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竜の守り人  作者: 姫野 釉月
1章
9/13


 目が覚めたら、騎士たちが減っていた。

 夜のうちに持ち場に戻ったのだろう。私が発見されたから捜索人数をなくし、最低限の人員を置いたようだった。面識のある竜のお兄さんと夫婦の夫さんが残っているのは正直に言うと安心するが、殿下と話していた身分を考えると戦慄するものを感じる。

 “彼”も朝を迎えて、のそのそと金の竜にグルグル言いながら頭を擦ったり首元の匂いをかぐような仕草をしたりして、挨拶をしていた。いつのまにそんなに仲良くなったの、と思わず口が開きかけたが、もともとの竜の習性かもしれない、と口を噤む。

 竜は思念で話すという。“彼”と思念という形で話せたことがないし、どんな感じなのかイマイチよくわからないが、竜同士であれば何かしら言葉を交わしていて、それで仲良くなったんだろうと思い至る。


『お前さんと“あの竜”では、契約は結べぬよ』


 ふと、老婆の言葉が頭によぎる。


(あぁ、そうか。“彼”の《声》はこれから先、聴けないんだった)


 寂しいことだが、仕方ないだろう。私がこの世界を選んだとしても、異世界の者だということに変わりはないのだから。例えこの世界の者だとしても、この結果はきっと変わらない。そう思うと惜しい気持ちも和らぐ。


「そうだ、竜のお兄さん。竜の本当の食事ってどんなの、なんですか?」


 朝の挨拶と簡易の食事も終わり、さぁ出発という時点で気になっていたことを尋ねてみた。

 竜のお兄さんは“彼”に視線を向け、“彼”はぶんぶんと首を横に振った。


「………」


「………」


 その様子を見て、察した。竜のお兄さんは今、言えない。


「竜は大気中で循環している“氣”を体内に吸収する。それが、竜の食事のようなものだ」


 ―――ギャギャッ!?


「彼女に今更隠したって良いことはないだろう? 彼女は心配しているからこそ尋ねているのだし…」


 竜のお兄さんの代わりに教えてくれたのは意外にも夫さんだった。金の竜に口止めされているものだと思い込んでいたが、そうではないらしい。


「大気中に循環している“氣”…?」


 空気を、食べるのか…? 人間と竜は身体の作りも違うのは知っているが、満腹器官も違うのだろうか。幼少の頃から何かしら食べてげっぷをしていた“彼”を見ていたからか、普通の生き物と同じように考えていた。しかし、そもそもの前提が違ったようだ。


「岩や草を食べることももちろんあるが、基本的には空気中に流れる、我々には見えない“氣”というものがあるんだ。竜が食事をしている時だけその“氣”は見えるのだが…、君と一緒にいる“竜”はその様子を見たことがないな」


 そんなこと、あの本には書いていなかった―――。

 この世界では当たり前のことだから書いていなかったのだろうか。それとも…?


「それは、親から教えてもらうもの、ですか?」


「いや、ワンが言うにはその“竜”はもうその食事が出来ると言っている。自然とわかる、といったものだろう。ただ、場所が限られていて、ココでは出来ないとも」


「場所…?あぁ、そうか…」


 合点のいくことがあった。今居る場所は、あの墓場に近い。あそこに竜の鱗がたくさんあったということは、天寿を全うしたわけではない竜たちの墓だということも推測できる。

 あの場所に満ちるものは“彼”にとっては良くない。


「わざわざ食事ができないようにするなんて、“君”、何を考えてるの?」


 竜も人も、健康第一である。

 私だって回復しきれていないのに、わざわざ森に誘うことの意味がよくわからない。

 説明を求めると、“彼”はしょげてガウガウ何か呟いている。

 思わず竜のお兄さんを見やる。私の中では既に“彼”の翻訳係となっている。


「……なんだ、その目は。言っておくが、今は“その竜”の声はオレも聴こえないぞ。ジルに聞け」


「?」


 急に聴こえなくなることってあるのか…?

 “彼”が小さな声で言ってるからかとも思ったが、そもそも思念に現実の声の大きさが反映されるのかということを知らないことに気づく。


「“その竜”としては、君に悪いことをしたと少なからず反省しているようだ。だから、ディランにも聴かれたくなくて波長をずらしたのかもしれない」


 ジルは夫さんのことだったか。

 竜のお兄さんに引き継ぐように言葉をかけてくれた夫さんに向き直る。


「……とりあえず、なんて言ってるんですか?」


「私もワンから漏れ聴いたようなものだが…この森の精霊たちに君を接触させたかったようだ」


「?」


 突拍子もないことを言われて眉間に皺が寄る。

 私の表情に気付いたのは夫さんだけでなく、“彼”もだったようで弁明するように私に何か鳴いてきた。


「“竜”いわく、その羽飾りから流れる音楽は君自身の記憶、もしくはイメージで成り立っている。だが、それは君の中の魔力を使っていることにほかならない」


「え」


「君も薄々は気付いていたんじゃないのか?」


 確認するように夫さんに問いかけられる。実は、私自身がなんらかの力を持っていることは知っていた。それは初めてこの世界で歌った時に判明していたが、その時はこの羽飾りを持っていなかった。

 だから、急に羽飾りの話に入って戸惑ってしまった。


「し、ってた…けど。この羽飾りは関係ないんじゃ…?」


「以前までは《その人》の物だったが、今は“彼”が所有権を握っているから必然的に君の魔力が使われるようになったらしい、と」


「《その人》…?」


 隣でぽつりと急につぶやきをこぼした竜のお兄さんに『まぁ、濁されたなら疑問にも思うわな』と思いつつ、言われた内容に納得した。


「―――あぁ、そういえばそんなこと言ってたな…」


 本当に昨日聞いたばかりだが。


「そうか、魔力で動いてたんだ…」


 ということは、今まであの老婆の魔力を使って歌わせてもらっていたのか。本当にあの老婆はいったい何者なんだ。

 別にアカペラでもいけるが、自動的に曲が流れてくれるから街での芸では重宝していた。知らず恩恵にあずからせてもらっていたのだな、としみじみ思ってから、ふと“彼”の言わんとしたことに思い至る。


「つまり、私自身が回復してないのに魔力を垂れ流して、あげく行き倒れる結果しか見えないから、その精霊たちに助けを求めるべきだって思ったってこと?」


 うんうん、と力強く頷く“彼”と金の竜に少々イラッときた。連れて来るにしても場面を読んでほしかった。なんならこうして説明できる人があの場にいたのになぜわざわざ実力行使に出たのか。遠回しに痛い目にあったのは私だぞ、と睨みを利かせるとまともに視線があった“彼”はたじろいだ。

 コソ、と金の竜にわざわざ隠れるようにして首だけ出した“彼”は言い訳のようにギューギュー鳴いている。

 言い訳は無用だよ、と言いたくなるのを察したのか、竜のお兄さんが間に入る。


「まぁ、“竜”にとってあんたは誰よりも大事な存在なんだ。優先順位が決まってたらあとはまっすぐ突き進むのも特性のひとつ…そう責めようとするな」


 確かに、何かを守ろうとして周りが見えなくなるのは人間だって同じだ。竜のお兄さんの言いたいことはわかる。だからこそ、深呼吸をして今まさに気を落ち着かせているところだ。


「…竜のお兄さんに波長をずらして言葉を濁すくらいなら最後まで黙っていればいいのに。“君”も迂闊なんじゃない」


 私自身の自己管理能力の薄さと、先々の計画性の無さが露見された恥ずかしさもあいまって、つい小言が口からついて出た。

 ちゃっかり聞こえていた“彼”はショックを受けたように口を開けた後、やっと金の竜の陰から出てきて不満そうな声を上げた。

 ひどいよ、いじわる、と竜のお兄さんに通訳してもらわなくてもなんとなく雰囲気で読めるほど、ぎゃうぎゃう言ってきている。

 完全に私の八つ当たりでもあるので、これ以上こじれないないように賢く沈黙を貫く。

 表情だけはつくろえず不愛想なままだったが。“彼”もこれ以上は埒が明かないと判断したのだろう、少し悲しそうに金の竜のところへ戻って行った。


「おい」


「何」


「おとなげないぞ」


 竜のお兄さんから見てもそう思えるか、と納得するのと同時に絶妙なタイミングで火に油を注いでくるじゃないかとさらに怒りが湧いたがグッとこらえた。


「まぁ、君も思うところはあるだろうが、今は“彼”の言う通り、精霊に助力を乞うた方がいいな。しかし、精霊に認めてもらうにはどうするんだ?」


 夫さんが気まずい空気を流すように話をもとに戻してくれた。こういう人を『大人』と呼べるんだろうな、と怒りを紛らわせるために明後日の方向に思考を移す。


「―――ん?」


 金の竜にきっと訊いていたのだろう、夫さんが自身の耳を疑うように訊ね返したのを聞いて、改めて意識を向けると、夫さんが信じられないものを見るように私に視線をやった。


「君は、竜の“呪”を浄化できるのか?」


「なんだって?」


 竜のお兄さんも怪訝そうにこちらに視線を移す。

 大人二人の眼差しが向けられて居心地が少々悪くなりながらもしっかり訂正はしておく。


「浄化はできません。昇華のようなもの、かな…? 竜の死に際の一番強い想いを歌にしてるだけ、なんだけど。それと精霊たちって何か関係するの?」


 自身の能力にはあまり詳しくない。だから今回の本題に焦点が合うように“彼”に問いかけると金の竜が代わりに頷いて見せた。

 なんでまだしょげてるんだ、“彼”は。


 金の竜がそうだと言っているからには何らかの根拠があるのだろう。そういえば、この場所はあの墓場に近い。それにも関わらず、“彼”の精神状態は良好そのものである。

 書物によれば、遺骸が残っている竜の死は他者によってもたらされたものであるから強い怨念のようなものが周囲に放たれており、その近くにいれば生きている竜はその怨念に憑りつかれたような状態になる、と書いてあった。


「―――もしかして、精霊たちが抑えてくれている?」


 『呪』は形がないものだ。同じように形のないものである精霊が人知れず抑え込んでくれているというなら今の状況は納得できるし、“彼”が危険をおかしてまで私をここまで連れて来たということもなんとなくわかる。


「ちょっと待て、お前のその力、本当なのか?」


「竜のお兄さん…。それは聞かれても困る。私も自分の能力はよくわからないし、証明しようがない。その場面に行き当たること自体が稀なんだから。申し訳ないけど、それは後でにしてくれる?」


「―――…」


「確かに、君の境遇を思えばそれも仕方ない。でも、ワンたちが精霊との交渉で使えるのは君の歌だと言っている。旅の間でもその効果はあったと言っているが…」


「え」


 全く身に覚えのないことを言われて思考が止まる。

 一体なんの効果があったのだろう。気楽に歌って道を進んでいたことしか覚えがない。


「精霊は物に宿るもので、妖精のように独立して存在する者ではない。それは知っているが…」


 あ、妖精と精霊って違う者なんだ。と今言うのは話の腰が折れそうなので黙って金の竜と夫さんの話し合いに耳を傾ける。


「…そうか。なぁ、君は旅の間、運がよかったことはないか? 通り雨が降っても、たまたま近くに雨宿りが出来る大きな木や洞窟があったり、獣たちに襲われたりすることもなかった。違うか?」


「うん…? そう、なのかな…?」


 思い返せば、運は良かった。獣に襲われそうになって、逃げている最中に高い木があったり、さっきまで歩いていたところが土砂崩れを起こしていたり、よく無事だったな、と思える場面は確かに多かった。


「もしかして、それって精霊たちが関係してる?」


 “彼”に問うと首肯が返ってきた。


「そうなんだ…。“君”が大きくなるにつれてそういうことはグッと減ったからてっきり“君”のお蔭なんだと思っていたけれど」


 ―――ギャウッ!


 ボクも頑張ったよ!と言うように胸を張っている。先程までしょげていたのが嘘のよう。金の竜の傍から出てきて、わざわざ頭を下げてきた。褒めて褒めて、と眼差しが語っている。仕方なく小さくお礼を言いながら頭を撫でる。

 なんというか…毒気を抜かれる。この能天気な性格は一体どこからくるのだろうか。


「何の話だっけ…。あぁ、そうだ、精霊。今まで運よく生きてこれたのは精霊たちの協力のお蔭もあるってことで…えっと…?」


「土地が変わったから、その精霊に協力してもらうために君の歌が必要だと思うが…」


「……精霊たちに私の魔力を補完してもらうのに、歌だけって対価にそぐわなくない気がするけど…?」


「それはやってみればいいだろ」


 竜のお兄さんがすげなく返してきて思わずその顔を見る。一瞬、さっきの会話の意趣返しかと思ったが思案している表情にさっさと事実を確認したいのだとわかった。

 まぁ、ここで悩んでいたところで堂々巡りなのは目に見えている。実践あるのみかもしれない。


「ところで、その歌なんだけど。どこで、どんな歌を歌うのか知ってる?」


 ―――ギャウ!


「………」


 明るく返事をした“彼”から、夫さんに視線を向けた。

 今絶対、『知ってる!』と答えたのではなく『なんでもいいよ!』と言ったように思えて仕方がない。

 ウソだろ…?と内心気が気じゃないまま夫さんを見つめると何かを察したのか視線を逸らされた。


「この森の中ならどこでも、なんでも歌っていいみたいだぞ」


 とどめを刺すかのように竜のお兄さんが口をはさむ。

 なんでそういうところは聴こえてるんだ、とは思ったが予想していた答えが返ってきて一気に脱力感を味わう。


「…だから、ココに連れてきたのか」


 旅の間、歌を口ずさんで歩いていた。それは“彼”の中にある黒いモノを抑えるための歌でもあったが、確かに曲目はなんでもよかった。

 それが精霊たちにも有効とは今日、初めて知った。


「…でも、歌が必要ならなんで黙ってココに連れてきたの?」


 “彼”と金の竜の声は私には聴こえない。だから、“彼ら”の真意がわからないまま森に放り込まれても、きっと早く戻らなくちゃと気が焦って歌うどころではなかったはずだ。


「…その時は同じ場所を回ろうと思っていた、とワンが言っている」


 不毛な旅になるところだったことが告白され、内心で卒倒した。


「“彼”の話によると君は絶対歌ってくれるから大丈夫、と言っていたようだな」


「ちょっと。そんな堪え性がないみたいな言い方やめてくれる。だいたい、私が歌うのは仕事の時か“君”の中の黒いモノを何とかする時だけにしてるんだ。じゃないと喉がもたないよ」


「黒い、モノ…?」


「あ、あぁ、うん…。“彼”は生まれつき黒いモノがつきまとってるんです。身体か、心か…どっちかはよくわからないんですけど」


 書物にも書いてあったことだ。黒いモノが竜につきまとっているのは良くない。それは竜の精神を犯すものである、と。

 てっきり人間の蒙古斑(もうこはん)のように成長とともに消えるものなのだと思い込んでいたので書物を読み終わった後に焦った記憶がある。

 私の発言に、夫さんと竜のお兄さんは難しい顔をして黙り込んでしまった。


「昨夜はここで歌っても何も来なかった…ということは場所を移す必要があるのかな。竜もあれだけいたから精霊も出て来れない…?」


 竜は生き物の中で最強を誇る。生きとし生けるもの、形のないものすべてが竜の影響を受けやすい。昨夜は捜索隊として駆り出されていたようなものだからいつもより物々しい雰囲気だったのかもしれない。そうであれば、例え近くに居たとしても傍には近寄りたくないな、と私だったら思う。


 ―――ギャ―ゥ


 あくびでもしそうなのんびりとした声をあげた“彼”にひとつ頷く。


「じゃあ、いつものように行こうか。―――夫さん、片付け手伝います」


「そんな適当でいいのか…?」


「いいんです、やってみなきゃわからないから」







 ✢ ✢ ✢


 何か、空気がざわめいている。

 それは竜たちが食事をするときにおこぼれをもらって笑いさざめく精霊の集まりの気配に似ている。


「どうした、サーフ。空なんか見上げて」


 竜騎士のセインに声を掛けられ、無意識に空を見上げていたことを自覚する。足も止まっていたようで、セインと少し距離が離れてしまっている。両手に持った荷物を抱え直し、急いで駆け寄る。


「いえ、なんとなく、変な感じがしたので…」


「お前といい、レックスといい、気がそぞろだな」


 レックスとはセインの相方の緑竜である。竜と契約を交わしているからか、自然とレックスの思考が伝わってくるようだ。だが、竜は人間に思考を合わせているだけなので竜側の気がそぞろだったら思考自体伝染しにくいようにしていると聞いていたが。


「レックス、も…?」


「あぁ、前よりも“息がしやすくなった”と喜んでる。嬉しさのあまりオレにも知らせるために感覚を繋げたんだろうさ。―――だが、妙だな。別に今まで息が苦しいって感じでもなかったんだが」


「どんな感じ、ですか」


「う~ん、なんて言ったらいいかな…。田舎に戻った時の『空気うめぇ』って感じに似てるっちゃ似てるな」


「……セインさん、都会の出、でしたよね?」


「こまけぇことは気にすんなって!」


 アッハハ!と渡り廊下に響きそうな大声で笑い飛ばす様子を見ながら、自分が感じた違和感を竜たちも確かに感じたのだとなんとなく察した。


「悪い気はしない、ってことですよね?」


「あぁ! それは間違いねぇ!」


 それならば、心配することはないのだろう。

 確認に快く答えたセインに内心で安堵する。


「それにしても、えらく時間がかかってるな」


「うん、すぐに戻ってくると思ってたけど、何かあったのかな…」


「まぁ、大丈夫だと判断したから先発隊が帰ってきたんだろうし、隊長とディラン先生も残ってるってんなら大丈夫だろうよ」


 黒髪の彼女と紫の竜が森に行き、何か問題が生じたようで捜索隊が編成され、すぐさま出動していた。

 それらは日が昇る辺りで大方、この城に戻ってきたが、肝心の彼女たちと一緒に残ったというジェラール隊長と兄がなかなか姿を見せない。

 もう、日は高くなっているというのに。


「クッキーじゃなくて、サンドウィッチにした方がよかったかな…」


「お前はディラン先生より歳が離れてるのに、たまにオカンみたいなこと言うな」


「昨日のうちに帰ってくると思っていたから。それに、急いでるようだったし」


 兄は金の竜を追うように先に出かけていたが、後発としてジェラール隊長が行くときに『あの兄のことだから必要最低限の食料も持って行ってないと思うのでお願いします』と渡したのだ。その時のジェラール隊長も今のセインと同じように苦笑していた。


「―――おっと、なんだ?」


 セインが唐突に止まり、何かに耳を傾けている―――きっとレックスの声を聴いているのだろう。

 少し聴いた後、セインが「へぇ…」と言ったと思ったらこちらに顔だけ向けてニカッと笑った。


「よかったな、サーフ。ようやくご帰還のようだぞ」


「ホント? じゃあ、コレ、早く運ばないと」


 荷物の中身に負担がかからないように、指定された場所へとセインと共に向かう。


 その後、やっと帰ってきた彼らの様子を見に行き、衝撃を受けることになろうとはこの時、思いもしなかったのである。



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