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恐怖のポスト

作者: 緒方 零

 町外れに存在する普通のポスト。

 そのポストの後ろの箱に殺したい人の名前を入れて置くと殺してくれるんだって。


 代償なんてないし殺して欲しい時間や場所、殺され方なんかも書いておける。

 まるで、デスノートだよね。

 ハガキじゃないと駄目なんだって。

 表に殺したい人の名前、裏に殺し方や時間を書き込む。




 簡単だよね。こんなんで人が死ぬんなてさ。






「ねぇ尾川原ぁ、あのジュース買ってくんない?」


「え・・・?」


「いいねぇ、うちはサイダーね」


「え、あの・・・」


「早く行ってこいよ」




 パシリに使われた尾川原(おがわはら)花梨(かりん)は渋々、自動販売機に向かった。




「あの、買ってきました」




 花梨が二人にジュースを渡すと、手から奪って無言で去っていった。

 二人の後ろ姿を睨みつけていた。




相沢(あいざわ)夕紀(ゆき)黒川(くろかわ)(みのり)。二人とも死ねばいいのに」




 そして、思いついたのはあの恐怖のポスト。

 花梨はコンビニに寄り、ハガキを2枚買い家に帰った。




「二人ともを殺し合いにしようかな」




 一枚目の表に相沢夕紀、裏に「5時間後、黒川実を倉庫に呼び出し果物ナイフを取り出して刺そうとするが逆に刺される」


 二枚目の表に黒川実、裏に「5時間後、相沢夕紀に呼び出されナイフで刺されそうになるが、抵抗し相沢夕紀を殺す。動揺して自分も刺し自殺をする」




 そう書き、花梨は例の町外れのポストに向かった。




 ポストが見えてくると人影があった。反射的に建物に隠れ人を見ると相沢と黒川がポストの前に立っている。




「何で、相沢と黒川が・・・」




 二人はポストに何かを入れ、その場を去っていった。

 花梨はいなくなったのを確認し、ポストに向かった。そして、さっき二人が入れた紙を取り出す。

 取り出したのはハガキだった。


 内容は表に尾川原花梨、自分の名前だった。

 勇気を振り絞って裏を見てみた。内容は「遅刻して学校に着き教室に入ったら先生が衝撃なことを言い出し、それに動揺してみんなの前で自殺をする」

 そう書かれていて一瞬、頭が真っ白になった。




「これを箱から出さなかったら私は死んでた?」




 さらに二人に憎しみが生まれる。

 あいつらは死なないといけない人間なんだ。

 そして花梨は手に持っているハガキを入れた。


 逃げるようにその場を去って。






 次の日、私は遅刻をした。

 たまにはあるだろうと思い、ゆっくり朝ご飯を食べ学校に向かう。




 学校に着き教室に入ると先生や生徒の顔色が悪い。

 何かおかしいと思い「どうしたんですか?」と先生に言うと衝撃的なことが口から出る。




「相沢と黒川が亡くなったんだ」


「え?」




 それは私にとって衝撃的な言葉だった。

 その後の記憶は覚えていない。ただ、生徒たちが急に叫びだし教室から逃げていくのを見ただけだった。




 あの時、怒りに震えていた花梨は気づかなかった。

 自分の名前が書かれたハガキを二人のハガキと一緒に入れていたのを。




 花梨は無駄死にし、16年という短い生涯を終えた。

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