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悪役令嬢様、その依頼お受けします  作者: いぶさんた
王子と悪役令嬢編
22/40

モーリッツ領へ



ローズがジルベール殿下と共にモーリッツ伯爵領へ帰った。見送りは許可が出なかったので行けなかった。謹慎中の王子が一緒だから仕方がない。


出発の様子をお爺様が教えてくれた。


王子にはマーカス様だけが付いていく。

ローズは馬車に乗るけれど王子は騎馬で行くそうだ。


王都を出発する時からモーリッツの騎士団の立場で行きたいと本人から申し出があったらしい。

道中の4日間は王子はローズの護衛になる。


「スージー、モーリッツではエリシア様をしっかり支えてもらいたい」


「はい」

返事をして部屋を出る。

私達も5日後には出発だ。





―ジルベール出発後・国王執務室―


「よく来てくれた。クラン、リカルド殿」

陛下がソファを指す。宰相クラン・スタンジェイル公爵とリカルド・アイマリクト前伯爵が陛下の前に座る。


私人として話す時はクラン・スタンジェイルもカイザル・カラナリア国国王をカイザルと呼ぶ。国王にとっての数少ない友人だ。


「カイザル、何の用です」

公爵がぶっきらぼうに陛下に話す。公的な場面だと不敬罪になりそうだ。


「クラン、そう怒るな。今回の事はジルベールが悪い。それはもう何度も謝ったではないか」


「謝罪は受けましたが、感情は違います」


「公爵、まずは陛下の話を聞こう」

アイマリクト前伯爵が取りなし、話をはじめた。


「クラン、エリシア嬢がサファイアとモーリッツに行くと聞いた」


「そうですね。スージー嬢も行きますよ」


「そうだな。サファイアが言っておった」


「何が言いたいのか。はっきり言ってください。エリシアの事なのでしょう」


「あぁ。エリシア嬢がモーリッツに行くのはジルベールに言いたい事があるかららしいが、エリシア嬢はジルベールの事をどう思っているのだ。


あの時、婚約破棄の時、ジルベールから言い出さねばスタンジェイルから話を出したと言っていた。

お前の事だ。儂が反論出来ないほどのものを準備していたのだろう」


「えぇ。準備はしていましたよ。使いませんでしたがね」


「それは、エリシア嬢が、ジルベールと婚約破棄をしたかったという事だろう」


「そうですよ。私はエリシアから相談され、エリシアの気持ちを優先しました。まぁ、殿下も婚約破棄したがっていたから揉める事なく話が進みましたがね」


「では、なぜエリシア嬢はモーリッツに行くんだ?それでは私にはまだジルベールの事が好きなのだと思える」


「好きなんですよ。エリシアは殿下が他の令嬢が良いならと言って自ら身を引いたんです。

それなのにあの時、殿下は他の令嬢、特に仲良くされていたロザリエンヌ嬢を友人と言った。友人です。どういう事だ。となるでしょう」


「そうか」陛下が頷く。


「だから、エリシアは自分の気持ちに区切りをつけるために殿下と話をしたくてモーリッツに行くんです。

エリシアはどんな結果になろうとも覚悟していますよ」


「クラン、すまなかった。これは私の責任だな。私が

もっとジルベールを気にかけてやれば良かったんだが、王妃任せにしてあの子を追い詰めてしまった」


「陛下、どういうことですか」

公爵、前伯爵が陛下を見る。陛下は王子との話を2人にした。



「つまり、ジルベール殿下は、自分は王太子の器ではなく兄のイーサン殿下が王太子になるべきだと思っていてなんとかイーサン殿下を王太子にしようとしていた。

そこにエリシア嬢が王太子妃になりたい為に殿下と婚約していると言っていたのを聞いて、殿下はエリシア嬢をイーサン殿下の妃にする為に婚約破棄をしたと言う事ですか。

ジルベール殿下はエリシア嬢に愛情があったにもかかわらず。エリシア嬢の為にですか」

前伯爵がいう。


「純粋なのか。不器用なのか。エリシア嬢の為とは。誰かに相談しようと思わなかったのか。いや、相談出来なかったのか」

前伯爵が呟いた。


「陛下と殿下もですが殿下とエリシア嬢も、もう少しお互いに話をする必要がありますな」


前伯爵の言葉に陛下も公爵も頭を抱えて頷いた。







5日後私達は王都を出発した。


サフィー様のモーリッツ領への休暇に一緒に付いていく友人として、エリシア様と私は王家の馬車に乗っている。お忍びなので侍女も護衛も最小限になっている。


王家の馬車は乗り心地が良くいつもなら1時間も乗っていれば体が痛くなるけれど今は体に負担無く進んでいる。


ローズ達は4日かかると言っていたけれども私達はもう1日かかる。ゆっくり行く為と、王族のサフィー様がモーリッツ領に行く時は道中の数々の街に立ち寄る為だ。


街に立ち寄り話を聞きお金を使う。これも王族の仕事だとサフィー様は教えてくれた。


大きな事件も起きず順調に進んで行く。エリシア様はだんだんと口数が減って、食事もあまり食べなくなった。

サフィー様と私でなんとか気を紛らせようとしていたけれどやはり王子の事は気になるんだろう。最後は今後の展開を想像して話しだした。


簡単に言えば、エリシア様が王子の態度を想像して、もし、でも、と良くない事ばかり言うので、

それは違うわ。

と、私とサフィー様が否定して良い方向の話をする。など。

エリシア様、良い事を考えましょう。


5日後の夕方モーリッツ領へ到着した。


伯爵家の前でウイリアム・モーリッツ伯爵とアンヌメリー夫人、ローズが迎えてくれた。


私達は互いに挨拶をして中に入る。サフィー様は何度か来た事があるがエリシア様と私はモーリッツ伯爵、アンヌメリー様とも初めてお会いする。

緊張している私達にアンヌメリー様はにこやかに話しかけてくれた。


「今日は疲れたでしょう。食事は部屋に運ばせるわね。湯も使えるから早く休んでね。

明日の朝食は一緒にしましょう。ローズ説明してあげてね」


ローズが部屋の事や侍女の事など教えてくれた。

私は疲れていたのか早く就寝した。





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