依頼達成!
ダンスが始まる。ユリウス様、氷の貴公子に戻ってますよ。
「体調が悪いのか」
「いいえ、大丈夫です」
「そうか」
無言で踊る。さっきまでは和やかだったのに私とは無言なんですね。
「どうした」
「どうもしません」
「スージー、お前は顔に出るんだ」
「そんな事、ユリウス様しか言いません」
「そうか」
あれ。ユリウス様顔が少し赤いですか。
「ユリウス様こそ体調は大丈夫ですか。顔が少し赤いですよ。忙しかったので無理をしてませんか」
「大丈夫だ」
また黙ってしまった。
曲が終わり戻ろうとしたら、もう一曲、とユリウス様に言われた。
曲が始まる。
「レオンハルト殿下とのダンスは楽しかったか」
「レオンですか。楽しかったですよ。相手がレオンなので気も楽でした」
「格好いいと言ってた」
「聞いてたんですか。正装格好いいですよね。ユリウス様も素敵ですよ」
「二人で仲睦まじく話をしていた」
「サフィー様の話をしてました。惚気を聞かされましたよ。サフィー様となら上手くやっていけるそうです」
「私はどうしてか二人を見ていて嫌な気持ちになった。たぶんこれが嫉妬なのだろうな。私はスージー、お前が好きなようだ」
ユリウス様、淡々と言われますが、私は告白されてるんですよね。
うわぁ
顔が赤くなります。
「大丈夫か」
この状態でも無表情ですね。
あ、ちょっと緊張してますか。
「だからどうという訳ではないから安心してくれ。ただ、自分の気持ちに気付いたから言いたかっただけだ」
「はい」
そういえば私もユリウス様が他の令嬢に笑いかけてたのは嫌だったわよね。これって私もユリウス様が好きってことなの?。
「私もユリウス様が好きみたいです」
「えっ」
ユリウス様の表情が変わりました。
「そうか」
嬉しそうに見えるかな。相変わらず無表情に近いですね。
「では、結婚するか」
えぇぇぇぇ
こんなに淡々と言われてるけど婚姻の申し込みですよね。
「私は男爵家ですので公爵家のユリウス様とは釣り合いません」
「そこは何とかする」
何とかするんですね。スタンジェイルですから出来てしまいますね。
「あとは何か問題があるか」
「公爵家の皆様は私で良いんでしょうか」
「心配ない。家族からは姉上の事があってからスージーを勧められていた。陛下に名前を覚えられているほどの令嬢だからな。反対などされないしさせない」
ユリウス様は言い切りました。
「それで、どうする」
「よろしくお願いします」
お受けしました。
曲が終わりバル兄様のところへ戻るとイーサン殿下、レオン、コントラン様、タイロン様と揃っていた。
バル兄様がニヤニヤしている。他の方々も微笑ましげに見ている気がする。恥ずかしい。
ユリウス様と手を繋いでいたので外そうとしたけれど握られたままだった。
「イーサン殿下、皆様、私とスージーは婚姻の約束をしました。ですから私は、今からスージーには婚約者と同等の対応をします」
また、淡々とユリウス様が話す。
皆、ユリウス様と私を交互に見た。
「スージーがいるので私はどなたともダンスはしません。宜しいでしょうか」
ユリウス様がイーサン殿下へ氷点下の無表情で話す。
ユリウス様、ダンスは嫌だったんですね。
イーサン殿下が首を縦にぶんぶん振る。殿下、王太子なのだからそんなに怖がらなくてもいいと思います。
「それではバルコニーにいますので。失礼します」
「し、失礼します」
二人でバルコニーへ出た。
…残された方々…
「ユリウスは婚姻すると言ったよな」バルファ
「あの短時間で決めたのか」コントラン
「お互い好意を持っているのはわかっていたけれど、気持ちを伝えるだけでなく婚姻まで決めるとは驚いた」バルファ
「ユリウス殿はあまり嬉しそうには見えなかったけれどスージーは大丈夫なのか」レオンハルト
「あれは、いつものユリウスだ。素が出ているからあれは本気だ」イーサン
「そうなのか」レオンハルト
「氷の貴公子だからな」タイロン
「「「そうだな」」」
なぜか皆ため息を吐いた。
次の日カラナリア王国へ出発。
帰りはユリウス様と私が一緒の馬車になった。もちろん侍女も一人います。
相変わらずの無表情だけど話の所々で表情が崩れるので、良し、としよう。
令嬢とのダンスの時は外用の顔だと言っていたからね。
いろいろあったけれどカサンダガルダの事も調べ、レオンの気持ちも聞いた。
これで陛下の依頼は達成です。
完結しました。
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拙い文章を最後まで読んで頂きありがとうございました。
バルファとローズの日常の話を書きました。
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