エリシア様
王子とマーカス様は用事があると言って教室を出て行かれた。
キャサリン様が
「今回の事を説明するわね」
と言って椅子に座る。立ったままでいた事に気づいた。ユリウス様と二人でキャサリン様の前の椅子に座った。
「今日は驚かせてしまって、ごめんなさいね」
「いいえ」
ユリウス様と首を横に振る。
「何から話そうかしら。
そうね、まず、待ち合わせの教室が変わった事ね。
これは、これからもあるから慣れて欲しいわ」
「これからもですか」聞き返してしまった。
「ユリウス様はわかると思うけど、ジルベール殿下が関係してくるとダミーが必要になるの。何があるかわからないから」
少し小声で
「見られてたり、聞かれてたりね」
なるほど。王太子ともなると大変ですね。
キャサリン様、それを 笑顔で話すのはどうかと思います。
「それで、髪飾りの事なんだけど、何故、今日急に渡されたと思う?」
キャサリン様が探るような目で私の顔を覗いて言った。
「私が、マーカス様に聞いたからですか」
ユリウス様が私の代わりに答えた。
「そうね。ユリウス様、何故マーカス様に髪飾りの話をしたのかしら」
「あの、ロザリエンヌ様が…」
私はロザリエンヌ様に言われたことを話したけれど、
ユリウス様に関係する事は言わなかった。
「他の方々が貰っているのか気になってしまって」
「それだけですか」
キャサリン様、疑ってますね。
私はユリウス様をチラチラみながら挙動不審になってしまった。嘘は苦手なんです。
「ユリウス様が関係してるのですか」
キャサリン様、勘がよすぎです。
「そうなのか」
ユリウス様からも聞かれてしまった。
「私のことは気にせずに全てを話して欲しい」
顔にでていたのかも。本当に嘘は苦手なんです。
「わかりました」
私はロザリエンヌ様との会話を全て話した。
婚約破棄やら、王太子妃のことを。
ユリウス様を見ると、大きなため息を吐いて
「ロザリエンヌ嬢は、自分が何を言っているのかわかっているのか」
と言って、頭を押さえていた。
キャサリン様は何か考えを巡らせているらしく
「そう。これは」
などと、ブツブツ呟いていた。
そして
「髪飾りは、マーカス様から話を聞いた殿下がスージー様にまだ渡してなかったからと、くださったのよ。友人だから。だからあまり深く考えずに貰っておけばいいわよ」
と言って帰って行った。
―エリシア・スタンジェイル公爵令嬢―
ユリウスが学園から帰ってすぐにお父様の書斎に入って行った。何か進展があったのか。
私がお父様に殿下との婚約破棄を希望している事を話して3ヶ月はたった。
お父様もお母様もユリウスも初めは本気にしてくれなかった。それもそうだろう。こんなことになるまでは仲が良く、お互い思い合っていたと思っていた。
いつからか、殿下から話しかけられなくなった。
いつも一緒にいたのに、今私のいた場所には他の令嬢がいる。
何があったのか。何をしてしまったのか。
何度も何度も自分に問いかけ考えたが、理由はわからなかった。気づかない間に何かしてしまったのか。
いつも同じ事を考えている。堂々巡りだ。
婚約破棄を考えるようになった。
私は今も殿下をお慕いしているけれど
貴族の結婚が形だけで成り立つのはわかっている。でも、私は、 殿下にいないもののように扱われ、話も出来なく、一生このままかと思うと、殿下に嫁げない。
私の我儘だとわかっている。それでも私は…
私の気持ちや学園の様子を真摯に話したら、家族は殿下に激怒した。そして、今は婚約破棄に向けていろいろと考えてくれている。




