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15話 出会い

「はぁ……はぁ……」

「……」


 俺たちは霊峰ワーガルドをひたすら登っている。

 登り始めてからどれくらいの時間が経っただろうか?

 陽もかなり傾き始めている。

 だが、俺たちが登ったのは山の二割にも満たないといったところだろう。

 下手したら一割以下かもしれない。

 まだまだ山頂は遥か彼方だ。

 まあ、山頂を目指しているわけではないんだけど。


 俺たちの目的はあくまでも竜に会うことだ。

 ただ、こんなにも広大な山の中で一匹の竜と遭遇することは難しいのではないかと感じ始めた。

 そもそも、登ることが正しいのかさえ分からなくなってきたところだ。

 とはいえ、今更進路を変更することも気力と体力の無駄遣いだし、取り敢えず切りの良いところまでは登ってみることにしよう。


「ヒルダ、大丈夫か?」

「……大丈夫よ。心配しないで……」

「休憩するか? いや、休憩しよう。これ以上このペースで進むのは非効率だしな」


 傍にあった石を椅子代わりにして腰を下ろす。

 霊峰もここら辺までくると、少しずつ木が減ってきており、ゴツゴツとした岩肌も現れ始めている。

 まだ、空気が薄いとかは感じないからそこまで標高としては高くない位置なのだろう。

 何といってもまだ一割程度しか登ってないしな。

 歩く道は、もちろん舗装はされていないものの、獣道のような何となく道と分かるようなものがあるので、それを頼りに登っている。

 斜面もまだきつくないので、ほとんど平地を歩いているようなものだ。


「歩いてばっかりだから、疲れたね」

「そうだな。王都には山なんてないから登山を舐めてた。ごめんな、つき合わせちまって」

「私が勝手についてきただけだから気にしないで」


 そう言いながら、ヒルダは自分のふくらはぎをさすったり揉んだりしている。

 足に疲労がたまっているのだろう。

 かく言う俺もかなり疲れてはいるのだが、言い出しっぺである俺が簡単に諦めたのではヒルダに申し訳が立たない。


 俺たちが休憩していると、近くの茂みからガサッと音がした。

 敵襲か!?

 素早く立ち上がり剣を抜く。

 そして音がした方へと構える。


 ガサガサッと音が鳴り続けている。

 そして、音の正体が俺たちの前に現れた。


「誰だ? お前ら」


 茂みから現れたのは何とも目つきと口の悪い少年だった。

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