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転生隠者は賢者になる  作者: 太白
決戦!、そして・・・
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その後

書いていたら長くなりました。2つに分けます。

すみません終わる終わる詐欺しちゃってm(__)m


次回こそ本当にラスト!


 ようやく長い戦いが終わり、互いの顔を見合わせる子弟。お互いボロボロであった。ハンカチを拾い、ヴィクトルの溢れる涙を拭いてやる仁。


「ヴィクトルよくやってくれた。お前がいなかったらどうにもならんかったよ・・・。」


 仁はヴィクトルを労う。それに対し、


「いや、俺はやっぱりまだまだだった・・・。」


 そういって顔をうつむかせる。仁はふとヴィクトルを鑑定すると、ほぼその魔力を失っていた。一方自分の魔力量を見ると相変わらず人外であった、だが一つ違った点があった・・・。それは神の加護、つまり寿命が無い、とう項目がきれいさっぱりなくなっていたのだ。


 呆けている仁にヴィクトルが目の前で手を叩く。ビクッとなって我に返る仁。そして、今度は仁が大声で泣き始めるのであった。苦節二百年と何十年ようやくあのクソ神様の言われた通り、その使命を果たすことができたのであった。


 一気に目の前が明るくなった仁は、ヴィクトルの首根っこを捕まえた。ヴィクトルは、エッという顔をするがこれはいつもの事。そのまま総本山まで一気に飛び帰る。

 心軽やかに空中を飛ぶ、仁はアクロバティックな飛行を織り交ぜながらウキウキして飛んでいる。片やヴィクトルは大昔のトラウマが再燃し再び胃の中のものを吹き出すのであった。


 そして総本山に戻ると若干女性的な雰囲気になったエイデンが仁を迎えた。そして、仁は蚩尤との闘いの一部始終を説明する。エイダンも自分の戦いを仁とヴィクトルに伝える。そこで初めてエイダンの変化の理由を薄々理解したのであった。


 そんな感動的な場面で、アクセルとアテナが憔悴した顔で仁らに駆け寄ってくる。そして、まさに世界を震撼させる一つの事実を発表するのであった。


 皆が一斉に空を見る。まだ明るい空に流れる尾がかろうじて見える程度の彗星がうっすらと見えたのだ。


「あの彗星が観測されたのは数年前でした。そこで気まぐれにあの彗星の軌道計算をしたのですが・・・何度計算しても同じ結果にたどり着きました。」


 アクセルが言葉を詰まらせる。それを引き継ぐように、


「あの彗星はこの私たちの住む星に向かっています!」


 そうアテナが続けるのであった。仁は頭を抱えている。

 なぜならばかつて地球でも数回ある程度の大きさの天体が衝突したことがあった。その際の被害は甚大で、ほぼ地球上の生物が死滅するほどの災害が発生したこともであったのだ。


「(蚩尤の次はこれかよ・・・せっかく終わったと思ったのに。)」


 そうするとエイダンが、


「えっそんなのジンさんの落日弓で一発じゃないですか?だってあれ太陽落としたんでしょ? ホッホ。」


 末尾が少し気にはなったが、仁とヴィクトルは互いに顔を見合わせて脂汗を流している。そこにるみんなの頭の上に、?、が並んでいる。


 ヴィクトルが、


「実はなぁ・・・蚩尤のとの戦いのとき、落日弓壊れたんだよなぁ・・・師匠。」


 そう説明した。仁は明後日の方を向いて口笛を吹いている。


 その姿をみたアイリスが拳を挙げてワナワナと震えて殺気を放ちだした。


 とりあえず対策は明日以降話し合うことで、ボロボロになった総本山の仮設の部屋で休むことにしたのだが・・・。


 その夜、仁はどうするか考えていた。かつての仁なら寿命がなかったせいでなんでもできたが今やそうでもない。無事に、というのが適切かどうか、とりあえず普通に人に戻った。

 そんな時、頭の横にイザベルから貰ったハンカチが置いてあったのに気づく。そのハンカチをじっと見つめる仁は、ある一つの解決方法を思いついたのだった。


 翌朝、妙にすっきりした顔をしている仁。だがほとんどの人がそれに気づかない。だが、ヴィクトルは違っていた。そしてヴィクトルは仁を呼び止めて一言いうのであった。


「師匠、死ぬ気だな。」


 その言葉にピクッと反応してしまう仁。だが相手がヴィクトルであるバレるのも無理はない。仁は心にあった計画をヴィクトルに話すことにした。それはヴィクトルにも大いに関わる事だったからだ。


 仁の計画は、まず宇宙空間に仁が飛び出る。そのままその彗星に飛んでいき魔力を放出して彗星を破壊する。ヴィクトルはこの星の大気圏外で待機し、破壊した彗星の残骸で大きいものを破壊する。


 というものであった。ヴィクトルはしばらく思案し、顔を縦に頷くだけであった。


 その日、慈光教の幹部と仁、ヴィクトル、そしてアクセル、アテナが集まり対策会議が開かれる。その席上真っ先に声を出したのがヴィクトルであった。その姿は慈光教の創始者たるにふさわしいまさに堂々としたものであった。そこで、仁の計画を全員に伝える。


 それを聞いたすべての者が仁を向き息を飲んでいる。仁は我関せずとただお茶を飲んでいる。何故かそこにいるアイリスは震える瞳に涙を浮かべていた。


 結果、それに代わる対案もなく。仁の言う計画がそのまま発動されることになった。


 当日、仁とヴィクトルは自分の周りに呼吸ができるように空気を圧縮保管した球体の中にいる。だれも二人に話しかける者はいなかった。その気持ちは二人も承知していた。

 そしてついに二人は一斉に飛び立った。そこにいるすべての人たちは空を見上げその航跡を見続けたのであった。


 大気圏外で、ヴィクトルを衛星軌道にのせ、仁はヴィクトルと別れた。ヴィクトルもまた何も言わなかった。これが今生の別れだと知っていてもなお仁もまた何も発しなかった。

 そして仁は再び飛び立つのであった。ヴィクトルはただ小さくなっていく仁の姿を見続ける。かつて、祖父バイドを見送った時の仁の様に・・・。


 何日飛んだだろうか、前方にようやく彗星を視認した。かなり大きなその彗星はほぼ球体で大きさは月より少し大きくその構成はほぼ岩石でできているようだった。硬度を調べるため中心からずらした場所を魔力で破壊してみると、なかなかの固さを持った岩石のようである。


 彗星を中心に向け魔法を放ち、その中心へ向け穴を掘削する仁。無限でない魔力が徐々に減っていくのが分かる。掘削していくが、彗星の硬度が高いためなかなか前に進まない。丸一日間掘り続けるがいよいよ空気もなくなってきた。


「そろそろ潮時か。」


 仁は皆が住む惑星の方を向き、心の中で感謝する。今まで出会ってきたすべての人が走馬灯のように浮かんでは消える。あふれ出す涙に驚く仁。その涙を振り切って、そして掘削した穴の中に飛び込んだ。


掘削した穴の奥深く、そこで仁は自らの全ての物質エネルギーを崩壊させ彗星を爆破させるイメージをする・・・刹那・・・。


 ヴィクトルは手に九星槍を持ち彗星の方を見ていた。すると眩い光が一瞬見え、そして消えてしまった。その後彗星が爆発したのが見えたのだった。


「(師匠・・・。)」


 静かに目をつむりその死を受け入れるヴィクトル。だが、爆破した彗星の一部が凄まじい速度でこの惑星に近づいている。ヴィクトルは九星槍に魔力を送り大きい破片を片っ端から砕いていく。あまりの数の多さにさすがのヴィクトルも悪戦苦闘している。そして、この男も師匠と同じようにその魔力がつき始めた。


 ヴィクトルもまた仁の計画を知ったとき、自分の命を差し出す覚悟を決めた。そもそもこの世に生き続けたのは師匠に会いたかったからだった。だが、その師匠ももはやいない。ヴィクトルは思い残すことはなかった。

 遠のく意識の中、彗星の破片が身の回りにあふれる。破壊されたその破片とともにヴィクトルは惑星の大気圏の中に落ちていく。次第に彗星の破片は赤く燃え盛り、ヴィクトルもまた激しい炎に包まれその一生を見事に閉じるのであった。


 地上からはあまた落ちてくる彗星の破片が、輝く雨のように大量に降り注いでいた。


 エイデンはまばたきもせずそれを見続けていた。すると、上空から輝く何かがゆっくりと落ち来るのに気が付いた。次第にはっきりとするそれは、ヴィクトルの持っていた九星槍であった。


 エイダンはそれをその腕にとりしっかりと抱きしめるのであった。それがまるでヴィクトルであるかのように。そしてこの槍は以後『ヴィクトルの槍』と呼ばれる様になる。


 エイダンはその後、破壊された総本部を立て直し再び慈光教を導くことになる。そしてこのヴィクトルの槍は代々の大魔導士にヴィクトルの聖遺物として引き継がれることになった。

 そんなエイダンの最後は、一歩でもヴィクトルに近づくためか長い階段の途中でさらに先に進むかのように倒れていたという。

  

 一方、シン国では饕餮との戦いの後セイキョウが民の安寧に励みシン国の黄金時代を築くことになる。そして晩年までその政治姿勢が変わることはなかった名君として歴史にその名を刻むことになった。

 セイキョウは後世、大賢者と大魔導士らとともに奇蹟をおこしたことで聖帝と諡名された。

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