悪役令嬢
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「私はエリシア・スタンジェイル。隣は弟のユリウス・スタンジェイルです。」
「スタンジェイル!」
私は思わず叫んで立ち上がった。
シュウさんが落ち着くようにとポンポンと肩を叩いて座らせてくれる。
「現宰相のスタンジェイル公爵家の…」
呟くと、
「そうです。スージー・スロイサーナ男爵令嬢」
弟のユリウス様が返事をされた。
「えっ!何故」
驚いて口を挟んでしまった。
私は何でも屋の時はスーになってる。
シュウさん達は男爵令嬢と知っているけど他にはいないはずだ。
「申し訳ないが調べさせてもらった。今回の事は国の重要事項になるからな」
「私の依頼は貴方にしかお願い出来ないと思っています」
ユリウス様エリシア様がこちらを見る。
シュウさんはもう話を聞いているらしく
「俺は断っても良いと思う。だが、スーの事だから自分で話を聞いてどうするか決めればいいと思う」
と、私に任せてくれるようだ。
「お話をお聞きします」
エリシア様のお話を聞いて私は後悔した。
本当に重要事項だった。
エリシア様は現在ジルベール・カラナリア第2王子と婚約中で、学園の卒業と共に結婚する事になっている。
しかし、冬の休暇後から王子の様子がおかしい。
それまでは政略結婚とはいえ仲は良かったそうだ。
王子がいろいろな令嬢に声をかけはじめ、今ではいつも何人もの取り巻き令嬢がいる状態になっている。
エリシア様も初めは王子と話し合おうとしたが、聞く耳を持たず、もう2ヶ月以上も会話をしていない。
挙句、婚約者なら当然の事を令嬢達に注意したエリシア様は嫉妬し嫌がらせをする悪役令嬢と噂になっている。
エリシア様は王子がこのままでは王太子妃になる自信が無く、王子の選んだ令嬢に王子の側に居てもらったほうがいいと思い、婚約破棄を考えているそうだ。
父親のスタンジェイル公爵も娘を無碍に扱う王子に激怒していて、今回の依頼も公爵家総意だとユリウス様が言われた。
しかし、王家へ婚約破棄をとは言えないので婚約破棄が出来る程の証拠を集めて王家に突き出すそうだ。
「そのような状態でジルベール殿下が婚約を破棄したい。とは言わないのですか」
私は政略結婚とはわかっていても聞いてしまった。
だって、結婚は好きな人としたいじゃない。
「それは難しい」
ユリウス様が続ける。
「知っての通りスタンジェイル公爵家は王家に次ぐ地位にある。
ジルベール殿下が第2王子なのに王太子になった理由は、王妃様の御子である事と、姉上と婚約してスタンジェイルが付いた事にある。
王様が了承しても王妃様は絶対に反対する。王妃様はジルベール殿下を王太子にする事しか考えていないからな。
側妃様の御子のイーサン第1王子も優れた方なのだが。
ジルベール殿下がこのようになるまでは問題はなかった。姉上との関係も良好だったんだ。寧ろ、相思相愛だったと思っていた。
私も姉上から相談された時は考え直してもらおうと思っていたが、日に日にやつれていく姉上を見ていて婚約を破棄した方が良いと思うようになった」
ユリウス様がエリシア様を気遣いながら教えてくれた。エリシア様顔色が悪くなってるけど大丈夫かな。
まだ王子の事が好きなんだろうな。
「それで、私は何をするのですか」
仕事内容の確認は必要だよね。出来ない事もあるからね。
「スロイサーナ男爵令嬢には、学園に入学してから私の手伝いをお願いしたい。私も入学するので証拠集めを手伝ってもらいたいと思う。
ジルベール殿下と姉上は3年なので、学園で会うだろう。殿下は私とも幼馴染なので紹介する事も出来る。
本当は取り巻き令嬢の中に入ってくれると様子が良くわかると思うがどうだろう」
なんて事を。
「それは、ちょっと無理です。私は所詮男爵令嬢ですし、殿下の取り巻きなど恐れ多いです」
ユリウス様の言葉に即答してしまった。
王子の、それも王太子の婚約破棄のお手伝いなんて出来ないよ。恐ろしい。
それにこんな事を手伝ったと知られて男爵家や領民にお咎めがあったらいけない。
お断りしよう。そう思ってユリウス様を見たら
「金貨60枚」
「えっ」
「金貨60枚お支払いします。失敗してもです。
スロイサーナ男爵領の国への納税額は1年金貨20枚ですよね。3年分お支払いいたします」
ユリウス様の言葉に唖然とする私。ユリウス様、悪い顔をしてます。
「調べたと言いましたよね。スロイサーナ男爵家の事情もある程度知っています。」
これは悩む。どうしよう。
3年分もあれば皆の生活が楽になる。
「女性の貴方に変な噂がたたないように気をつけますが、何があるかわかりません。なので、」
変な噂って、取り巻きに入った場合の事よね。
「スロイサーナ男爵令嬢にはまだ婚約者がいらっしゃいませんね。スタンジェイル公爵家が紹介いたします。もちろん貴方の気持ちが優先の人です」
ユリウス様が次の一手を打ってきた。
結果、依頼を受ける事になった。
そもそも公爵様の依頼を断る事は出来ないと思う。




