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孤島の主(仮)  作者: 梅桃
第一章
22/44

22・孤島の晩餐

 ブラッカーの炙りと野菜や茸類をたっぷりといれた鍋。

 香草を浮かべて炙りの香りと混ざって食欲をそそる。


 ブラッカの頬肉のステーキ。


 ブラッカーの刺身。

 一番おいしい腹部分の身を使っている。


 中おちを使ったサラダ。

 レモン果汁をベースに作ったソースを絡める。


 そして麦ごはんが並んでいる。


 他にもブラッカーの春巻き、ブラッカーの塩焼き、ブラッカーの……とブラッカー尽くしである。

 その中で唯一のレインボーライギョが輝いているように見えるが、やはり魚。

 どう頑張って見ても魚の(主にブラッカーの)フルコースである。


 そして、いい香りはするのだが……。


「……あの臭いが頭にこびり付いて消えねー……」


 と、ブラッカー尽くしのテーブルを見て、思わず目を逸らすドルトである。

 仕方ない。


「臭いは確かにアレじゃったがの……」

「なんであの臭いで身が美味しいのか分からないわよね~ぇ……」


 頷く一同。

 あの臭いを直に知ってしまったが故、一口目を食べる勇気が持てないでいる。


「んっ……美味しい……。みんなで頑張った甲斐が、あったの……」


 美味しい物には罪がないとばかりに、にこにこしながら一口食べ満面の笑みを浮かべるファルルに苦笑する一同。


「では我々も頂きますかな」


 ボーデンもファルルに続いて、意を決して口に運ぶ。


「アレはアレでしたが、やはりブラッカーの身は美味ですな」

「う、うむ……」


 バロフも続いて口に運ぶ。

 そして残る四人も意を決して口に運んだ。


「美味しいですね。頑張った甲斐がありました」

「うまー!」

「アレは一体何だったのって気になるわね~ぇ……」


 ちなみに晩餐もファルルが頑張って作った。

 ブラッカー尽くしの料理を。


「ちょっとワーグ~ぅ? 昼もあんなに食べてまだ食べるの~ぉ?」

「長生きするには美味しい物をたらふく食べるのが一番だわい」

「いやいや。そんだけ長生きしてりゃ充分だろ」


 みんなにつっこまれながらも鍋を延々とおかわりし、少し残った出汁ですら雑炊にして食べきる。


「ふふっ。おじいちゃんの、元気の秘密ねっ」


 相変わらず、ファルルはみんなと違う事を言い場を和ませている。


「……暫くブラッカーはいいわ……」


 何事も程ほどが一番だ。

 いくら食卓に良く並ぶと言っても一度にこれだけブラッカー尽くしだと、飽きてしまうのも当然。


 これには一同が賛同し、一年間ブラッカー料理を見る事はなかった。


 孤島の食事情は、ある意味贅沢。

 恐らく蓄えだけで数年は、食べる事に困らないであろう。


 ファルル達は食事に満足し、それぞれのプライベート時間を過ごすのだった。

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