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天界

 気がつくと僕はだだっ広い空間にいた。見知らぬ場所だが、何故か既視感がある。


「そうだ………コロッセオに似てるんだ………」


 その空間は、僕が家族とイタリア旅行に行った時に見たコロッセオの内部に実によく似ていた。僕はそのスタジアムのど真ん中に立っているのだ。


 だがそんなことよりも僕の意識を奪ったのは、観客席と思しき場所にひしめく人々だった。


「誰なんだ………?あの人達は?」


 すると僕のその呟きに答えるかのように、大きな声がスタジアム中に響き渡った。


海神千春(わたつみちはる)よ!ようこそ天界へ!」


 声の主は一人だけ立派な椅子に座っている老人だった。


 なんか偉い人のようなのでとりあえず敬語で話すか。


「………天界とはどういうことでしょう?そもそも僕は死んだと思っていたのですが?」


「うむ。その辺は今から説明してやろう。

 さっきも言ったように、ここは神が住む天界にある集会場じゃ。

 君は確かに先程英雄的な死を遂げた。だがその黄金に輝く魂、このまま消え行くのはもったいないと思ってな。君を異世界に生き返らせることにしたのじゃ。それも神様としてな」


「は……………?」


 僕は生まれて初めて(あ、ていうか一回死んでるな)思考停止というやつに陥った。


 神様って本当にいたの⁉︎なんでわざわざ生き返らせるんだ?僕みたいな奴を?それに最後に「神様として」なんていう爆弾発言をしていたような………。


 混乱する僕を見て、神様は優しく微笑む。


「まあ混乱するのも無理はあるまい。順を追って説明しよう。

 まずなぜ君を生き返らせるのかじゃが、さっき言った、君程の者を失うのは残念だという理由の他に、もう一つ事情があってな。

 ワシは存在する全ての世界を創造し管理する最高神なんじゃが、数ある世界の一つにイリュジオンという世界があるのじゃ。

 そこの世界は、一部の下級神がしょっちゅうちょっかいをかけて滅亡させようとしている世界でな………。簡単に言えばそやつらを懲らしめてイリュジオンを守って欲しいのだ」


「え、えーと、ちょっと待って下さい。あなたはそもそも最高神なんですよね?自分で何とかしないんですか?」


 それを聞くと最高神のおじいさんは、トホホという擬音がつきそうな顔をした。


「そうできたら良いんじゃが………何せここに集まっとる神だけでもほんの一部じゃからな………」


 えっ!ここにいるの全員神様なの⁉︎というか、これでほんの一部分って、神様どんだけいるんだ?


「あの………神様って全部でどれくらいいるんですか?」


「うーん、そうじゃの〜お前のいた地球の人口くらいはいるぞ」


 億を軽く突破してきたーっ!いや、多すぎるだろう。


「まあ大半は下級神で、後は少数の中級神、上級神、そしてワシから成り立っておる」


「要するに面倒を見切れないから、そのイリュジオンとやらに専属の守り神を付けてしまえ、という発想ですか?」


「そうじゃ!さすが理解が早いのぅ!

 まあそうして誰が守り神になるか決めようとしていたところ、ちょうど君が死んだのでな。

 人間を神様に作り替えるのも、なかなか良い暇つぶしになりそうじゃし」


「いや、暇つぶしって………。そもそもなんでそのイリュジオンって世界は、ちょっかいを出されやすいんですか?」


「あぁ、それはのぅ、魔王やら勇者やらがいるような世界で、神様も馴染みやすいからじゃよ。ほれ、お前がいた世界で言う、RPGの世界のようなものなんじゃ」


 なんだかまるっきりラノベの転生ものだな………。転生して神様になるっていうのは聞いたことがないが………。


「まあ何となく今の状況は理解できました。僕は神様になっていたずら好きな神様からイリュジオンを守らなければならないと………」


「その通りじゃ」


「拒否権は………ないですよね?」


「もちろんじゃ。じゃが安心せい。上級神、そして最高神のワシ自らお前さんの魂の再構成に携わってやる。少なくとも上級神くらいの力は手に入るはずじゃ」


 面白そうだし、引き受けてもいっか。拒否権無いし。それに生き返ることができる。


「ではお願いします」


「うむ、では上級神達よ、やるぞ?」


 どうやら最高神の横にいるのが上級神らしい。


「俺は軍神。お前に最高の戦闘能力をやろう」


「私は愛と美の女神。あなたに神すら見惚れる顔を差し上げましょう」


「ワイは鍛冶の神。お前さんに最高の鍛冶の才能を与えるぞ!」


「私は医療の神。あなたに全てを癒す力を与えます」


「僕は芸術の神様。生きとし生きる全てのものを感動させられるような才能を君にあげる!」


 神様達が言い始めると、僕の周りを光が包み始めた。他にも神様達は料理の才能だの、農業の力だの色々なものを僕に送り込んでいるようで、どんどん光は強くなっていく。


「最後はこのワシ、最高神が自ら、無尽蔵にして最高の魔力を与えることとしよう!」


 最高神が言い終わると同時に、僕の体はより一層強い光に包まれる。


「「「「「いってらっしゃ〜い!」」」」」


 僕はたくさんの神様達に見守られながら、異世界へと旅立った。

初日なので二話投稿しました。

明日からは一話ずつの予定です!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 神に転生するのは新鮮ですね! 人間の枠も関係ないし、これからどうなるのか楽しみにしています! ブクマと評価させていただきました。 よければ私のもご覧くださいませ
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