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悪役令嬢様、その依頼お受けします  作者: いぶさんた
悪役令嬢編
15/40

婚約破棄(下)


「ジルベール殿下、これからは私がおそばにおります」

ロザリエンヌ様が目をうるうるさせて王子を見つめる。


「ロザリエンヌ嬢、貴方とは友人だ。友人以上の感情はない」


「えっ、殿下、な、何を」

ロザリエンヌ様は信じられないという顔だ。


「殿下、ロザリエンヌとは親しくしていらっしゃったと聞いております。髪飾りもくださったと」

侯爵も慌てて言う。


エリシア様と婚約を破棄したからロザリエンヌ様と婚約になると思っていたんだろう。


「ロザリエンヌ嬢は友人としか思えない。それに髪飾りは他の令嬢にも渡した。友人として、そうだね、スージー嬢」


「は、はぃ」

驚いて声が裏返ってしまった。髪飾りを外し皆に見える様に差し出す。


「それを、殿下から頂いたというの」

ロザリエンヌ様、顔が怖い。


「頂いた時にマーカス様とキャサリン様もいらっしゃいました。それに、キャサリン様も殿下から髪飾りを頂いたと言っていました」

先程言えなかったのでここではっきり言っておく。


「ロザリエンヌ嬢、私は貴方に友人としての親愛はあるが愛情は持っていない。それに愛情を持っていると言った覚えはない」

王子、追い打ちを掛けますね。


「そんな、そんな…」

ロザリエンヌ嬢は泣き崩れた。


「ジルベール殿下は娘を弄ばれたのですか」

侯爵、言い過ぎです。


「マキヤリア侯爵、それはお言葉が過ぎますぞ。学園でのことはスージーから聞いておりますが、殿下は一人の令嬢を特別扱いしてはいらっしゃらなかった。

確かにロザリエンヌ嬢とは一緒にいらっしゃったがもう一人キャサリン・ハイダミオ公爵令嬢も一緒にいてロザリエンヌ嬢だけと特別に親しくなさっていたわけではない。

弄んだなどとはおかしなことを申される」

お爺様がビシッと言うと


「しかし、殿下と親しくなり、ロザリエンヌを気に入っていらっしゃると聞いていたからユリウス殿との婚約を破棄したのに」

ぶつぶつと侯爵が呟いている。心の声がダダ漏れです。


「スージー嬢、学園でのジルベール殿下とロザリエンヌ嬢は他の生徒からはどう見えていた」

公爵が聞いてきた。本当のことを言うべきよね。


「私は、昼食をご一緒させていただいたりもいたしましたので殿下が令嬢の皆を平等に遇していらっしゃったのを存じております。

ですが、他の生徒はお親しいと誤解していたかと存じます。その、距離がずいぶんお近かったので…」

最後はしどろもどろになってしまった。


「学園生がそう思ったなら親の王国貴族もそう思っているでしょう。そんな中にエリシアはいたのです」

公爵がジルベール殿下を睨んで言う。




「ジルベール、お前のした事がわかるか」

陛下が王子に問いかけた。怒っているより諭しているようだ。


「お前はこれからどうするつもりなのだ。王太子だというのに国の重鎮であるスタンジェイル公爵とマキヤリア侯爵の信頼を無くし、先程の話だと、他の貴族も今回の事を知っているという。


お前は友人のつもりだったかもしれないが、ロザリエンヌ嬢や周りの者に誤解を招く行為は王太子としての振る舞いではない。


そんなお前に、王太子に、ついてくる者がいると思うのか」

陛下が顔を歪め王子に問う。


「ジルベール、其方に王太子は荷が重かったようだ。王太子廃嫡を申し渡す」


とうとう陛下が決断しました。

「陛下、それはなりませぬ。国中が騒ぎになります」

公爵が訴えるも、


「このままでは皆の信頼を回復させることが難しい。王族には特に王や王太子には責任がある。信頼が無ければ国を動かせぬ。これは、王としての決断だ。今後イーサンを王太子とする」


陛下が宣言しました。


「スタンジェイル公爵、宰相としてこの旨を皆に連絡せよ」

「ハッ」

王子をちらっと見て公爵が退出する。


「マキヤリア侯爵、ジルベールに思う所があると思うが、これで溜飲を下げて欲しい」

「勿体ないお言葉でございます。私も娘の言葉を鵜呑みにしてしまいお恥ずかしい限りです」


侯爵は平身低頭のていで陛下に頭を下げる。

もっと野望があると思っていたからちょっと意外。娘を溺愛しているただの親馬鹿?


ロザリエンヌ様はユリウス様と婚約破棄したけれどお二人は気も合わず、どちらかというと嫌悪しあっていたようだからこれで良かったのかな。

王子との事も、王太子妃にはなれないのだから離れていくだろうし。


バイタリティあるロザリエンヌ様だから心配はいらないよね。娘溺愛の侯爵も付いているしね。


侯爵とロザリエンヌ様も部屋を退出した。


「では、儂もこれで」

お爺様も挨拶し、私達も退出する。

「陛下、悩みがおありでしたらこの爺にたまには話してご覧になるのもよいかと存じますがね」

お爺様の言葉に陛下は手を挙げ応えた。



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