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1話 彼女は夢を見ているようです

新作です。

僕のオリキャラ達を元にした日常をゆるゆると描いていくつもりです。

「あ、流れ星だ!!」


美乃は空を指差し、そう叫んだ。すかさず手を胸の前で組み、目を閉じお願い事をする。

(どこか、別の世界へいき……いや、行けなくてもいい。あるのか知りたい!!)


「どこかの世界へのつながりが欲しい!」


美乃の口をついて飛び出した願い事は、非常に曖昧だった。

そもそも流れ星に対しては三回願い事を言うべきだということを美乃は知らなかった。


やんわりと手を繋ぎながら、母が笑う。

「美乃ちゃんったらけっこう怖い物知らずなのね。親の顔が見てみたいわ」

「そりゃー、お前のことだぞ?あ、いや俺もか」


笑いながら父が答えた。

母はちょっと抜けたところのある、穏やかな女性だ。

対する父もどことなく抜けていて、二人はとても気が合うようだった。

見ていて笑いの絶えない二人だ。


二人を見上げて美乃は答える。

「でも、星さんはたくさんいるよ?お人よしな星さんいるかも!!」


美乃は手を振りほどいて駆け出した。

小さな丘の上までかけあがり、先ほどと同じように空へ祈る。


少し遅れて両親もやってくる。

空を見上げると,美乃が言ったとおり流星はたくさん降ってきていた。流星群だ。

「綺麗……」

しみじみと母がつぶやく。対して父は無言で空を見ていた。


美乃もおそるおそる目を開け空を見上げる。

そこかしこに流星がきらめき、通り過ぎていく。

そのなかに、ひときわ目立つ明るい、ゆっくりとした流星があった。


たくさんの流星があるのに、美乃はなぜかその流星から目が離せなくなった。

綺麗な青い光。水色の尾を引くようにして落ちていく流星。

吸い込まれるように目を惹かれ、そして不思議な感覚がした。


何かが、繋がったような感覚。まるで世界から切り離されたような感覚。

何かが、入り込んでくるような感覚。包まれるような感覚。


その感覚が終わったのだろう、突然眠りから覚めたかのような感覚がした。

気がつけば、その手は母が握っていて心配そうに見ている。

「美乃?大丈夫?いつにもましてぼーっとしてるけど……」


「大丈夫だよ?なんか、ふわふわする感じがしただけ~」


美乃はやんわりとありのまま伝えた。

しかしさすがに曖昧な表現だったか、それは伝わっていなかった。

「まぁ、ここまで来るのは長旅だったし、今は深夜だからな。眠いんだろう」


「そうかもしれないわね。それじゃ、そろそろコテージへ戻りましょう」


本当は車の中で寝ていたため眠くなどはなかったが、とくに反抗する理由もないためおとなしく手を引かれていく事にした。


戻る途中に気づいた。なんだか体がぽかぽかしている。

熱があるようなだるさは感じられないが、からだが非常にあったかい感じがした。

それはまるで、先ほどの流星を見ていた時のような……


そういえば、あのあとからだ。体があったかいのは。

とはいえ問題があるわけじゃないから意識の片隅においやり、そのまま忘れていった。


さらにきょろきょろしていたところ、空を見上げている少年がいた。同い年くらいだろう。

なんとなく気になった美乃は話しかけてみたくなった。


「ごめんなさい、ちょっと話しかけてくる!!」


そう言って手を離し、少年の元へ向かう。


距離はそう遠くないのですぐにたどり着いた。

美乃は後ろから声をかける。

「星を見てるの?」


少年は振り向いた後、視線を戻して短く答えた。

「……うん」

「おんなじだね!さっきのすっごいきれーな星、見た?」

「……見たよ。何か、……変な感じがした。……しなかった?」

少年はこちらを見て問いかけてくる。


「なんか、ぽかぽか、ふわふわするの!」


「……そうだね」


ちょうどその時、美乃を呼ぶ声がした。母だ。

さすがにそろそろ戻らないといけないだろう。


「ごめん、もういかなくちゃ!えっと……私はみの!キミは?」

「私は……さよ。なきもり、さよ」

「あれ?……女の子!?」


美乃は素で驚いていた。ずっと少年だと思い込んでいたからだ。

でもそう聞いてから見ると、確かに男の子と言うには若干細かった。

さよは苦笑していた。


「ばいばい、さよちゃん!」


美乃はそのまま、親の元へ行き、コテージへと戻り眠りについた。


―――


次の日、美乃が布団から忽然と消えていて大騒ぎになったが、

本人が自宅の布団で見つかったうえに眠っていたため、何があったのかは本人含めて誰にも分からなかった。


程なくして、美乃は自分が「魔法」を行使出来ること、ふわふわする感じは魔力である事を知るのだが、それはまた別の話だ。














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