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悪役令嬢様、その依頼お受けします  作者: いぶさんた
悪役令嬢編
1/40

貧乏令嬢

R15は保険です


よろしくお願いします



「お疲れ様、ありがとね」

パン屋のハンナさんがニコニコしながらこちらに歩いてくる。


「こちらの用紙に名前をお願いします」

私はハンナさんに用紙を渡し名前を書いてもらう。

これで依頼完了だ。


今回の仕事はハンナさんの店の周りを綺麗にする事。

庭の草むしりや木の剪定、柵の補修など二人でやって1日かかったけど、綺麗になった庭を見て頰が緩む。


「スー、顔が変だぞ」

レオンが言ってくるけど聞こえないふりをして、

「ありがとうございました。また、お願いします」

ハンナさんにお礼を言い店を出た。




私はスージー・スロイサーナ。スロイサーナ男爵の娘で、何でも屋シュウの従業員スーでもある。


なぜ貴族の令嬢の私が働いているかって?

それは、スロイサーナ男爵家が貧乏だから。


当主のお父様、お母様は仲も良く領地の経営も頑張っているけれど、カラナリア王国の東の端にある小さな領地では領民も資源も少なく貧乏。当主家といえど領民と一緒に働いてる。

おかげで領民ととても良い関係を築いている。


私もお手伝いをしているからいつでも平民にお嫁に行けるくらい家事ができる。と自分では思ってる。思ってるだけで相手はいないんだけどね。ぐすん。


そんな自転車操業状態の家族に無理して欲しくなくて、お小遣いだけは自分でなんとかしようと思い空いた時間で働いてる。


10日後にあるカラナリア学園入学の為に一ヶ月前に王都に来た。


カラナリア王国の貴族の子は学園に入る事を義務づけられる。爵位を継いだり、結婚など家の事情などで3年後の卒業まで在籍出来ないのは承認されている。


学園にはお母様の実家のアイマリクト伯爵家から通う。お母様は上級貴族の伯爵令嬢だった。


伯爵令嬢が何故男爵家に嫁いだのか、と驚いて聞いたら学園で知り合って相思相愛になり、

普通お爺様の反対があると思うんだけど娘の選んだ人ならと、結婚に至ったんだって。

お爺様、素敵です。


円満な関係のおかげで私も小さな頃から伯爵家に遊びにきていて、とっても可愛がってもらってる。私も大好き。


今は伯父様に家督を譲ったからお爺様は前伯爵になり、伯父様が領地の経営、お爺様が王都のお屋敷で時々相談役みたいな事をして、悠々自適な生活をしている。


伯父様には息子が二人いて長男のロランド兄様は結婚して領地で伯父様の補助をしながら勉強中。赤ちゃんはまだ。早くみたいんだけどなあ。こればっかりはね。


次男のバルファ兄様は(私はバル兄様って呼んでる)第一王子イーサン殿下の近衛騎士。アイマリクト伯爵家は武門の家。バル兄様はイーサン殿下の近衛、側近、友人だと執事のトマスが教えてくれた、いつも騎士の宿舎にいるからたまにしか屋敷に帰ってこない。




学園には14歳から17歳までの3年通う。

我が家は王都に屋敷がないので寮生活を覚悟していたから3年間この伯爵家にいられるのはとても嬉しい。

私がカラナリア学園に入学したら学園の寮ではなく伯爵家から通ったらどうかとお爺様に誘ってもらった時はすぐに、是非、と返事をした。


普段、伯爵家にはお爺様お婆様と使用人しかいないから私に来て欲しかったと言ってくれた。



はじめはお爺様お婆様は私が普通の貴族令嬢の様に屋敷の中で過ごすと思っていたみたいだけど、でもそこは貧乏令嬢。

今まで毎日働いていたのにずっと家の中で大人しくなんて出来ないし、お小遣いもなんとかしないといけないから働きたいとお爺様にお願いした。


お爺様はお金の心配はしなくていいと言ってくれたけれど、私はそれでは嫌なの、と話し合って(ゴネたともいう)午前中は勉強をする約束で午後からは仕事をする事を許してもらえた。


お婆様とは

「日焼けをしては駄目よ」

との言葉で淑女の嗜みを強く約束した。


私の仕事場は何でも屋シュウ。名前の通りシュウさんのやっている何でも屋さん。

シュウさん、奥さんのアンナさん、シュウさんの親戚の私と同じ歳のレオン、そして私の四人で町の人の依頼を受けてる。


シュウさんはお爺様の知り合い。シュウさんの所ならばと許可が貰えた。





午前中は勉強、午後は何でも屋の生活もだいぶ慣れて、学園入学まで後5日となった日、私はシュウさんに事務所に呼ばれた。


いつもはシュウさんが依頼者から話を聞いて受けるかどうか決め、決まってから私達が呼ばれるから今回もそうだと思っていたらどうも様子が違う。


事務所には依頼者の男女二人がいて、私を凝視してきた。

シュウさんは苦虫を噛み潰したような顔をしているので、良い話ではないみたい。


「スーです。はじめまして」

挨拶をしてシュウさんの隣に座る。


依頼者は私と同じくらいの歳で商人の格好をしているけれど貴族なんだと思う。

なんとなくだけど品があるし、美人と美男子の姉弟かな。


そんな事を考えていると前にいる二人がこちらを見て目を合わせて、頷きあって美人さんが話しはじめた。



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