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階段の話
―階段の下にいる人は、上にいる人たちがとても遠くに見える
その差に諦めて座り込んでしまう人もいれば、がんばって一歩踏み出そうとする人もいる
―階段の上にいる人は、下を見下して優越感に浸る
その差を見て、さらに上を見ようとはしない
―階段の下にいる人が、段を踏み外して転がり落ちた
「なんだ、まだ下があるじゃないか。」そう言ってそこに留まろうとする人もいれば
元の場所に戻ろうとして必死に足を動かそうとする人もいる
―階段の上にいる人が、段を踏み外して転がり落ちた
「上にいるのも疲れたよ。」そう言ってそこに安住してしまう人もいれば
元の場所に戻ろうと必死に足を動かそうとする人もいる
転がり落ちて、頑張って戻ろうとした人たちは気づく
いつの間にか自分がはるか遠くに見ていた段の上にいることを
満足していて見向きもしなかった、さらに上の段に自分が立っていることを
―階段はどこへ繋がるのだろう
あなたなら、どうする?