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転生隠者は賢者になる  作者: 太白
王国と帝国
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決死のヒルベルトと決戦の終結


 仁とヒルベルトの一騎打ちはこうして始まった。


 ヒルベルトは仁の意識を魔法に向けさせまいと、様々な魔法を放ってくる。仁はそれを飛行による移動でなんとかかわすのが精いっぱいである。仁をしても飛行のイメージを持ちつつヒルベルトの攻撃に対して魔法を放つことができずにいた。


 それは、仁が今まで魔法使い同士の戦いをしたことが無かったことが原因である。一方ヒルベルトは、魔法戦のスペシャリスト。相手の嫌がる攻撃を次から次へと発してくる。


 仁も狩りで使った爆発弾を使いヒルベルトを攻撃しようとするが、意識を集中することができずにヒルベルトまで届かない。


「くそぉ・・・この老人やるな!」


 仁は苦虫をかみつぶした様な顔をする。


「早く砲撃支援をしないと王国軍が瓦解してしまう・・・。」


 仁の額に汗が流れる。


 そんなことを考えている最中にもヒルベルトは嫌らしく責め立ててくる。


 仁はその人外な体力を盾にしてヒルベルトへの攻勢に転じる。ヒルベルトの攻撃をその体に食らいながら、意識を集中して攻撃を加えようとした。掌に巨大な炎を生成しその炎をヒルベルトに放とうとしたとき、ヒルベルトが魔法で水を創り、水鉄砲で仁の鼻の穴めがけて打ってきた。炭は鼻の穴の中に命中し、水が気管に入る。


「ごほっげほごほごほごほ・・・。」


 せき込んだ仁は、意識の集中をもかき消され放とうとした炎が消滅する。


「くっそぉ~やってくれる!」


 こうして二人の戦いはまた振り出しに戻り、なお続けてヒルベルトはペチペチと仁を攻撃するのであった。


 二人が戦っているその最中、前線にいながらこの二人の一騎打ちを見ていたアーノルド。これがアーノルドにとって致命的な失敗であった。戦場で戦闘への集中を欠くということはすなわち死を意味する。


 空に浮かぶ自分の父を見ていたら、向こうから敵が叫んでいる。だが、アーノルドは敵に気が付かなかった。そして、、、、


 激しい痛みに視線を落とすと敵が血剣をアーノルドに振りかざそうとしていた。横にいた同じ新兵がその敵を切り殺し、自分に話しかけてくる。何を話しているのか声が聞こえないアーノルド。その新兵はまだ必死にアーノルドに話しかけてくる。新兵の視線を追うアーノルド・・・・。


 そしてようやく気付いた。自分の左腕が肘より先がなくなっているのであった。


 鮮血がちぎれた腕の先の肉片から吹き出す、それを見た瞬間。幼いころ目の前で殺された母の姿がフラッシュバックする・・・。


 痛みを感じることよりも、その記憶が鮮烈に蘇ったアーノルドは胃の中のものを全て吐きだしうごめいている。アーノルドを助けた新兵は、アーノルドを抱え後退していった。


 そんな出来事があったとは知らない仁、ヒルベルトとの戦いに苦戦していた。そして鑑定でヒルベルトを見てある作戦を考えた。このままの戦い方では残念ながらヒルベルトには勝てそうにない。ならば、敵に魔法を存分に使わせMPを空にさせてしまおう、と考えた。


 それからは、ヒルベルトが魔法を多用するように飛行で大きく動く。ヒルベルトもそれに合わせて移動し魔法を繰り出す。そんな戦闘を2時間ほどしていただろうか。ヒルベルトは肩で息をしている。


「そろそろだね、老人。」


「ゼェーハーゼェーハー・・・、さすがにもう無理かの・・・。」


 と言って持っていた杖を地上に捨てた。そして懐にある短剣をだし、


「儂の役割はこれまで、後は任せたぞ帝国の兵よ!」


 そう大声を出し、自らの心臓に短剣を刺した。


 仁はとっさに飛行を加速し、回復魔法を掛けながら老人の短剣を胸から引き抜いた。なんとか老人の一命を繋ぎ止めたのを確認し、ようやく王国軍の本隊へと向かうのであった。


 そのころロピタルは懸命に王国軍の瓦解をその卓越した指揮のもと支えていた。だが志気が高いとはいえ、このままでは数の暴力に押され戦線が瓦解するのは目に見えている。


「これ以上は持たんか・・・。」


 そんなとき、遠方から炎が上がった。見上げるほどの炎を燃え上がらせている仁の姿がある。


「よし、いまだ!全軍右側面へ展開する。訓練通り移動を始め!」


 そう全軍に伝令を飛ばす。じりじりと押されていた王国軍は、全軍を右へシフトし始める。次に帝国軍の左端を押すために今まで遊軍になっていた王国騎兵を突入する。


「ようやくこのときが来たか!皆の者続け!」


 ダランベールが指示を出す。約3000騎の突撃が帝国の左端に集中する。意表を突かれたのと、やる気がないのとが相まって帝国軍の左端はどんどん右の方へ移動する。帝国軍は徐々に湖の方へと進み、いつの間にか帝国軍と王国軍は反時計回りに入れ替わってしまい、今度は帝国軍が背水の陣になった。




       (王国軍)      

    ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇  

    □□■■■■■■■■■■■■■  

   □□◆◆◆ 

湖                  

湖湖  □□              

湖湖湖  □■■■■■■■■■■■■■■■  湖湖湖

湖湖湖湖 ■■◇■■◇■◇■◇■◇■    湖湖湖湖

湖湖湖湖湖  ■■■■■■■■■■■■■  湖湖湖湖湖

湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖湖

        (帝国軍)



■歩兵 ◇弓兵 □騎兵 ◆槍兵



 こうして最終的には仁とロピタルの計画通り、隊列の位置を入れ替えることに成功した。


 そしてこの湖の縁は2mほどは浅くなっているがそれ以上進むとちょうど大人の胸ぐらいの深さ急になっている。ここで仁が帝国軍を大量の魔法により圧迫する。帝国軍は逃げ場を失い湖の方へと進む。敵は次第に深みにはまり戦闘不能になっていった。これこそ仁が考案した寡兵をもって大軍を撃つ方策であった。

 その後は王国軍は帝国軍を圧迫し続け、1時間後にはほとんどの兵士が湖の中に入ってしまい戦闘不能になった。


 損害は、王国軍3000、帝国軍7000。帝国軍の約6万ほどは捕虜となった。


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