だってそれは、どうしようもないことだったから
私は今、冷たい学校の廊下で蹲る
靴下越しに廊下の冷たさが伝わる
夕焼けで赤く染まったその広い空間で、私は嗚咽を漏らす
窓から、生暖かい風が吹き込んでいる
乱れた髪の毛を、風がさらっていく
息を止めて、前を見た
誰もいない廊下は、広い
無限に続いているんじゃないか
そう考えてしまうほどに
その無情な広さが、私の心を抉り抜く
頭の中に響く声に怯える
今まで言われた言の葉が、私の脳味噌をぎたぎたにする
悪いのは誰だったのか
そう聞いて、返ってくる言の葉に
涙を流す
どうして私だったのでしょう
何が気にいらなかったんでしょうか
悪いことをしたつもりなどない
困っていたから、手をかしただけだったのに
貴女があの人が困るように仕向けたんですか
だったらすぐに助けてあげればよかったじゃないですか
私が気づくより先に
手をかしてあげればよかったじゃない
冷たい床に拳を振り下ろす
頭より上に拳を振り上げて
全身を揺らしながら床を殴る
静かな廊下に鈍い音が鳴る
その音は響くことなく、私の前で一瞬で消える
髪を振り乱して、怒りくるって
心の中のことを貴女に伝えても
貴女は思案することすらしないでしょう
何を言おうと、怒るだけなんでしょう
悔しかったんですか
腹が立ったんですか
その感情をいけないと否定はしないけれど
私にその感情の矛先を向けるのは
お門違いだよ
このことに関して
私は間違っていないのです
だけど周りの仲間は
私に手のひらを返してきたのです
それが結局全てです
間違っていなかったとしても
周りが受け入れなければ
間違っているのは私になるのです
だから私は今
この冷たい廊下で泣き崩れている
反射する赤い光に恐怖を感じ
それを押し殺すために
床で蹲る
もう、どうしようもない
だって、私は何もしていなから
どう足掻こうと、戻れない
楽しかった日々は、脆かった
でも、私は悪くなかった
だってそれは、どうしようもないことだったから