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孤島の主(仮)  作者: 梅桃
第二章
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15・集落に住民が増えた

 驚かない様にと前もってリティウスが告げていたものの、別の意味で驚いた。

 天使ってこんなに軽いのか、と。

 しかも残念な感じで。


 そんなわけで、ガレイン達の天使に対する印象はカーリィのせいで残念な種族かもしれないと位置づけられてしまった。


「リト~ぉ? あなた、フラフラしすぎてジハル君だけじゃなくってクーちゃんも泣いてたわよ~ぉ? 戻ったら覚悟しておいた方が良いわよ~ぉ?」

「……」


 そっと視線を逸らすリティウス。


「ジハル? クー? って誰だよ……」

「弟のジハル君と妹のクイートちゃんよ~ぉ。特にクーちゃんには頭が上がらないのよ~ぉ」

「バロフにも見つかってしまいましたしね。一度戻る事にしましょう……」


 そんなリティウスを見てケラケラとひとしきり笑うと、ガレインとサバトの前に立ち、


「初めまして~ぇ。あたしはカーリィ。よろしくね~ぇ」

「あ、あぁ。オレはサバトっつぅもんだ」

「俺はガレインだ。よろしく」


 軽く挨拶を済ませ、ガレインをじっと見る。


「なるほどなるほど~ぉ……。これだけの怪我をしたにも関わらず……。人間にしてはよく生き残れたものね~ぇ。えぇ……本当にいきてるの~ぉ……?」


 ガレインの腕や足をペタペタと触り、ついでにサバトの体もペタペタ触り、キョトンとしつつもされるがままになっている二人に、


「はいっ。治ったわよ~ぉ。ほらっ、動かして~ぇ。あ、隣のあなたも腰と足首ちょっと悪かったでしょ、治ってるわよ~ぉ」


 と、ウィンクをしてクルリと回る。

 ペタペタ触る必要はなかったのだが、どの程度治せばいいのかを確実に知るためにはその方が良い。

 やり過ぎると、貧弱な人間の体が逆に壊れてしまいかねないから。


「えっ、オレのまで治ったってのか?」

「ふふっ。あたしに掛かればなーんてことないわよ~ぉ。このレベルで回復魔法使う人族の治癒師は少なくて上に相当ぼったくられるんでしょ~ぉ? まぁ仕方ないと言えば仕方ないのかしらね~ぇ」


 普通は回復出来ない、というのはそういう理由である。

 そういう人間は強制的に国に抱え込まれ、頼むにしても非常に高額な事もあり一般には手も足も出ないのだ。

 王家以外だとよくてぼろ儲けした商人がギリギリ頼めるくらいである。

 無償で行うのは国家レベルで危機に瀕した時、つまりどうにもならない疫病、戦争、強いては国として大損害を得る状況に陥った場合である。


 さらっととんでもない事をやってのけ言ってのける辺りは、流石天使族である。

 体をあちこち動かし、何の異常もないどころか最盛期だった頃より力が漲っている感覚すらあり、首を傾げる二人に追い打ちをかけた。


「ついでに、リトの知り合いみたいだから~ぁ、ちょっとだけ加護も与えて置いたわよ~ぉ。あまり派手なのはアタシの独断ではちょっと駄目だけど~ぉ……。ほら、アタシ達長命種には人族が短命過ぎて人族の知り合いがコロコロいなくなっちゃうから寂しいのよ~ぉ。というわけで~ぇ……人族の最長寿命の倍くらいにしといたから~ぁ、少々無理してもあと百年くらいはいけるんじゃないかしら~ぁ」


「「なっ……!?」」


「あっ、それと~ぉ。アタシの加護ついたから~ぁ……魔力とか体力とか力とか色々~ぉ? 底上げされちゃってるわよ~ぉ」


「「えっ……」」


「だって~ぇ、この二人、肉体的にも魔力的にも耐えられそうだったから~ぁ。つい? えへへっ」

「カーリィ……」

「カーリィ殿……」


 軽く頭を抱えるリティウスとバロフを横目に、


「そうだわ~ぁ。ね~ぇ? ちょっとここ住んでみようかしら~ぁ。いいでしょ~ぉ?」


 にっこりと有無を言わせない勢いでガレイン達にぐぐっと迫る。


「いや、流石に天使族がいるってのはちょっと困ると言うかだな……」


 流石に、天使族の、しかも残念そうではあるが高位の熾天使を無碍にすることは出来ず、遠回しに断ろうとしてみたのだが。


「こうすれば問題ないわよ~ぉ」


 と、姿を変えた。


「治療費の代わりって事で~ぇ。アタシもたまには羽伸ばしたいのよ~ぉっ!」


 最後は個人的な心の叫びだったが。

 治療費と言われては断るに断り切れず、仕方なく頷いた。


「これで鬼の様な部下達から暫く逃れられるわ~ぁ。うふふ……」

「すぐ見つかりそうですよ?」

「大丈夫よ~ぉ。一度戻ってささっとアレコレ片付けて~ぇ、身代わりおいて気配を消してここに来れば誤魔化せるわ~ぁっ」


 見つかった後が大変そうだと思うガレイン達であったが、水を差すのはやめておいた。

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