私と授業中
昼休みが終わり、授業が再開した。
私の好きな教科の授業だったが、まったく集中できなかった。
睡魔が襲ってきたワケではない。
体調が優れなかったワケでもない。
先程ほのかに言われたことが原因だった。
『両想いかもよ?』
彼女のこの言葉が頭の中をぐるぐる回って離れない。
(両想いかぁ・・・)
もしそうだったら・・・。
なんてか考えてしまう。
そして、妄想の中であっという間に私の告白が成功してしまう。
祐兎くんも私も頬を赤らめて、俯きがちに笑いあう姿が容易に想像できた。
でも、本当にそんなこと・・・。
(・・・ないないっ!
あるワケないじゃない!!)
1人、心の中でツッコミを入れる。
ふと黒板に目をやると、もう最初に書かれた板書が消されるところだった。
(ああっ)
私の心の叫びも虚しく、「じゃ、次ねー」という先生の一言であっけなく消されてしまった。
好きな教科ではあるが、決して得意な教科ではない日本史。
板書を書き写さないという行為は、後のテストで自分の首を絞めることになる。
教科書だけではどうもわからない点が多すぎるのだ。
(もういいや・・・)
私は今回の授業内容の範囲を捨てることを決意した。
そして再び空想の世界へと足を踏み入れた。