私と彼
私、春川凛は4月から高校生デビューを果たした高校一年生だ。
この高校に入学したのは、私の学力の限界に挑戦してみたかったからだった。
ここは、県内で一番有名な学校だった。
学力的には中の上。
つまりそこに入学した私の学力も、中の上。
まあまあ頭が良いってことになるのかもしれない。
ここでの学校生活も、既に1ヶ月がすぎた。
授業にも慣れてきた。
友達と呼べる関係の子も増えてきた。
そしてなにより、好きな人が出来た。
「ゆーきのっ」
「んー?」
「購買行こうぜー」
「うん、いいよー」
午前授業の終わったころ、友達に誘われて教室を出て行く彼。
彼が、私の好きな人・雪野祐兎くんだ。
そして初恋の人でもある。
いつも大人しくて、あまり目立つ方ではない彼。
でも私はそんな大人しい彼が好きだった。
一目惚れだったかもしれない。
入学式のあの日、目に前髪がかかっていて全く表情が読み取れないあの感じに惹かれた。
みんなは暗すぎるって言ってたけど、私はあれくらいが丁度良かった。
それどころかドンピシャだった。
私の視線は彼に釘付けだった。
あの雰囲気には、他の人にはない何かがあるような気がしていた。
それが、恋心ってやつなのかもしれない。
これから数ヶ月。
私はなんとしても、彼とお近づきになろうと思う。