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孤島の主(仮)  作者: 梅桃
第一章
6/44

6・孤島の住人ちょっぴり怒る

「「「!!」」」


<<<!!>>>


 リティウス、カーリィ、ドルト、そして精霊達が、ふいにピリピリと張り付く空気を纏わせトゲトゲモードになり、すっと目を細めた。


「??」


 ファルルは、急にシンッ……と静まり返った場に、一体何が起きたのかとビクリと肩を竦めて体を強張らせるが、体系のためか見た目あまり緊張感が得られない。


「あーん。ファルル驚かせちゃった~ぁ」

「え……と……?」


 動揺しながらちょっとだけ困ったように声を出すファルルに、困った様な笑みを浮かべてカーリィはファルルの頭をナデナデする。


「全く。せっかくのファルル様との団欒を楽しんでいるというのに。邪魔をするのは、一体何処の輩でしょうか」

「おーい……。オレ達もいるし?」


 ファルル以外眼中にないといった風に言い放ったリティウスに、ドルトが思わず突っ込みを入れた。

 まぁ、そういうドルトも害された気分は同じなので人の事は言えない。


 目を細めたまま、東の方へギラギラとさせた視線を向ける。


(ちょ……っ。リト、こえぇよ……)

(うわ~ぁ……)


「けど、今日は多いわね~ぇ。千客万来?」

「あ、あのね……。三人とも、少し落ち着……」

「ファルル様。何かあってはいけませんから、中へ入っていましょうか」

「う、うん……?」

「精霊達、ファルルを頼むわね~ぇ?」


<<<任せといて~っ>>>


「えと……」

「ファルル様は心配しなくて大丈夫ですよ。少しおイタの過ぎるお客様がお見えになっただけですから」


 にこりと微笑みつつも、その目はかなり怒っていた。

 外からのお客様に。


 精霊達に引っ張られながら中へ入って行くのを見送る。

 また躓いてこけたりしないか……、それだけのために……。


「「ほっ……」」

「何事も無く安心しました。ファルル様はやる時にはやれるのです(にこにこ)」


 やる時にはやれると判断する基準が低い。

 みんな、ファルル補正が入っているので仕方ない。


「さて。ファルル様を隠した事ですし」


 言うのが先か、体中から怒気を吐き出すのか先か、ぶわっと辺りに重圧の籠った魔気を発散させる。


 久しぶりの外での楽しいひと時をぶち壊してくれたのだ。

 三人にとってはそれだけで怒るに充分な理由である。

 沸点が低いのは、気にしないで頂きたい。


 ただ、これまでとは違いここまで気付かなかったのは初めての事だった。


「カーリィ、様子はどうですか?」

「ん、ちょっと待ってね~ぇ。遠視をかけるわ~ぁ」


 カーリィは、目を閉じて気配のあった方へ意識を飛ばす。


「あらあら~……最低ね~」


 孤島には既に上陸した者がいた。

 上手く気配を隠して、船がこっそり孤島の近くまで寄せている。


 上陸した者達の方では、放たれた先の地は抉れ、木々は薙ぎ、そこにいた生物は命を散らしていた。

 その前に船から遠目に観察して、偶然希少動物を見つけ捕獲している様である。


 ピキンっときたカーリィは、船に向け火魔法を放り投げた。

 甲板に穴が開き、そこかしこに火が立ち上り、魔法師や線乗員が消化に向けて右往左往している。


「うふふっ、もっと華麗に踊りなさ~ぃ? それじゃダンスのお相手は見つからないわ~ぁ? そぉ~れ、もう一つお土産よ~ぉ」


 と、今度は雷魔法を落とした。


「あらあら~ぁ。ちょーっと手を抜いたからってアタシの魔法を防ぐなんて~ぇ」


 相手の張った結界に皹が入っているものの、見事に防ぎ切った事にほんの少し驚いているが、楽しそうなカーリィである。


 そして、どうやら今度はあちら側が船より魔法をぶっ放す様だ。

 カーリィはぞわっとする程の魔力を放出し、魔術を編む。


 ここでいう魔術とは、魔法を使うための術式、魔(法)術(式)、或いは魔(法技)術の略である。

 魔術という単語の発音の仕方で、術式なのか魔力を使った手段の方なのかが変わる。

 魔術(/ ̄)と魔術(\_)、ややこしい。


 魔術(\_)は、魔力も必要となるが、媒体(素材や道具)を使用し、摂理を無視した現象を起こす方法である。

 魔術と魔(法)術(式)はややこしいため、一般的には無属性魔法と呼び区別している。


 例えば、魔法袋やテレポート。

 例えば、意思なき物に意思を与える・力を与える。加える。意識ある者の器(肉体や魂)を占拠する。

 例えば、枯れた草木を蘇らせる。真反対の季節の植物を急速に育てる。

 例えば、死者を操る。この世にない生物を作り上げる。過去から絶滅した生物を呼び寄せる。(ただし、死者を生き返らせる事は出来ない)

 

 それに対し、魔法は、大気中の魔力や自身の魔力を使用し、自然現象を具現化する能力で、明確なイメージさえあれば発揮出来る方法。

 故に体内にある魔力が純粋であればある程、大気中から取り入れる量が多ければ多い程、イメージが強ければ強い程、そしてそこに句や陣が加わればより一層威力があがる。


 平たく言えば、火・水・風・土・雷・光・闇の七属性を、操る方法である。

 

 そして、更に魔法とも魔術とも違う分類がある。

 精霊や天使や神の使う魔法。もしくは彼等の加護を与えられ、使う方法。

 上記の魔法と同じ感じではあるが、それ自体が特殊区分のため微妙に違し、威力も違う。

 故に、魔族魔法・幻獣魔法・竜魔法・精霊魔法・天使魔法・神魔法等、種族名を加えて呼ぶ。


 分類的にはあやふやなものでもあるが、「魔術と魔法は似て非なる物」程度に思えばいいというだけの話でもある。

 ぶっちゃけ、正直面倒なので一括して魔法と呼んでいたりする。


 ただ、どちらも陣や句を仕様する事により、その威力が変わるというのは共通しているようである。

 面倒なので魔法と魔(法)技(術)の二分類でいいと思う。


 そして、カーリィがその方向へ、魔防結界に冷却魔法を器用に組み込んだ魔法を放ち被害を防いだ。


「では、お客様のおもてなしの準備をしましょうか」

「これはちょーっと手痛い仕置きをしなくては、ね~ぇ」


 気を抜きすぎた事に深いため息をつきつつ、ファルルが側にいる間は極力抑えていた魔力を一気に放出し、それぞれに姿を変えていった。

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