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転生隠者は賢者になる  作者: 太白
本来の面目
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白美髯公


「なんですと!!いやあり得ません。丞相が裏で手を引いているとは!」


 そう驚くヨウメイ。仁は宰相のシンカイが関与していると思うと言ったのだ。


「シンカイ様は陛下の信任も厚く、丞相を悪く言うものは朝廷百官の中でも誰一人としてございません。私も陛下の事でご相談することもありました!」


「だから怪しいのですよ。全員から良いといわれるのが必ずしも優れている人ではないでしょう?善人から好かれて悪人から嫌われる人の方が信用できます。といいますのも・・・。」


 実は仁がシンカイに初めて会ったとき表面上は温厚な人のよさそうなおっちゃんだったが、密かに目の奥に赤いオーラを出していたのだった。仁がシンカイをじっと見ていたのはそのためであった。

 ヨウメイは仁が悪意のある人間を判断できることにも驚くが、それよりも今まで信頼していた丞相に裏切られていたことの方に大いに戸惑っていた。


「あのシンカイという老人なかなかやりますよ。綺麗にその悪意を誤魔化しています。私ですらうっかり見逃しかねないほどでしたから。ですが、今回の騒動の中心はシンカイさんだけではないような気がするんですよね・・・。全ての賊を一網打尽にする方法が何かないかなぁ・・・。」


 そう思案していると、


「一週間ほど後に朝廷百官が太和殿前の広場にて百官がそろい、シン国では最も大事な封神の儀が行われます。ひょっとするとその時に陛下のお命を狙うやもしれません。」


「なるほど、では私はこのまま体調不良で身動きが取れないままにしておきます。そして・・・。」


 こうしてヨウメイと二人で今後の計画を練るのであった。


 外ではアイリスとヨウメイのお供が部屋の前で待機している。お供の男が、


「随分中で長くいらっしゃるが、一体何を話しておられるのか。声も聞こえませんし・・・・。」


「賢者様の体調がすぐれないのでそれを看病なさっておいでなのでしょう。」


 そうアイリスは誤魔化す。そしてお供の男が部屋の入り口に耳を当てるので、アイリスは、ゴホン、と咳ばらいをした。慌ててお供は耳を扉から離しまた待機をするのであった。


 そうこうしているとようやくヨウメイが出てきた。扉の奥には仁が寝台で寝ている。


「しばらく様子を見守っておりましたが、随分とお悪いようです。今日はこれで失礼します。」


 そうヨウメイはアイリスに告げ、供を引き連れて帰ろうとした。アイリスは、一瞬ちらりとお供の男の方へ視線向けすぐにヨウメイの方を向き。


「本日はわざわざありがとうございました。」


 と礼を言うのであった。その視線を感じたヨウメイはハッとするが周囲に気取られないように、早々に興楽宮へと引き返すのであった。


 アイリスはヨウメイを見送ると仁の部屋に入り、


「供の男はヨウメイを監視していました。」


 といった。やはりな、そう思う仁であった。


 ヨウメイが興楽宮に戻り、一人深く悩んで歩いている。その姿を見た一人の老人がヨウメイの方へ歩いてくる。


「ヨウメイ殿どうなされた、何か悩み事か?」


 そう尋ねるこの男は、シン国の重鎮の一人仙術士のチョウケンという。シン国では魔法のことを仙術といい、その使い手を仙術士という。チョウケンはシン国三代に使える重臣でその顔には白く長いひげを貯えていることから白美髯はくびぜんともあだ名され、親しい者からは白美髯公と敬意をもって呼ばれている。


「おぅこれは白美髯公。あぁいえ、大したことではございません・・・。」


「嘘をつけ。貴殿は昔から嘘が苦手であるなまだまだ青いわ。その正直な顔に嘘という文字が出ておる!」


 カッカと笑いながらヨウメイに話す。ヨウメイは今まで信じ切っていたシンカイですら信じられないことが判明し、疑心暗鬼に陥っていた。果たして誰が信頼でき、信頼できないのか分からなかったのだ。そこで、


「白美髯公にお願いがございますが、お引き受けくださいますでしょうか?」


「ほぅ、何事かな?貴殿からの願いだ無下にすることはないと思うが?」


「では、実は先般、慈光の大賢者様がシン国に来訪されたのはご存じかと思います。」


「ふむ、存じておる。儂もお会いしたいと思っていおったが。今は翰林院で勅命により調べ物をされておるのではないのか?」


「表向きはそうなのですが、実は体調を崩されておりまして。これがなかなか重いご様子。もし可能でございましたら、白美髯公の仙術で癒していただけませんでしょうか?」


「おぅそのようなことか。むろん承知した。今からでも良いがいつ参る?」


「では大賢者殿にもその旨今からお伝えしてまいりますので、明日にでも。明日朝には使いをやりますので私と一緒に大賢者殿の宿へ参りましょう。」


 そう会話を終え二人は別れた。チョウケンはヨウメイと別れて何か釈然としないものを感じたがそのまま歩き出した。日の光が興楽宮の壁を照らし、その反射光を顔に浴びたときフッとその違和感の正体が分かった。


「(大賢者といえば治癒の仙術も使えたはず・・・ならは自ら病を治すことができるはずだが・・・・。この話何かおかしいのう。だがヨウメイのこと何か企んでのことではあるまい。まずは明日虎穴に入ってみるかの・・・。」


 そう考え明日に備えるのであった。


 ヨウメイはチョウケンとあってすぐに取って帰り再び仁のところに行く。そして事の次第を伝えると、


「なるほど、私にそのチョウケン殿を見てほしいということですね。」


「はい、可能でございましたら。」


「分かりました。では明日お待ちしております。」


 こうして、対チョウケンの作戦を練るのであった。


 ちょうどその頃太和殿の裏では、


「賢者が病に伏しているというではないか?」


「それは重畳ちょうじょう。これでしばらくは出てこれまい。なにせあの毒をほとんどすべて食らったのだ。ひと月は動けまいて・・・。」


 そんな中一人の男が二人の所にやってくる。ハッと振り返る二人、だが見知った者であったので緊張をほぐす。そしてその男が、


「チョウケン殿が明日、大賢者のところに病の治療に行かれるとのよし。」


「クッ・・・これはマズいな。チョウケンまで出てくるとは・・・・。」


「まぁちょうどよい。治療される前に何とかするか・・・。」


そういって三人は太和殿から姿を消したのであった。

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