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転生隠者は賢者になる  作者: 太白
本来の面目
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シン国からの使者

皇帝の名前が被っていたので、セイキョウと変えました。

混乱させました、申し訳ありません。


 この世界に慈光の大賢者と大魔導士ヴィクトルの再臨が知れ渡るのにあまり時間はかからなかった。そのおかげで仁は様々な国の初代らが残した資料を調べることができた。


 ただし、すべての国でその様な資料が存在していたわけでもなくまた、自分の知らない言語で書かれたものもあり結局自分の使命に関して手掛かりすらつかめない状況が続いていた。


 アクセルら兄妹は教団の資料室にこもり喜々として暦の研究をしている。ヴィクトルは根性から叩き直すとエイダンに修行を付けている。その時のエイダンの喜び様は周囲が完全に引くほどであったらしい。

 そして、アイリスはかつての無礼を働いたことから仁の秘書を自ら買って出て、今では仁の傍に常に控えている。仁は最初は断っていたのだが、どうしても、と言って聞かないアイリスに押し切られた形でやむを得なく許可した。


 だが、そうすると普通の男性であるならばアイリスにちょっかいの一つもかけたくなるものであろうが、そのあたりに関してはこの仁というおっさんは完全に無関心で、当初は心配していた長老たちも今では安心して賢者の秘書を任せる様になったのである。


 さて、そんな頃。総本山から遠く離れたシン国から大賢者への使者が到着した。アイリスに案内されて仁の前に来るシン国の使者。その姿は明らかに東洋的でその身には儒服をまとっている。


 使者は名前をコウテツと名乗り、彼から渡された書面の文字はこの世界の物と同じであった。書面には賢者の知識を借りして古代から伝わる文章の解読をお願いしたい、と書いてありその文末にはシン国皇帝セイキョウと書いてあった。


「解読できるかどうか分かりませんが、是非協力させてください。」


 と使者に伝えるとコウテツは大喜びして、できるだけ早くの来訪を願い退出するのであった。


 それからアイリスに言ってシン国に関する資料を持ってきてもらい読みふける仁。シン国はその他の諸国と違う文化形成をしており、そのため観光地としても有名な国柄であるらしい。その歴史はこの世界の中で最も古い。伝承では最初この地域はいくつかの国に分かれていた。その中の辺境の地にシン国があり、他の国を滅ぼしながらようやく統一を果たした。

 以後連綿と皇帝による中央集権体制が維持されているという。使者の恰好からして古代中国人の転生者が建国した国であろうと仁は推測した。


 仁自身もシン国の建国者の資料は今まで見たことも無かったので、アイリスを伴いすぐに出発することになる。もちろん飛行魔法で・・・。


 相変わらずアイリスはこの移動方法にはなれない様子だがお構いなしに朝早くに出発して飛び続け、シン国の首都に着いたのは夕方になってからであった。


 都市を守る城壁の外で地上に降りた仁とアイリスは城門へと歩いていく。二十mはあろうかと思うほどの城壁の中央には大きな門があり、その中を通り抜けると目の前には大通りがある。その通りの両側には軒を連ねる家と、大通りを照らす赤い提灯ちょうちんがいっぱいあった。


「おぉ~これは美しぃ~。」


 仁はそう見入っていると、アイリスも初めて見るその異文化の風景に見入っていた。


 皇帝の居城には明日の朝行くことにし、宿に泊まる二人。庶民が泊まる安宿に入っていこうとするとアイリスがそれを止めに入る。


「賢者様、その身分でこのような安宿にお泊りになるのはいかがなものかと!」


 仁は手刀でアイリスの頭をコツき、


「あれだけ外ではジンさんと呼ぶようにと言ったじゃないか!それと安宿の方がいろいろと便利なんだよ。」


 そう言ってここに泊まることを変えようとしない。叩かれた頭を撫でながらしぶしぶ安宿に入るアイリス。受付ではちょび髭をはやしたおっちゃんが二人を見て、


「夫婦ならこの部屋が空いているよ~、お金は前金でお願い!」


と気軽に声をかけてくる。それに対しアイリスが動揺しながら全力で否定にかかる。余りに動揺しているので宿の主人もそういう関係か?、などと怪しむのだが、仁が適当に説明し誤解を解くことができた。


 二人は別々の部屋に泊まり、もちろん何事もなくその夜は過ぎた。


 翌朝食事をとり終えた後、宿の亭主に王城への道を聞いて教えてもらった通りに行く仁とアイリス。一時間ほどの徒歩で王城に到着した。


 王城の壁もまた、十mはあろうかという高さで全て黄色に統一されている。壁の上には瓦が敷き詰められていていかにも中国風のたたずまいをしていた。


 門には中国風の鎧を身に着けた兵士がいて、その一人に使者からもらったはいという紋章入りの木片を見せる。紋章には鳳凰と龍の絵が美しく描かれ、それ自体が十分に美術品としての価値がありそうな物だ。


 牌を見た兵士は慌てて上官に報告に行き、上官が居住まいを正してこちらにやってくる。手を目の前に組んで長揖というお辞儀をして、


「この牌をお持ちの方は、この門を無条件でお通しするようになっております。このままお通り下さい。」


 そう言って恭しく道を譲ってくれる。そこにいた兵士も一斉に仁らに頭を下げ、路の両方に整列する。


「あぁ、どうも・・・。」


 落ち着かない様子で仁はそのまま王城の中へと歩いて行った。王城の中心部に行くには3つの門を通る必要があり、その全てで同じような扱いを受けた。そしていよいよ王城の中心部に到着した仁らはおそらくこの兵士らは近衛なのだろう今までの兵士とは違う鎧を身に着けた兵士に牌を見せる。


「貴殿のお名前をお聞きしたい。」


 そう兵士に問われ、


「ジンと申します。」


 と答える。


「ジン?聞いたことないな。丞相に確認してまいる。」


 そう言って他の兵士の一人に確認に行かせようとしたとき、アイリスが


「慈光の大賢者、ジン様です!」


 と相手の非礼を咎めるように大声で言ってのける。するとその兵士らは慌てて長揖し、


「しばしお待ちください。皇帝陛下へ大賢者様の到着を奏上してまいります。」


 と、慌てて走りだす。アイリスはなぜか威張っているがそれを仁はにらみつけ、大人しくしていろ、と目で訴えるのであった。

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