8話 彼女達は自己紹介をするようです
美乃です。女神様の編入にかなり動揺して忘れかけましたが、エルちゃんという転校生がやってきました。転校生っていいよね、主人公っぽい感じするよね。
エルちゃんの席は、私の後ろになりました。
このクラスは人数が少ない割に机の数は一緒なので全体的にがらんどうだ。
決まった席というものがなく、各々好きに座っていいそうだけど、大体の人はお気に入りの席に座って授業を受けているそうです(先輩いわく)
ちなみに私は教室の中心を選んだ。右隣にみくも先輩が、左隣に桃音先輩が。
この二人の間がたまたま空いていたので、面白そうなのでここにした。
桃音先輩の2つ後ろに舞先輩、その隣に夢依ちゃん。
みくも先輩の後ろに小夜さん、その右に里花さん。
私のいる列の一番後ろに女神様が座っている。
ちなみにくるみ先輩は窓際の一番後ろでカーテンをまきつけながら爆睡していて、
絢音先輩はくるみ先輩の一つ前の席に座っている。
……ところでくるみ先輩は起こさないのかな?w
先生さえもまるで気にしていない様だった。
「よし、みんな席に着いたな!我がFクラスにも新しい子が加わったことだし、久々に全員自己紹介をしよう!ちなみに俺がいたら言えないような――まあいわゆる女子トークだが、あとで自由時間を取るからそっちで話してくれ。さて、まずここまでで質問あるか?」
先生は私をガッツリ見ていた。むしろ私以外は質問しないだろうと言う自信があるのだろうか?まあともかく、聞きたいことがあった私には好都合だ。
「せんせー、くるみ先輩起こさないんですか?」
「ああ別にアイツはあれでもいいんだ。――授業態度はアレだがサボりもせず、成績も平均そこらだから後はどうしようと自己責任だ」
軽い!教師としてはどうなのさ……。
まあ本人がいいって言ってるからいいか。
「今回は自己紹介してもらうし、起こすけどな……悪いが藤堂、頼んだ」
絢音先輩は立ち上がってくるみ先輩の後ろへ移動して……椅子をすばやく抜いた。
「いったぁぁぁぁ~!?」
尻餅をついてくるみ先輩が悲鳴を上げた。ああやって起こすんだ……。
「くるみ。自己紹介して」
「了解、あーちゃん!」
そう返事をしたくるみ先輩は教卓へテクテクと歩いて全員を見据える。
「紅葉くるみです!散歩するのが日課なのです!よろしくね~」
くるみ先輩はぼさっとした栗色のセミロングヘアーで、スタイルは私よりはいい。くやしい!なるほど、自己紹介はあの程度でいいのか。おっと、次は絢音先輩だ。
「藤堂絢音。読書が趣味です。よろしく」
絢音先輩は銀髪のショートヘア。読書好きなのにメガネはない。ロマンなのになー。
ていうか、教卓に移動していない。その場で言ってもいいようだ。先生も何も言わないし。
「逆月舞です『夢衣です』姉です『妹です』趣味はチェスです『オセロです』」
「「よろしくお願いします」」
なぜか二人同時に自己紹介を進めたよこの姉妹!ありなの?
姉妹で仲良しなのがすっごくよくわかった!
前髪はどちらも外に跳ねてるけど、ボブカットが姉、ロングなのが妹。覚えた!
「佐倉桃音ですっ!趣味はゲームで全国のゲームセンター回ってまーす!」
元気よく挨拶した桃音先輩は深緑の髪にポニーテールの先輩だ。
さっきみくも先輩と言い争いしてるところを見た限り、裏表のなさそうな人だ。
おっと、私だ!
「恋雲美乃です!趣味はエナジードリンク作りとゲーム!こゆみんって呼んでね!」
ふ、決まったかな?……たいした事言ってないけどさ。
「こゆみーん!!」
隣で桃音先輩が早速叫んでた。ひとまず軽く手を振るだけにしておこう。
「椎名みくもです。趣味はゲームと、音楽を聞くことです。よろしくー」
みくも先輩は、授業が始まってもめったにヘッドホンを取らないらしい。
キレイな青髪で長さはセミロング、左側だけを後ろに回してリボンでくくっている。
「泣森小夜だ。趣味はランニングと剣道。よろしく」
小夜ちゃんはきれいな紫の長いサイドテール。髪留めは蝶の形。
昔からの知ってる人だから、先輩だけど、ちゃん付けで呼んじゃうことにした。
「雨崎里花でーす。趣味はボランティア。あ、嘘じゃないよ?ま、よろしく。困ったこととかあったらどんどん言って!!」
小夜先輩のサイドテールを短くして髪留めは緑のリボンに、そのまま青髪にしたような髪型をしている。ちょっとけだるげな印象があるけど、ボランティアが趣味。なんか、理由がありそうだなー。
「エル・F・リーテン。Fはファールの略です。趣味は…猫吸い?です、改めて、よろしくお願いします」
猫吸いってなに!?……後で聞いておこう。
ガタ。後ろでひときわ目立つ音がして、その音の主は真っ直ぐ歩き、教卓へ立った。
「越神奏女です。趣味は、人間観察。その気になれば全世界の人間を把握できるけど、そんな面倒な事は好きじゃないの。だから選ばれし者だけを監視するために、私はここへ来た!」
クルッ、ビシ!
謎の決めポーズを決めながら、痛々しいような、セリフを吐いた。
まあ、嘘でもないのでちょっとせつない。
しーん……………
かなり滑った女神様は、
顔を真っ赤にしながら静まり返った教室のなか、自分の席に戻っていった。