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6話 彼女達は妥協してくれるそうです

我に返った女神様は、慌てふためいていた。

「ちょ、ちょ、ちょっとまって!?話聞いてたよね?」


みくも先輩は悪びれる様子もなく答えた。

別に、悪びれる必要もないんだけどね。


「はい、聞いた上で判断しました」


女神様はそれでも納得行かないようだった。

「その力はとっても危険なのよ?そりゃー便利かも知れないけど、能力を多用して魔力がなくなると気絶しちゃうし、もしも軍事利用でもされたら世界が滅ぶ恐れも――」


「大丈夫です。私を含め、みんな見つかることがないよう心がけてますし、魔力の残量についても昔から感覚で把握できるようになってますから」


おお、これはみくも先輩優勢かな?いけるいける!


それでも女神は食い下がらなかった。


「でもでも!!寝てる間に魔力が暴走しちゃったりしたら体調が――」


「私は死ぬこと以外のリスクなら甘んじて受けますよ。それだけの価値はある。私以外の彼女らも、きっと同じ認識だと思います」


そう言って先輩は私達のほうへ向く。

半ばノリで頷いておいた。実際私はそう思ってるしね!

他のみんなも口々に賛成の意を述べている。


「だぁーもう!!らちがあかないわね!!じゃあどうしろっていうのよ!!」


あ、女神様壊れた。こっちが…本性なのかな?

おー先輩が引いてる引いてる。そりゃそうなるよね、目の前の人がいきなり性格変わったんだもん。


「そ、そうですねー……私達の安全が気になる様子ですし、定期報告と言う形で女神様に報告をする、というのはどうでしょう?」


「んーそうねぇ。報告に目を通すのなんかめんどいんだけど、そうもいってらんないみたいだしね……そうだ!じゃあこうするわ――《監視(オーバーラップ)》」


女神様が魔法を使用すると同時に目の前に、紋章型のシールが現れた。

それは宙を飛び、私達の手元まで飛んでくる。見れば皆が1枚ずつ持っている。

「それを利き手の甲に貼ってちょうだい。安心して、すぐに消えるから」


私は言われるがまま右手の甲にシールを貼る。すると光を放ちながらも吸い込まれるようにして消えた。


「あら?随分あっさりと従ったわねあなた。まあいいわ、試しに力を一度使ってみなさい」

「は、はい!――《出納(オーバーラップ)》」


いつもどおり空間をねじ空けるのだが、いつもと違っていたものがいくつかある。

普段であれば「手をかざして唱える」、「開く」、「いつでも閉じられる」という段階を踏む。

今回は開いてる間、右手の紋章が光っている。かっこいい!!某使い魔さんのルーン文字みたいだ!


「あなた方が魔法を使うと光り、ついでに私にもそれが分かるようになってるの。これであなた達が魔法を使ったかどうかは私に筒抜けになったわね」


「あの!小夜ちゃんの分は?今日ここにいないみたいなんだけど」


「ああ、彼女の能力は特殊すぎてうかつに関われないのよねぇ……触らぬ神に祟りなしってところよ」


女神なのにそれ言っていいのかな……?まあいいのかな。


「まあ彼女は使いこなせるみたいだし、そもそも監視の必要がないわね」


小夜ちゃんってもしかしてすごい人?

しかし、女神に神扱いされるってどんな能力なんだろうか……。


「あ、ちなみにみくも先輩!小夜さんの能力って、知ってたりします?」


「んー一応知ってるけど、よく分からなかったんだよね……」


みくも先輩いわく。

発動すると睡眠状態になり、記憶と経験、意識を持った状態で平行世界及び異世界の自分へ接続、憑依、継承する能力。なんだそうだ。確かによくわからん。


女神様が続きを教えてくれる。

「分かりやすくいえば、彼女は過去以外の平行世界、異世界、未来の世界といった、あらゆる世界の自分自身を体験ないしその記憶をコピーしたうえで、戻ってこられるの。こちらでの3分が60分ほどに感じる効果もあるから、彼女が能力発動してるあいだに8時間たったとしたら彼女自身はおよそ一週間を体験している事になるわ」


えげつない能力だ、小夜さん!!それって未来予知もできるじゃん!


「そんなのだから彼女は能力を上手く使えるの。まあそれでも、念のためにつけておこうかとは思ってるけどね。それじゃあ私は帰るわ。報告、ちゃんとしなさいよ?」


彼女はそう言い残して、光になって消えた。ガチで女神だったんだな、って今になって思う。いや疑ってなかったけどね……


それと同時に、教室のあちこちにいつの間にか張られていた結界は全て消えていた。


「先輩がた……なんか、私今不思議な気分です」


みくも先輩が肩をすくめて答える。

「私もだよ。夢だったんじゃないかって……あ、時計進んでない……あの結界時間も止まってたみたいだね」


なんか、忘れている気がするな…。


「ねー、感傷に浸るのもいいかも知れないけどさ。とりあえず、配布物とりにいこ?」

それを思い出させてくれたのは、桃音先輩だった。


「それだ!」


私たちは配布物を取りに昇降口へ向かった。

みんな終始無言だったが、なんとなく考えてる事は分かってた……気がした。










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