出会い(3)
僕はフィオレ、アイリスと話をしながら王都は向かっていた。
「フィオレとアイリスは一緒に冒険者をやってるの?」
「そうよ。私達、同じ村の出身で幼馴染なの」
「フィオレも私も家に兄弟が多くてずっと家にいると負担になってしまうので、なるべく早く村を出て冒険者になろう、って話してたんです」
こっちの世界の生活はまだほとんど見ていないから分からないけれど、稼ぎが多くなければ兄弟が多い家は大変なことくらいは理解できる。
「そうなんだ。二人とも偉いね、家族のことをちゃんと考えていて。そういえば二人は何歳なの?」
「私もアイリスも十五歳よ」
へぇー。この世界ではその年で独り立ちが許されるのか。大変だなぁ。いや、僕もここの世界での年齢は十歳だった………。
「じゃあまだそんなに長い間冒険者をやっている訳ではないんだね」
「そうね。まだまだ青二才よ」
「ギルドカードのランクも、まだFですしね。頑張らないとです」
フランさんからこの世界には冒険者ギルドがあることは聞いていた。冒険者は上からS、A、B、C、D、E、Fとランク分けされている。
最初はFランクからスタートして、実績に応じてランクアップしていくらしい。
Fが初心者、Eが初級者、Dが中級者、Cが上級者で、Bクラスになると達人レベルらしい。Aは超有名人、そしてSは歴史に名を残す偉人レベルだそうだ。
ちなみにわが師匠フランさんはSランクだったそうです………。恐るべし。
「ミカエルも冒険者になるの?」
「え?………あー、そうだね。そうしようかな………」
あんまり街に出てからのことは考えていなかったけれど、せっかく異世界に来たわけだし、冒険者になるのは面白そうだ。
最高神も、その辺の立ち振る舞いは割と自由だと天界で言っていたし。
「じゃ、じゃあさ………嫌じゃなければなんだけど、一緒にパーティー組まない?」
「やっぱり二人だけだと心細くて………。ミカエルさんがいてくれたら百人力です!」
おやおや。これは魅力的な提案だ。パーティーに入れてもらえれば、一人でいるよりもずっと早くいろいろなことを知ることができるだろうし、何より寂しくはなくなる。
だが彼女達は本当にそれでいいのだろうか。
「逆に入れてもらってもいいの?そもそも僕達会ったばかりだし、僕のことも信用できる人間かどうか、判断するには早すぎる気がするけど………」
「何言ってんのよ!わざわざ襲われてるところに乱入してきて助けてくれる奴が悪い奴な訳ないじゃない!」
「私達はミカエルさんのこと、信用してますよ」
そこまで言われると、断るのは申し訳ないよなぁ。まあ元々断る気はさらさらなかったけど。
「じゃあお言葉に甘えさせてもらうよ」
「ほんとに!やったわね、アイリス!」
「うん!これでランク昇格に向けて一歩前進!」
まあ二人とも喜んでくれているし、僕は美少女二人と旅ができる訳だし、万々歳だな。まさにウィンウィンの関係だ。
「あ!王都の城壁が見えてきたわよ!」
「本当だ!やっと着きますね!」
「おぉー………あれが王都………」
前方に人工の壁らしきものが見えてきた。石造りで頑丈そうだ。いかにも中世ヨーロッパ風な感じ!これぞ異世界である。
転生十年目にして、魔法を使えるようになった時以来二回目の感動だった。
前回、サブタイトルを変更するのを忘れて投稿してしまいました!すみません!(訂正済み)
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