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転生隠者は賢者になる  作者: 太白
セレナ村の騒動
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とある猟師との出会い


 虎との格闘後、虎の皮をはぎその残りは森の奥の方に破棄した。はぎ取った皮はとりあえず家で保管することにし、再び畑予定地に行き開墾作業を行う。

 木は資材と薪になり、仁は魔法で土地を耕した。鑑定で土壌を確認すると、良質な土壌であることも分かった。


 仁は数週間はこの調子で農作業に取り組んでいく。その間にも魔獣と思われる生物の襲撃を受けその度に爆風卵での戦術を駆使し戦闘を繰り返した。

 畑ができて最初に作るのは蕎麦にした。理由はあまり水がいらないことと成長が早いからで、三か月ほどで収穫ができるからである。


 そして、三か月余りの月日が過ぎ、蕎麦が一面にできた。実入りもよさそうである。仁はかまいたちで根元から刈り取り、風を作り籾をとる。するとあっいう間にそばの実が収穫できた。


 とりあえず生活の基盤ができてきたので、仁は少し遠出に出ることにした。平野の方へ向けて飛行してみる。だが人に見つかるとことなので、平野の近くになると森の中を歩くことした。そんな森の中を歩いていると、急に光が目の中に入ってくる。森を抜けた様だ。


 森を抜け切る前に木の後ろに隠れ、外の様子を伺う仁。そこには、街道らしき土が整地されている道がある。人通りはほとんどなかった。


 街道の位置を確認した仁は、以後毎日のようにこの場所に来て外の様子をうかがうことにした。

 一か月ほど経った頃か、猟師風の男が歩いている。腕には弓と槍を持ち、毛皮を着たいかにもザ・猟師姿。仁は木の後ろに隠れたまま鑑定で猟師を見る。すると・・・HP80とある。あのゴツイ体の猟師ならば体力自慢に属するであろう。そんな人間のHPがそれなのである。仁は自分のHPを再び見る気が一気に失せた瞬間であった。


 こんな不審者生活がしばらくつづいたある日。いつものように森の出口の手前を歩いていると、敵意のオーラが二つほどめらめらと立っている。仁は魔力をまとわせ、気配を殺しオーラの方に近づいた。


 すると、以前見た猟師が肩で息をしながらこちらに向かって槍を構えている。その鋭い眼光の先には、これまた大きな猪が猟師に向かって対峙していた。明らかに猟師のほうが押されている。猪の背中には数本の矢が刺さっているが、どれも致命傷には至っていないようでかえって大猪の敵対心を煽っている。


「さすがにこれは助けるか。」


 仁は魔法を使うところを見せるわけにはいかないので、腰にある刀をゆっくり抜く。そして少しずつ大猪の方へ歩き、一足の間合いまで近づいた瞬間、前足の脇から心臓に目掛け一気に深く刀を突きさし、すぐにそれを引き抜いた。

 仁の作った刀はその刀身の半分ほどを真っ赤な血に染まっている。すぐさま再び大猪の心臓を突き刺す。二度の刺突のあと、大猪は傷口から大量の血を吹き出しもがき苦しんでとうとう息絶えたのだった。


 それを見た猟師は、座り込んで額に大汗をかき安堵した表情をしている。彼は息を整えるのにしばらくの時間がかかり、その間に仁は刀から血をぬぐい腰に納刀した。一連の動きを見ていた猟師はようやく落ち着いたのか、仁に話しかけてきた。


「ハァ、ハァ、いや、助かった。グレイトボアにやられそうだったよ。助かったありがとう礼を言うぜ。けどお前この周辺で見ない顔だな。いつからこのあたりで猟師してんだ。その腕だったらこのあたりでも有名なはずなんだが。」


 マズイッ、と目を明後日の方を向けながら、どう言い訳をしようかと考える仁。前世で悪さをした生徒がずる、そんな様相そのものであった。しばらく時間を置き、


「最近このあたりに住んで、半農、半猟の生活をしてるんだよ。たまたま通りかかってたらこんな状況だから手伝ったまでだ。」


「そうか、俺はバイドっていうんだ。いや、ほんと助かったぜ。」


「俺はジンっていう。礼には及ばんよ、ケガが無いようで何よりだ。じゃぁ気を付けて。」


 と、ウソがばれないうちにそそくさとこの場を立ち去ろうとしたとき、


「おいおい、このグレイトボアはお前んだろ、こんな獲物このままにしてどうすんだよ。持って帰らないのか?助けてもらった礼だ、手伝うぜ。」


「あーーー、今別に困ってないし、いるんならバイドあんたにやるさ。(正直、このでかいの持って帰るの嫌だし、なんだか臭そうだ・・・)」


「ハァ?、おめー何言ってやがんだ。こいつの毛皮売ればそこそこの収入になるし肉もうめぇ、ひょっとしてそんなことも知らねーでここで猟してんのか?」


「といってもね、いらないものはいらないんだよ。いいから持って帰ってくれよ。」


「じゃぁこうしよう。俺もこれを運ぶのを一人では無理だ。おめぇが助けてくれた礼だ、こいつの肉を食わせてやるよ。ついてこい!」


 半ば強引に荷運びを手伝わされ、異世界の第一発見者に拉致されていく仁であった。

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