地面の想い、空に恋して。
天気の機嫌の悪さに辟易として衝動的に書いてしまいました。
今日の空太には腹が立った。いくらマイペースな奴だったとしても程度ってものがあるだろうといいたくなる。
今朝会った時にはこの時期としては少し機嫌がいい程度の穏やかな機嫌だったんだ。
それなのに、昼を少し過ぎたころになってから急に荒れだして。
俺、何か怒らせた?
「地面!」
ああ、ほら。今の空太はすこぶる機嫌がいい。
機嫌のいい空太なら大抵のことでは怒らない。だから聞いてみたはずだったんだ。
「なぁ空太」
「どうした?」
何もなくともからからと笑う空太は、ときどき地面がうらやましく思えるほどに朗らかだ。
「さっき、なんであんなに怒ってたんだ?」
「ん?そりゃ何のことだ?怒ってなんかなかっただろ?俺はいつでも穏やかで元気いっぱいの蒼井空太だぞ」
そう言う空太は本当に先ほどの荒れっぷりを忘れてしまったかのようにからりとしていた。
だが、地面の体は先ほどの空太の荒れっぷりを如実に示している。
地面は少し語調を強くした。
「嘘つくなよ。俺の体を見てみろよ、お前のせいでびしょ濡れなんだ。ほらこれ」
「あれ、本当だ」
空太は地面を見て意外そうに眼を瞬いた。記憶がないのだろうか。まさか、そんなことはあるまい。
「じゃ、俺がお前の体を乾かしてやる。十分にあっためてやるからな」
そんなことを平然と言ってしまうのは空太だからできることだ。
「――っ、空太……。……ぁつい、よ。も、ちょっと弱めて……空っ」
空太の「暖める」と「乾かす」は度が過ぎることもしばしばある。
そんなときはこうして頼むと収めてくれるのが常なのだが、今日は違った。
「んだぁ?お前が乾かしてほしいってお願いしたんだろうが。舌の根も乾かねぇうちに言ひっくり返してんじゃねぇよ。ああ゛?」
「ちょ、空っ……そんな……、濡らさないでっ」
急に空太の態度が変わってしまったのだ。
せっかく乾いてきていた地面の体もまたぐっしょりと濡れてしまう。
この時期はいつも穏やかで、普段ならこんなに急に態度がコロコロと変わることなんてないのに。本当に、どうしちゃったの、空太。
「うるせえ」
そうして気の済むまで散々に地面を濡らした空太はしばらくすると穏やかにからりと笑ういつもの空太に戻った。
「地面?何してんだ?まだ濡れてんじゃねぇか。うし、もいっちょ働いてやる。感謝しろよ、地面」
「空ぁ」
「地面?」
空太が不思議そうに呼ぶ。地面が泣きそうなのが珍しいのだろう。地面が自分で自分を濡らすことはほとんどないのだから。
「ふっ。こ、怖かったよ。――も、こんな事やだっ……優しい空がいいっ」
「地面?――わかった。優しく乾かしてやるから。な?だから、泣きやめよ――」
ちゅ。
空太が優しいのは嬉しい。
地面は心底そう思った。
初投稿がこれでよかったのか、悩みます。