
医療機器を 買い足していけばいいんだ」
と 忠告してくださった
その忠告通り 僕が 独立開業するかもという うわさ
を聞きつけて いろんな業者が近づいてきた
色々と悩んだ末
値段の都合で
ある 業者に決め 契約を交わした後
違う業者に脅されて 電話で
「なぜ 違う業者に決めてしまったんですか!!!」
と言われたので
「今回は御縁がなくてすいません
次回は お宅に頼むかもしれません
その時はどうぞ よろしくお願いします」
と 僕なりに 丁寧に いうと
「夜道には気をつけてくださいね」
と脅され
「ない袖は振れないんだよ!!!」
と電話をブチ切り ブチぎれたことがありました
しかし 開業後 ちゃんと頼んでいたはずの
治療をしていて 本当に一般的な歯科治療で 必要な
器材・材料が なく 電話で 頼むと
その業者は 「はいはい すぐに送りますね」
といわれ 数ヶ月後 普通の顔して
80万円の 追加請求
「え!?
これって 開業前にきちんと 請求してましたよね」
と びっくりして いうと
「先生 契約時に きちんと
歯科材料・器具 の 購入リスト を確認されましたか?
先生が開業後に 頼んだものは 全て
購入リスト には入っていませんよ
先生 契約の時にきちんとハンコ押したでしょ?」
と淡々と冷たく 言い放たれた。。。
僕は 「はぁぁぁ~~~?
リストの内容って 商品目 でしか書いてないですやん
{例えば 銀歯などの歯型を取るときの
印象材(粘土のようなもの)
の材料の粉 を カップに入れ 水を入れ
器械で 自動的に 練ってくれる 器材の商品名は
『楽ね~る君』
というような 商品名で 購入リスト には ほぼ書かれてて
購入リストを見ても 現物の商品 を見ないと
なかなか どんなものかはわからない}
というと
その業者は
「先生~~~
そんな 子供みたいな 言い訳は通用しませんよ
確認しなかった 先生が悪いですやん
そんな言い訳は 世間には通用しませんよ」
と言われ ぶちぎれた僕は
「訴えてやる!!!」
と叫んでいました
開業してから 数年は
すぐにブチ切れていました
やばい モンスターペイシェントのような 患者
にも 待合室には 他の患者さんがいても
普通に 激しい喧嘩をしていました
その頃は調子に乗っていました。。。
反省。。。
そんなこんなで 今までいろんなことがありましたが
今年で 独立開業してから はや17年目
これからも精進して頑張っていかなくてはいけません
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ところで 先日 ある医療機器が故障したので
メーカー の修理担当者を呼んだら
一枚の紙を渡された
「先生 が 今 お使いの
ウインドウズ7 の レセプトコンピューター の
修理部品がなくなり 来年 保守期間が終了します」
前回は 6年前に ウインドウス XP 問題で
修理部品がなくなり サポート終了で
買い換えていた
Windows XP からは
Windows Vista
Windows 7
Windows 8
そして今は Windows10
当院で今使っている
レセプトコンピューター は ウインドウズ7
新しく買い替えると
パソコン本体
液晶モニター(TV画面)
保険証を読み取るスキャナー
レーザープリンター
そして 保険診療に対応するためのインストールするCD
全てあわせて 300万円 くらい
そして毎月 保守料を 2万円くらい払っている
保守とは パソコンなどが壊れたとき
規定内なら 修理は無料
しかし ほとんど壊れない
前回 全て一式 買い直す時に
パソコンは全然壊れないから 保守の契約は いいです
というと 保険の点数改正の時の サポートも入っているので
当社の レセプトコンピューター 購入して ご利用されるなら
保守料は強制です と言われた
あまりにも殿様商売で
ムカついて 他のメーカーを探ってみたのだが
どこのメーカーも だいたい一緒
東日本大震災で 患者さんのカルテや
レセプトコンピューターの データ が
濁流に流されて
情報が 消失したことを踏まえて
クラウド という 病院とは別のサーバーで
医院の情報を保管するというサービス があるが
その保守料は 月 5万くらいかかるとのこと
将来 パソコンの保証 が終わっても
高額な一式を交換するのではなく
パソコンなどは 自分で量販店 で買い変えて
安価な インストール で書き換えして
アップデートするだけで いいという業者もあったが
東京などが本社で サポートしてくれるのは
地方の 医療には 何も 関係のない会社で
貧弱そう
歯科医療の知識がなさそうな専門的なことの保証に
不安を感じる
なので やはり 色々悩んだが
また別の業者のものを購入して
一 から やり直すのも面倒で
患者さんや経営の事など
他に悩むことがたくさんあるので
レセプトコンピューターに関しては
しょうがない
必要経費 だと思って割り切った
営業マンに
「今後も どれくらいの期間で このように
買い換えないといけないのですか?」
と尋ねると 「5~6年ですかね?」
と言われた
そして毎月 保守料 2万円を払い
年に 24万円
(もちろん 税別)
それを 5年として 120万円
つまり 5年に 1回
税別で 300万円 + 120万円 = 420万円 !!!
何ちゅう 殿様商売!!!
でもしょうがない。。。
そして僕は今日も
頑張って 朝から晩まで 頑張るのです