物語に物申せるか少年
あるゲームの宣伝だった。
「孤独の辛さを知るRPG」
…どこかの被虐嗜好者でもない限り買わないような売り文句だった。しかし、その時の僕は「これだ!」と思った。
いかにも怪しげではあるが、是非プレイしたい。その衝動に駆られた。
発売日は丁度一週間後で、僕のお小遣いがもらえる日とかぶっていた。
価格もぎりぎり買えるぐらいであり、奇妙なほどに都合が良かった。
その日から発売日が待ち遠しくなった僕は友人にもこの話を広めた。
一番最初に話した友人Aには「あっそ」ぐらいで軽くあしらわれた。元々そんな話には興味が無いような奴だったから何とも思いはしなかった。
二番目に話した友人Bは少し興味をもったが、僕がプレイした感想を聞いてから考える、と答えた。僕は少しでも興味を持ってくれたことが嬉しかった。
三番目に話した友人Cはそんなゲーム売り出すとかバカかよ、とゲーム会社をバカにした。楽しみにしているゲームを批判された僕はムキになって反論したが、結局その友人Cには怪訝な目で見られて終わった。
後で思い出したのだが、このCは同じ時間にテレビで同じ番組を見ているはずだったのだが、このゲームのことを知らないようだったので不思議に思ったがまた話して口論になっては面倒くさいのでこの件については特に触れないことにした。
そんなこんなで楽しみにしていた発売日もすぐに来た。