ジョカとエイダン
すみません!
4話の最後無かった事してください。既に一部削除しております・・・。
シン国に饕餮が現れた同じ頃。慈光教の総本部前の広場にも黒い霧が立ち込めていた。神殿内で幹部らと会議をしていたエイダンは即座にこのオーラに気づきその場所へと走った。
禍々しいオーラはすぐに具現化し走ってきたエイダンに優雅に挨拶をする。
「これはこれは初めてお目にかかりますわ。我が名はジョカ。この世を混沌へと導かれる蚩尤様の僕にしてその分身でございます。皆様には選択肢がございません。あるのはただ死のみです!」
そう言い放ち、エイダンらに攻撃を仕掛ける。エイダンは何食わぬ顔をしてその攻撃を防護壁で受け流す。
「これはこれはご挨拶ありがとうぉございまぁ~す。ですが、そのご挨拶はいただけませんね。ここは私が直々に指導して差し上げましょうかね!」
エイダンは右掌に魔力を一瞬で集め、そえをジョカに向けて放つ。その閃光は一気にジョカに達しその軌跡の通りに広場の石畳をえぐっている。一方ジョカの周りに土煙が立ちその中の敵の姿は見えない。次第にその姿を現したジョカはピンピンしている。
「まぁこの程度でしたの、あなた様の力は。存外たいしたことありませんわね。ここに来たのは間違いでしたかも。」
考えているそぶりを見せるジョカ。それを笑っているエイダン。
「何がおかしいのですの?!」
ジョカはイラっとした顔をしてエイダンを睨みつけている。
「いやぁ~頭の悪い人が賢いフリをするのが滑稽だったんだけですよー、気にしないでください。フッフッフ・・・。」
そうヴィクトル譲りの小憎たらしい、馬鹿にした顔をするエイデン。
「フン、言わしておけば!」
そう言ってジョカが前に進もうとすると、だが足が完全に石化していたのであった。しかもその石は彫刻が施してあり、それが見事な丸々とした大根であったのだ。
「女に対してこの侮辱・・・・。」
一気に殺気を放つジョカ。エイダンの後ろにいる幹部らも数人はその殺気に当てられ気を失うほどであった。
「侮辱とは何事ですか!大根に失礼です、謝りなさい。大根は調理したらおいしいですけど、あなたは調理してもねぇ・・・・。」
さらに小バカにするエイダン。いよいよジョカは本気を出し、その全身に禍々しいオーラを纏う。そして一気にそれを爆発させ周囲を吹き飛ばす。山肌を削って作った平地の上に建てた物がそのすべてが倒壊し、跡形もなく崩れ去ってしまった。その中でエイダンは防護壁の中に幹部を入れたまま悠然と立っている。
ジョカはそれを見て何やらまた怒りが込み上げているようで、それ以上の威力で数度大爆発を起こした。ようやく気が済んだのか、掌で顔を仰ぎながら、あぁ~あ疲れた、といわんばかりの表情をしている。
土煙があたり一帯を覆っている。そんな中大きい声で、
「頭悪くてヒステリーとは・・・・もはやいいところは何もなしですか?」
とエイダンの声がする。次の瞬間、ジョカの周りを幾重にも重なる球体が覆っている。魔力防壁であるその球体は、魔力の集合体であるジョカを完全に封じていたのである。
エイダンはその球体を徐々に小さく狭まっていき、ジョカの体ごと圧縮していく。苦痛にもだえる顔をするジョカを冷ややかに見つめるエイダン。もはや点にしか見えないぐらい圧縮したそれをエイダンは上空高くに飛ばし、一気に爆発させた。ピカッと閃光を放ち、数秒後に爆音とその後に爆風が総本部に届く。
エイダンは、
「こんなものなのかなぁ~。」
とゆるい口調でしゃべった。その時、周りの幹部がバタバタと倒れていく。周りを見渡すエイダンは防壁を張り巡らし上空を見る。すると、実体を持たないただのオーラだけの存在が上空を埋め尽くした。倒れた幹部を回復魔法を施しながら一方でジョカの攻撃に備えるエイダン。急速にその魔力量を消費していく。
この時上空から声がする。
「貴方の魔力量もそろそろつきますわね、女を本気にさせた報いは受けてもらいますわよ、ホーッホホ!」
高らかに笑うジョカの声。エイダンは冷静を装ってはいたが、正直かなり焦っていた。
「(少々まずいことになっちゃったなぁ・・・油断してたわけではなかったけど、さてどうしようかなっと・・・。)」
一方ジョカの方でも先ほどの攻撃がかなり効いていた。そのせいで実体化するだけの力を残すことができなかった。だがそれが幸いしエイダンはジョカに更なる攻撃を加えられないでいる。
「(あの男もあともう少しですわ。しかし、私もあまり余裕はありませんわね・・・。)」
互いに決定打に欠けたその頃、次第にエイダンが弱まっていく。急激に魔力量が低下していたのであった。肩で息をするエイダンが次第に体を覆っていたオーラが消え失せてしまった。そして遂にそこで倒れるのであった。
これを見届けたジョカはエイダンの心臓が止まっているのを確認する。この時を待っていましたとばかりにエイダンの体の中へと自分のエネルギーを注ぎ込んできた。エイダンの体の中をめぐるエネルギーは徐々に全身に行きわたる。ジョカはエイダンの体を乗っ取ろうとしていたのであった。
そして残るエイダンの脳の中枢へと侵入していことしたとき、ジョカの意識の中に再びエイダンが無性に腹の立つほどの笑顔でこちらを見ている。
「(クソ!お前なぜ我が意識の中にいる?)」
無言で笑っているエイダン。そしてジョカの意識の中のエイダンが藍色に輝いた瞬間、ジョカの意識が薄れ始めた。
エイダンは、ジョカが実体化できないのであろうと適切に判断した。そして、実体化するために受肉を選択するだろうと推測したのであった。そしてヴィクトルから伝授された自らを封じる方法をここで実践し、一時心臓の動きを極端に緩め、その動きがまるで止まったかのようにふるまったのであった。
このエイダンの狸寝入りが女狐のジョカをまんまと騙した。ほぼ受肉しかかったジョカのエネルギーは無防備以外の何物でもなかったのである。
エイダンはジョカの純粋な魔力エネルギーを、かつてヴィクトルが仁の魔力をそうしたように、自分の魔力へ変換するという荒業をその意識の中でやろうとしたのだ。ある意味これは賭けであった。だが普段のマヌケでゆるい雰囲気から想像もできないが、この賭けを実際に行使できるほどエイダンの才能は実は高かったのだ。
自らのエネルギーが失われていくのに悶えるジョカ。しかし何故かその雰囲気は恍惚としているようにも思えた。そしてついに
「あぁはぁぁぁぁぁ~。」
と気持ち悪いような声を発し、とうとうそのエネルギーをすべてエイダンに奪われたのであった。
こうして狸と狐の騙し合いは、狸の方に軍配が上がった。
立ち上がったエイダンは、幹部を背に神殿に方へ歩いていく。そこで幹部らはなぜかエイダンが若干腰を振りながら歩いていくのに違和感を覚えるのであった。
崩れた総本部の瓦礫のかなからアクセルとアテナがその手に紙を握りしめて這い出してきた。その顔は何故か憔悴していた。




