表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼と彼らと私のおはなし  作者: たいやき
6/18

私と放課後

結局、今日の授業は殆ど集中出来ずに終わってしまった。

机に視線を落とすと、自然と顔も下を向いた。


「凛ちゃんっ

 一緒にかえろー?」


上から降ってきた声の主はほのかだった。

私の苦悩を知らずに、いつも通りのふわふわした笑みを浮かべていた。

ほのか愛用のリュックを背中に背負って、もう帰る準備は万端というかんじだ。


「うん」


と、答えてから気づいた。


「あ、今日、掃除当番だった・・・」


「ええ~」


教室内の掃除を毎週交替でするのだが、今週は私は当番の秀だった。

ほのかは「仕方ないかぁ」と残念そうに呟いて、私に手を振って教室を出て行った。

もう教室に残る人はまばらだった。

掃除当番の人とこれから部活がある人、10人ちょっとしか生徒はいない。

用事のない子達はみんなさっさと帰って行く。


(めんどくさいなぁ)


ふと、周りを見渡してみる。

一番最初に目に入ったのは、机に突っ伏して眠る祐兎くんだった。


(え、あ、祐兎くんも今週掃除当番なんだ・・・)


先生が適当に組み合わせてくる当番表。

毎週同じメンバーということはないから、こんな嬉しい組み合わせもあるのだ。

私の心は一瞬で舞い上がった。

さっきまで心を支配していた、めんどくさいという感情は消えていた。

それどころか、今週一週間は放課後に祐兎くんを見ていられる時間が増えることに喜びさえ覚えた。


(先生、ありがとう!)


いつもは決してしないが、今回だけはあの担任の先生に感謝しなければならない。


組んだ腕に顔を埋めているから寝顔さえ拝めないものの、私は幸せだった。

ワイシャツの襟に当たって反り返る髪の襟足を見るだけでも幸せだったのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ