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5話 彼女達は拒否権を発動するようです

女神。教壇に立つ白いドレスの女性はそう名乗った。

普通に考えたら「何をバカな」と一笑に付すところだが、できなかった。


私は魔法を知っている。ここのみんなもそうだ。

この類のものは一つでも実在すれば「もしかしたらあれもこれも」と思えてしまう。


「……悪いけど、女神なんて信じてないから」


冷たく言い放ったのは藤堂さんだ。彼女は私の予想とは違い、女神を信じてはいないらしい。


他のみんなは口を出さず、成り行きを見守っている。


「あなたは、人じゃない。それが本当なら……あなたは死んでも問題ない。どう?」


いきなりやベー発言しちゃったよこの人!!止めないの!?

とは思うものの、止めにいけるような空気でもない。

どうにか自重してくれと願う。


「ふふっ、ははは!!面白いね、あなた。確かに私が死んだところで殺人にはならないわ。もっとも、私を殺せる存在は上位の神くらいの者だけれど。好きにするといいわ」


そう言って女神(仮)は手を広げて受け入れるポーズをした。挑発のつもりだろうか?


「見くびらないで。――《上書き--射(オーバーラップ)》」


絢音先輩が魔法の言葉を紡いだとたん、先輩の手のあたりの空間が歪み、太い鉄の針のようなものが3本現れた。同時に射出され、女神(仮)に向かって飛んでいく。


いくらなんでもそれはまずいだろと思い駆け出そうとしたが、やめた。

本人だって何らかの対処をするだろうから、邪魔になるかも知れない。


除外(オーバーラップ)


女神(仮)も魔法を使用した。私達と同じものなのだろうが、その内容は・・・?


消えた。目の前で、音も跡形もなく。

一直線に飛んでいた鉄の針がなくなっていた。


藤堂先輩はそれでも冷静でいたが、かすかに声が震えている。

得体のしれない能力で自身の能力を防がれたのだから無理もない。

「…あなた、何をしたの?」


「世界を書き換えて、『先ほどの物体はこの世界に存在しなかった』ことにしました」


…スケールが違いすぎた。


「言ったでしょう?私は女神。貴女方の魔法も、私の魔力によるものなんですよ」


――女神いわく。

10年前、流星に変身して地球へ遊びに来た。

何事もなく二年前まで遊んで生きていたが、あり得ない事に人間の少女に話しかけられた、と。

本来なら人間には女神の姿は見えないようになっているのだとか。

その人間は能力を持っていたため視認できたという。

――


「……で、他にも能力者がいるのかも知れない可能性を考えた私は、ある暴挙に出ました」


我らを代表して、みくも先輩が問いかける。

「一応聞きます。何したんですか?」


「能力を持つ子の運命を書き換え、『全員がこの学校に入学、Fクラスになる』ようにしました」


――私がなぜこの学校を選んだかって?運命かな!!――運命だったようです。

は!同じ運命ってことは!


「私達って運命共同t「違います」」


言い終わる前に女神にきっぱり言い切られた。ぐすん。


「なぜ、そんなことを?」

私はスルーされ、みくも先輩は話を続ける。


「その魔法オーバーラップ自体は「異世界へ接続する」効果です。しかし、人によって効果が異なるのです」

私は何でも出来るんですけどね、女神ですから、と笑う。


確かに私は世界を拡張する力だが、みくも先輩とも絢音先輩とも違った。


「私が変身していた流星。あなた方は、10年前に目にしているんです。そのさい過剰な魔力を振りまいてしまい、あなた方に魔法を与えるという影響を与えてしまいました。その力をあなた方人間が思い思いに振るってしまったら、どうなると思います?」


私には皆目検討がつきません、はい。先輩は違うのかな?


「……戦争?」


「そのとおりです、椎名さん。あなたの持つその力は敵の情報を丸裸にします。絢音さんのその力でいくらでも強力な兵器は用意でき、舞さんの力があればこちらが倒れる事さえありません。言うならば、あなた方全員で、数千人規模の軍隊とだって渡り合えるんです。やった場合、ですけどね」


えぇ……特殊能力って、そんなやばい情報だったんだな……隠してきて正解だった。


「なので……その力を、返していただきたいのです」


それは困る!!


「「「「「「「「お断りします!!」」」」」」」」


おおう、私以外も全員同意見だったようだ。


女神様は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして、固まってしまった。


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